代表弁護士ブログ

2011年10月17日 月曜日

国際取引契約における為替リスク

国際取引を行う場合に、為替リスクをいずれの当事者が負担するのかは極めて重要な事柄になります。具体的には円建て取引か、ドル建て取引かということになりますが、現在のような為替の変動が極めて大きい場合には、場合によっては為替の変動だけで大幅な黒字になることも、大幅な赤字になることもあり得ます。

例えば、100万ドルで商品を購入した場合、1ドル100円であれば1億円の支払いで済みますが、1ドル120円になった場合には、1億2000万円の支払いが必要になってきます。反対に1ドル80円になった場合には、8000万円の支払で済むことになります。仮に当該商品の転売代金が1億2000万円の場合には、120円の円安になってしまえば利益はゼロということになりますし、80円の円高では4000万円の粗利が見込まれることになります。

為替がどのように変動するかはだれも正確な見通しを立てることができませんので、円高が見込まれるという思い込みだけでドル建てで商品を購入するというのはギャンブルに近いことになってしまいます。日本企業としては、円建てでの取引ができれば、為替の変動に拘わらず、支払額が固定化できますので、円建ての取引を希望されることになります。しかしながら、同様の事態は取引の相手方にもありますので、例えばアメリカの企業であればドル建てでの決済を希望されることになります。

もしドル建てでの決済を必要とする場合には、為替リスクを避けるため、多少の手数料は発生するものの為替予約を行うことで為替リスクをヘッジするという方法も考えられます。為替予約は銀行の窓口で行うことができますが、一定の手数料を支払うことで、通貨のオプションの購入ということになります。為替予約は、例えば、1年後に1ドルを100円で購入する権利を買うということになります。

当初1ドル100円の時代に100万ドルの商品を購入し、代金の支払いが1年後となる場合には、オプションの購入は威力を発揮することになります。もし1年後に円安になり、1ドル120円になった場合、オプションの権利を行使して120円のドルを100円で購入することができます。オプションの行使によって、100万ドルを1億円で購入することができますので、決済代金は当初予定していた1億円で済むことになります。この場合円安のリスクを回避することができたことになりますので、為替リスクがヘッジされたことになります。一方、1年後に円高になり、1ドル80円になった場合には、8000万円を支払うことで100万ドルの購入ができますので、代金の支払いは8000万円だけで済むことになります。上記の例でいえば、日本の会社としては8000万円で商品を購入し、1億2000万円で顧客に売却することができますので、4000万円の粗利を得ることができ、円高のメリットを享受することができます。オプションの権利は100円で1ドルを購入する権利ですが、円高の状況では80円で1ドルを購入することができますので、その権利を行使する必要はなくなっています。従って、日本企業としては、単にオプションの権利を放棄するだけでいいことになります。

国際的な売買契約書には、ドルで支払うか円建てで支払うかが明示されるのが通常ですので、必ず決済の通貨がいずれの通貨になるかを確認する必要がありますし、もし契約書に記載がない場合には、円建て取引かドル建て取引かを最初の段階で確認しておく必要があります。

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

english
アクセス



〒100-0011
東京都千代田区内幸町1-1-7
NBF日比谷ビル502号

お問い合わせ 詳しくはこちら
  • RSS配信
  • RSSヘルプ