事務所ブログ

2011年11月10日 木曜日

事業者団体と競争法

アソシエイト弁護士 山村 健一

企業が経済活動や社会活動を行うに当たり、他の企業との間で組織化を図り一定の共通目的のために活動することがあります。このような組織化された企業の団体は、一般的に事業者団体と呼ばれています。

事業者団体の目的は、特定のビジネス分野の発展を目的とするものや、情報の交換を目的とするもの等様々です。

これらの事業者団体の活動には、企業間の協力により技術の発展を促進させることや業界の政治に対する発言力を向上させること等様々な意義があります。しかし、一方で、事業者団体の活動が企業間の競争を実質的に制限するとして違法なカルテルに該当し、独禁法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)に違反する可能性もあります。

カルテルについては、統一的な定義が決められているわけではありませんが、独禁法においては、「不当な取引制限」として、「事業者が契約、協定、その他何らの名義をもってするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」を禁止しています(独禁法2条6項、3条)。ここでは、この不当な取引制限をカルテルと呼称することとします。

以上のカルテルの中で、もっとも単純かつ典型的な例が価格カルテルとなります。
価格カルテルとは、要するに、企業間における協議等を通じて製品の価格を決定する場合等を指します。価格カルテルにより、予め製品の価格を設定することで企業間の公正な競争が阻害され、結果的に一般消費者のもとに提供される製品の価格に影響が生じることになります。
独禁法が「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進すること」をその立法目的としていること(独禁法1条)からもわかるとおり、一般消費者に提供される製品の価格に影響を与える価格カルテルは、一般消費者に不利益になるといえることから、カルテルとして違法性を帯びることになるわけです。

以上のように、一般消費者に不利益を与えることになるカルテルは独禁法に違反するところ、事業者団体においては、他企業の情報に接する機会が多くなるため、カルテルを行う危険性が多くなることになります。

そこで、事業者団体では、カルテルの防止のため、内部的な規則を作成することがあります。

このような内部規則における規定の例としては以下のような事項があります。

・規則の目的・競争法に違反した場合に生じうる問題の説明
・価格カルテルや数量制限カルテル等基本的なカルテル行為の禁止
・会合等において、議論や決議をしてよい事項と禁止される事項の例示
・所属企業の営業社員等製品の価格に影響を与えうる社員を事業者団体の会合に出席させないこと
・事業者団体が統計活動をする場合のルール
・事業者団体が製品の規格化を行う場合のルール
・当局から立ち入り調査を受けた場合の対応の心得

また、カルテルの規制は、日本のみにおける問題とは限りません。
事業者団体の活動がある国の市場に影響を与える場合、その国の競争法の適用がありうることになります。特に、欧州の競争法が厳格であることはよく知られているところであり、事業者団体の活動が欧州の市場に影響を与える場合、欧州競争法の適用を受ける可能性があることになります。

以上のとおりですから、国際的な事業者団体の場合には、どの国の競争法も適用される可能性があるという前提に立って活動を行うことが肝要です。
ただし、外国における競争法も、企業間の公正な競争の阻害を許さないという基本的な考え方は独禁法と同じものであるため、まったく想定外な規制を受けることは多くはないと思います。
とはいえ、具体的な案件においては企業にとって厳格な解釈や適用がなされることや違反した場合の課徴金が相当多額に上ることもありますのでご注意ください。


投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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