代表弁護士ブログ

2012年6月20日 水曜日

M&Aを行う際の留意点1―買収候補または売却先の探索、インフォーメーションパッケージの作成、秘密保持契約書、相対取引とビッド方式

企業買収は、業容の拡大、後継者問題の解決、事業の再生など企業運営のあらゆる場面で見られるようになっています。現在のように市場の急激な拡大が見込めない中で、同業他社の買収または同業他社への売却は事業の存続にとっても重要な戦略に位置づけられます。私どもの事務所でもM&Aにかかわる案件が非常に多くなっていますので、内内案件(国内企業が国内企業を買収する案件)を中心として、その手続きについて簡単にみていきたいと思います。

買収候補または売却先の探索
M&Aの世界では買収候補をターゲットと呼びます。ターゲットの探索は、法律事務所や会計事務所に依頼することもありますが、当該業界についての圧倒的情報量を有する証券会社やその他専門業者に依頼する方法が多く取られます。ブティック型の専門業者は、主に四季報などで候補となる企業を探索し、訪問や手紙などで買収についての関心の有無を確認するのに対し、大手証券会社では、当該業界内で有名な企業を羅列したいわゆるロングリストを作成し、その中から適当な候補者をいくつか絞り込み、絞り込んだ先に買収についての関心の有無を確認するという方法を取っています。

インフォーメーションパッケージの作成
ターゲットとなる企業では、企業を売却するに際していわゆるインフォーメーションパッケージを作成します。インフォーメーションパッケージには、設立年月日、所在地、役員の構成、主要取引先などの会社の基本情報とともに、所有不動産の一覧、所有する知的財産権の一覧などを表にしてまとめます。インフォーメーションパッケージは買収先が買収を判断する際に重要な書類になりますので、情報がきちんと整理されているかどうか、エクセルやパワーポイント、写真などを有効に活用した見栄えの良いものであるかどうかも重要になります。証券会社などをM&Aのフィナンシャルアドバイザー(FA)に選任している場合には、FAが効果的なインフォーメーションパッケージを作成してくれます。

秘密保持契約書
買収候補企業に対して情報を提供する場合には、会社の秘密情報も提供されることになりますので、当該情報が買収以外の目的に使用されたり、ディールがブレークした後、その情報が他社の営業や商品開発などに使用されることになってはいけませんので、秘密保持契約書(Non-Disclosure Agreementの頭文字をとってNDA、Confidential Agreementの頭文字をとってCAとも呼ばれます)を締結することが重要になります。秘密保持契約書では、秘密保持、目的外使用の禁止のほか、情報の管理の方法、ディールがブレークした場合の情報の返還、廃棄の方法についても、開示の方法や範囲に関連し、緻密に確認しておく必要があります。また、秘密保持契約書を締結しただけで満足せず、必ず情報の返還や廃棄については、文書をシュレッダーしたことやコピーを取っていないことなどを確認する確認書の提出を受けることも重要になります。

相対取引とビッド方式
M&Aは売却企業にとっては極めて重大な影響のある事象ですので、その交渉を行っていること自体、取引先や従業員に対して最大限に秘密にしていく必要があります。従って多くのケースでは、相対取引となり、特定の買収候補に個別に当たり検討を要請することになりますが、倒産企業の売却などの場合には、秘密の保持よりも、取引価格の公正さの要請が強いことから、複数の買収候補企業から意向表明書を提出してもらい、条件のよい2ないし3社と並行して交渉を行うということもあります。この場合、買収候補者は、インフォーメーションパッケージを確認の上、大体いくらの金額で購入する意向があるのか、購入する場合の条件としてどのようなものがあるのかなどを簡潔にまとめ、意向表明書に記載する必要があります。また、ビッド方式の場合には、FAは、入札手順書を作成し、意向表明書を提出した買収候補者に連絡します。買収候補者は、FAの定めた買収スケジュールにのっとり、デューデリジェンスを行った後、入札期日までに購入価格を記載した書面を袋に入れ糊付けしてFAに送付し、FAは改札日において、封書を開封し、最も高価の申し出のあった候補者と最終合意に向けた交渉を行うという手順を取ることになります。

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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