代表弁護士ブログ

2011年10月11日 火曜日

国際取引における当事者の確定

日本企業同士で契約を締結する場合でも、初めて取引を行う相手方であれば、信用調査機関の調査結果を得たり、インターネットで調べたり、法務局から商業登記簿謄本を取り寄せたり、取引先から風評を聞いたりして、相手方当事者がどのような会社であるのか調査するのが通常です。このような調査が不十分な場合には、相手方が全く信用力のない会社であるために倒産によって売掛金の回収ができなくなったり、場合によっては取り込み詐欺の被害に遭うことも想定されます。

国際取引を行う場合には、一層相手方の調査が必要になってきます。日本企業が初めて海外の取引先と取引を行う場合には、現地のコンサルタントや取引先からの紹介を受けたり、相手方の代表者と飲食をしながら話をしたりして、相手方がどのような会社であるのかを調査するのが通常です。場合によっては工場見学を行ったり、先方の役員、従業員から話を聞くことも重要になってきます。

日本の場合、帝国データバンクなどの有名な調査機関がありますが、国際的にもダンレポートのような調査会社がありますので、そのような調査会社から財務情報や取引履歴等の情報を入手することも考えられます。また、通常会社については法人登記がなされていますので、そのような登記情報を入手する必要もあるかもしれません。

しかしながら、世界的な有名企業を相手にするような場合を除き、相手方当事者の信用力について確信が持てるような情報が本当に入手できるのかはかなり曖昧といえます。国際取引はリスクが付き物だからということで、相手方当事者の信用力について十分な調査を行わないまま取引を始めることは極めて危険といえます。また、相手方がA会社の名刺を渡し、A会社のネームプレートのついたオフイスの会議室で会議を行ったからと言って本当に相手方がA会社の社員であると確認できたと言えるかという疑問も存在します。実際にも別人の名刺を渡したり、会社の社員でないものが会社の名刺を利用していたりして、詐欺の被害に会うという事例も多く見受けられるところです。

このように取引の開始にあたって相手方当事者の確認は極めて重要な事柄であり、これをおろそかにすることによって多額の損害を被ることも多く発生しているところです。もしどうしても相手方当事者の信用調査ができない場合には、次善の策として、取引の間に別の会社に入ってもらい、その会社と取引をするということも考えられます。例えば、海外のA会社と取引を行うつもりであるが、A会社の財務内容がよくわからない場合に、現地に所在するX会社(日本法人の子会社)に商品を販売し、X会社からA会社に商品を販売してもらうということもあり得ます。

また、日本企業同士の取引では、末締め翌月末払いの取引が多くありますが、外国企業との取引では注意が必要になります。第一に末締め、翌月末払いというのは、その間(最大60日間)代金の支払いを待つということですので、相手方当事者に対して与信を与えるということになります。しかしその間に相手方当事者が倒産する可能性もありますし、紛争が生じて代金を支払ってくれなくなる可能性もあります。また、与信を与えるということは、交渉上相手方当事者の立場を有利にする(こちらは代金の支払いをしてもらえるかどうかわからないので、交渉上強気に出られなくなってしまうなど)ことになりますので、極めて危険な状態にあるということも言えます。

外国企業との取引においては、同時履行が原則ですので、商品を引き渡す場合には、必ず代金を同時に受領する必要があります。貿易の場合には、同時履行が難しいですが、その場合には、相手方の所在地の信用のある金融機関が発行したLC(Letter of Credit)を受領しておくことも考えられます。

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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