代表弁護士ブログ

2011年11月 2日 水曜日

英文販売代理店契約書作成の基礎知識

日本の企業が自社の製品を海外で販売するために、海外の会社を販売代理店に指名して自社の製品を販売してもらうことがあります。同様に、外国企業の製品を日本で販売するために、日本企業が外国企業の販売代理店に指名されることがあります。このような場合に作成される契約が販売代理店契約(Distributorship Agreement)です。

エージェント契約(Agent Agreement)と言われる場合もありますが、通常販売代理店とエージェントの区別はそれほど厳密ではありません。あえて言えば、販売代理店は、外国企業の商品を自ら購入し、代理店自らが売買契約の当事者となって現地の顧客に商品を販売する場合であり、エージェントは単に商品の売買の取り次ぎをするだけで、売買契約書自体は、製造業者とエンドユーザーとの間に直接締結される場合ということもできますが、その内容については、契約ごとに異なる扱いがありますので、それぞれチェックが必要になります。

販売代理店契約では、第一に、売主が販売代理店を販売代理店に指名し、販売代理店は指定された商品を当該国で販売することを約束することが必要になります。その際、販売地域(Territory)がどの範囲であるかは重要ですので、販売地域の特定を行う必要があります。また、当該Territoryの中で、独占的に販売する権限を有するのか、非独占的な代理店契約であるのかも重要になってきます。

独占的代理店契約(Exclusive Distributorship)の場合、売主は、当該地域の中では、他の代理店を販売代理店に指名することができませんので、代理店の指名は慎重に行う必要があります。一方代理店の側では、Exclusiveな契約の場合には、人材の採用、広告宣伝活動など営業活動などに思い切って投資を行い、当該商品の販売に専念することができますが、非独占(Non-Exclusive)な契約の場合には、他の販売代理店が指名され、同一の商品が競合して市場で販売される可能性がありますので、投資についても慎重にならざるを得ないことになります。従ってExclusiveな契約とするか、Non-Exclusiveな契約とするかは、双方にとって極めて重要な事柄になります。

販売の形態として、代理店が直接顧客と契約を取り交わし、代理店が顧客との契約の当事者になる場合と、代理店は顧客を紹介するのみで、売買契約自体は、売主と顧客との間で直接取り交わされることになる場合の双方がありますので、そのどちらであるかを明確にします。代理店が直接顧客と契約を締結する場合には、当然マージンも大きくなりますが、一方で顧客との取引契約上の責任も負うことになります。例えば、顧客からクレームがあった場合には、瑕疵担保責任や債務不履行責任による損害賠償義務を負う可能性も出てきます。

代理店が単に顧客を紹介するだけの場合、代理店は売主と顧客との間に契約が成立した時点で一定のマージンをもらえることになりますが、自らが当事者として契約を締結する場合に比較しマージンの割合は小さくなります。

代理店が在庫のリスクを負うのかどうかも重要な要素です。もし代理店が一定の商品の買取責任を負う場合には、商品が販売できなかった場合には当該商品を自ら引き受けなければならなくなりますので、リスクの大きな取引であると言えます。この場合は、できるだけ在庫量の調整が行えるようにしたり、マージンを大きくしてもし販売できなかった場合のリスクをヘッジするなどの方法を合わせて検討する必要があります。

販売代理店契約のほとんどの条項が代理店の義務を定めたものになります。代理店の義務としては、次のようなものが考えられます。
(1)品質、ブランドの維持義務
(2)販売努力義務
(3)最低販売数量の約束
(4)宣伝活動の方針
(5)販促活動の内容
(6)報告義務

販売代理店契約においては契約期間も重要な要素となります。通常外国の商品を販売する場合には、当該商品の周知活動などに多額の投資を要することになりますので、突然契約を解除された場合には、代理店側に不足の損害が生じてしまう可能性があります。一方売主の側としては、できるだけいつでも契約の解除をできるようにしておかないと、当該代理店の実力が不十分で十分に市場に浸透できない場合には、競合会社に市場を取られてしまう可能性もありますので、実力のない代理店は首にして、別の代理店を探したいという要望がある得るところです。

代理店契約の期間が定められている場合であっても、繰り返し契約が更新された場合には、当事者としてはいつまでも契約が続くものと期待することがありますので、このような継続的契約関係の解除については、正当な理由を必要とするという判例法理があります(国によっては継続的契約関係の解除に制限があることを法令で定めていることも考えられます)。継続的契約関係の解除は、実務上もよく問題になることですので、外国の代理店を指名する場合には、現地の法令についてのチェックも必要になるかもしれません。

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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