代表弁護士ブログ

2011年10月27日 木曜日

国際取引契約の作成マニュアル 秘密保持契約書

秘密保持契約書(Non-Disclosure Agreement)は、外国の企業と取引を開始するにあたって最もよく作成される契約書です。Non-Disclosure Agreement(NDA)、Confidentiality Agreement(CA)などと呼ばれていますがいずれの場合もその内容は同じです。

秘密保持契約書では、次のようないくつかの基本的事項を定める必要があります。
(1)秘密情報とは何か(秘密情報の定義及び除外情報)
(2)秘密保持と目的外使用の禁止
(3)秘密保持義務の及ぶ範囲
(4)損害賠償
(5)契約期間

上記の他、裁判管轄や準拠法が定められたり、差止めその他権利救済方法が定められる場合もあります。

秘密情報とは、当事者が秘密として指定した情報で第三者に知られていない情報です。秘密情報の秘密性をしっかりと確保するためには、どの情報が秘密情報であるかを明確にする必要があることから、秘密情報の定義を明確に定めておく必要があります。通常、文書で開示する情報については、当該文書に秘密情報であること(マル秘など)を記載しておき、口頭で開示する場合には、開示の時点で秘密情報であることを口頭で伝え、開示後数日以内に書面によって開示された情報が秘密情報であることを通知する必要があるなどと定められます。

除外情報は、秘密保持の対象とならない情報が何であるかを定めた規定で、開示の時点で既に公知である情報(一般に知られた情報)や、開示を受けた当事者(情報受領当事者)が開示された情報によらずに独自に開発した情報などがこれに該当することになります。除外情報については、定型の記載方法がありますので、この記載方法に従うのが無難です。

秘密保持契約書を締結する目的は、開示された情報が秘密として保持されること、第三者に無許可で漏洩・開示されないことを確認するものです。情報の保管の仕方については、どの程度の注意義務が要求されるのか(自己の機密情報と同程度の管理の仕方で足りるのか)、複製(コピーを作成すること)は可能かなどを細かく定める場合もあります。

秘密保持義務の及ぶ範囲では、どの範囲の第三者が秘密保持義務を負うのかを定めます。通常契約の当事者以外の全ての者が第三者に該当しますが、例えば、社内の人間で業務の遂行上当該情報に接する必要のある人、会計士、弁護士などのプロフェッショナルなどは第三者の範囲から除かれることになります。開示を受ける社内の役員、従業員は、情報受領当事者と同程度の注意義務を負うことを定めることもあります。

損害賠償、権利救済方法とは、情報受領当事者が秘密保持義務に違反し、不正に情報の開示・漏えいがなされた場合に、情報提供者は、情報受領当事者に対してどのような権利行使ができるかを定めるものです。秘密情報の不正開示は不法行為に該当しますので、不正な開示によって損害を被った当事者が、情報開示当事者に対して損害賠償請求を行うことができることは当然ですが、仮に損害賠償責任が認められたとしても、秘密情報が開示されたという事実自体は消えることがありませんので、情報開示当事者としては回復不可能な重大な損害を被ることもあります。そのような情報開示当事者には、差止め請求、仮処分などの法的手段が認められることを明確にすることもあります。

秘密保持期間としては、取引基本契約の存続する限りというのが通常ですが、当初から5年ないし10年という確定期限を定めている場合もあります。仮に5年の期間を定めたとして、その後秘密情報が開示されても問題ないかということもありますので、基本的な取引が存続する限り秘密保持義務が続くことを定めるのが好ましいいと考えられます。また、契約が終了した段階で直ちに情報の開示がなされてもいいとなると、秘密情報の提供者が不当に損害を被る可能性もありますので、基本契約書の終了後●年が経過するまで、情報受領者が秘密保持義務を負うことを定めておくのが好ましいと考えられます。

上記のような秘密保持契約書はほとんど定型的パターンがありますので、契約書の作成それ自体はそれほど難しいということはありません(もちろん、秘密情報の重要性を考慮しながら、当事者間の関係を正確に反映するためには、ある程度の工夫は必要になってきます)が、本当に秘密性を確保しようとする場合に、どのようにして確保できるかについては慎重に考慮する必要があります。例えば、ワード文書で送った場合には、コピーされて転送されやすくなるなど、秘密性が害される恐れが高いと言えます。また、文書送付にパスワードをかけることを要求するのは当然です。FDに格納された情報であれば、FDを金庫で保管し、金庫を開ける権限者を限定しておくとか、ハードコピーは固くバインドし、写しの作成を一切禁止するなどの考慮も必要になってきます。

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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