事務所ブログ

2013年6月 5日 水曜日

強制執行手続概説(5)

代表弁護士 栗林 勉
1 引渡命令

 競売手続きの買受人としては、競売が完了した後に債務者がきちんと不動産の引渡しをしてくれるかどうかについて、もっとも不安となります。そこで、買受人は代金を納付した時から6か月以内に限り、裁判所に引渡し命令の申し立てを行うことができます。買受人からの申立に対し、執行裁判所は、債務者又は不動産の占有者に対して、不動産を買受人に引き渡す旨の命令(引渡命令)を発することになります。引渡命令は実際上かなり強力な命令ですので、不動産の買受人としては競落した不動産を占有する債務者がいる場合には、6か月の期間ないに申し立てを行うことを忘れないようにする必要があります。この意味で、この6か月の期間というのは極めて重要な意味を有することになります。
 通常引渡し命令が発令された場合には、債務者が任意に引越しを行うなどして不動産の引渡しを行うものと思われます。しかしながら、中には裁判所の引渡命令が出されたにもかかわらず、不動産の占有を継続して引渡しに応じない債務者や占有者もいます。この場合、買受人としては不動産の引渡しの強制執行の申立をすることになります。

2 強制執行

 不動産の引渡しの強制執行の申立があった場合には、執行官はあらかじめ引き渡し期限(引渡しの催告があった日から1か月を経過する日)を定めて、債務者に対して引渡しの催告を行うことになります。引渡しの催告期限までに債務者が当該不動産の引渡しをしない場合には、執行官により不動産引渡しの強制執行が取られることになります。不動産引渡しの強制執行においては、執行官は、鍵屋を使って鍵を開錠したり、建物の中にある動産類を運びだし、運送業者を使って倉庫などに移動させることができます。また、建物の中にある動産類(家具や書類など)については、売却期日を定めて買受希望者に売却することができます。犬、猫などのペットも動産として扱われますので、債務者が引き取らない場合には、売却手続きにより売却されてしまうことになります。債務者が大量の動産類を保有しているとみられる場合には、強制執行を申し立てる債権者は、事前に執行官と十分に打ち合わせを行い、運送業者の予約、鍵開錠業者の予約、ペット引き取り業者の予約、ピアノの搬出方法、搬出した動産の保管場所などを決定しておく必要があります。これらの費用は後日債務者に請求することが出来るとしても、実際上債務者からの任意に弁済を受けられることは少なく、最終的に債権者の負担となることが多いと思われます(執行官費用を含め、一軒家の場合で100万円から200万円程度)。通常運送業者などについては、執行裁判所が作成した一覧表の中から選ばれることになりますが、経験のある運送業者であれば、間取りなどを説明するだけで、あらかたの費用の見積を出してくれますので、いくつかの業者を比較し、運送賃の安い業者を選ぶということも可能です。


投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

カレンダー

2018年7月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
english
アクセス



〒100-0011
東京都千代田区内幸町1-1-7
NBF日比谷ビル502号

お問い合わせ 詳しくはこちら
  • RSS配信
  • RSSヘルプ