事務所ブログ

2013年6月 3日 月曜日

強制執行手続概説(3)

代表弁護士 栗林 勉
 
1 強制競売の申立て

 不動産執行の申立ては、書面によって行います。競売手続については、目的不動産の所在地を管轄する地方裁判所(支部を含む。)が管轄裁判所となりますので、当該裁判所に対して申立を行うことになります。この裁判所のことを執行裁判所といいます。不動産執行の申立書には執行文が付与された債務名義を添付する必要があります。また、強制競売申立の際には、裁判所が定めた金額の予納金及び申立手数料を納付する必要があります。

 不動産の買受可能額から優先債権の額や執行費用を控除した金額がゼロないしマイナスとなる場合には、債権者は弁済を受けられないことになりますが、このような場合には、無剰余執行の禁止の規定により執行手続きは取り消されることになります。現在は、不動産価格の下落により、後順位債権者が配当を受けられないことは多くありますので、このような場合の後順位債権者による競売申立については取り消されることが多くあります。多くの事例においては、執行裁判所の書記官から、申立代理人に電話があり、保証金を積んで競売を続行するか、自発的に申し立てを取り下げるかを選択するよう求められるのが通常です。多くの場合、保証金を積んでまで競売を続行する意味はありませんので、自ら取下げを行うことになりますが、サービサーが多額の債権で担保権を取得し、自ら買受を行うことを希望しているような場合には、競売の続行を選択することもあり得ると思われます。いずれにしても、無剰余執行の禁止の規定は実務でよく問題となるところですので、注意が必要になります。

 土地の抵当権者が土地に設定された抵当権を実行する際に、土地と建物を一括して売却したほうが土地の価格を高く売却できるという場合があります。その場合、その土地上に存在する建物について抵当権が設定されていなくとも、土地と建物を一括して競売を申立てることを認めた制度が一括売却の申立の制度です(民法389条)。

   民法389条による一括売却の申立をする場合には次の各要件を満たす必要があります。
1.抵当権設定当時、土地上に建物が存在しないこと。なお、抵当権設定当時存在した建物が再築され、再築建物に抵当権の追加設定がなされなかったときも含まれます。
2.抵当権設定後に抵当地上に建物が築造されたこと。抵当地上の建物の所有者が誰であるかを問われません。建物所有者が抵当権者に対抗することが出来る権利を有する場合は、発令後に執行異議により争うことになります。

2 占有移転禁止仮処分
 
 強制競売の申立後、執行官は債務者の財産の調査を行いますが、債務者が強制執行を免れる目的で意図的に財産を他人に譲渡したり、目的物の占有を移転することがあります(明渡執行であれば、債務者以外の者が賃借建物に住んでいたりすること)。債権者としては、このような事実が明らかになった場合、または占有や所有権が第三者に移転される恐れがある場合には、裁判所に対して占有移転禁止の仮処分を申請するなどして、債務者による執行妨害を防ぐ手立てを講じておく必要があります。賃借人以外の者が住んでいる場合には当然に不法占拠ということになりますが、債権者(賃貸人)としては、不法占拠者に対して直ちに強制執行できるわけではなく、再度訴訟を起こして勝訴判決を得る必要があるなど、債権者の負担は著しく大きくなり、かつ執行手続きが遅滞してしまうことになります。債務者が占有を移転したり、財産を隠匿する可能性があると思われる場合には、占有移転禁止の仮処分、処分禁止の仮処分の申し立ては不可欠となります。
 


投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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