事務所ブログ

2015年12月 9日 水曜日

法務航海日誌〈1〉

弁護士 山原 英治

2015年12月9日 
天候:晴れ 風向:NW  風速:3m/s 

冬に入りかけ執務室から望む日比谷公園の木々も鮮やかに色づいていますが、天候、風向、風速ともに「出港」には穏やかな日です。

弁護士・海事補佐人として新たに当事務所に参加した山原です。ここまで運送人・船主としての船社、カーゴ・オーナー・船主としての商社、あるいは造船会社を代理して仕事をしてきたところですが、当事務所に参加したこの機会に、海事法務の視点を切り口に、企業法務に関わる様々な論点について、日々感じたことをこのブログ=法務航海日誌として記載していきたいと思っています。この試みは既に2012年年初から半年ほどNBL誌に連載した「法律意見書の読み方」によって一部実現され、連載中好評だったこともあり同名で商事法務社から著書として2013年夏に一冊の本として出版されています。

「法律意見書の読み方」は、その後日本海運集会所の「海運」誌でご紹介いただいた他、BUSINESS LAW JOURNAL誌2014年2月号の「法務のためのブックガイド2014」の中で長島・大野・常松法律事務所(当時在籍)の柴田堅太郎弁護士によって「ベテラン法務パーソン・弁護士の経験に学ぶ」の項目で推薦書の一つとしていただきました。柴田先生とは面識がありませんが、有難うございました。この本では、私が法律事務所で勤務していた際に外部カウンセルとして感じたことを踏まえつつ、更に我が国において現在1500人を超えて増えつつある若きインハウス・カウンセルの皆さんへ私の企業内弁護士としての経験や知見を伝えるという複合的な作業をしていました。そのあたりで各方面からご関心をいただけたように感じています。もとより海事法務を主要な切り口にする趣向上、この本の中では海事法務に関わる事案はビビッドに表現されています。第2話のタイタニック号遭難事件(第1話とともに当事務所に写しをアップしています)では船舶建造・構造・設計図等の話や船主責任制限法制についても語っていたところ、ちょうどイタリアでの客船「コスタ・コンコルディア」座礁事件が発生し死傷者が生じました。私の経験を踏まえたという点では、「第7話:アラビアのロレンス、アカバ港を急襲す」では倒産をテーマとし、また「第11話:海底二万里」では抵当権 vs.船舶先取特権をテーマとして論述しましたが、ちょうどのその頃、三光汽船の二度目の会社更生法適用事案に債権者側として対応する必要があり、日本の会社更生法だけでなく外国倒産手続の承認手続である米国チャプター15の話や、米国ボルチモア港での「サンコウミネラル」のアレスト(船舶差押え)についても、米国法下でのアレストの制度を説明しながら語った次第でした。

柴田先生が論評したとおり「船が好きかどうかで(この本の読者の)評価が分かれそう」というのは、ご指摘の通り(笑)。幸い柴田先生はお好きだったようですが、これから適宜お贈りする「法務航海日誌」も読者層が偏るかもしれませんね。

皆さん、海員として本船乗船したでしょうか?

では出港とさせていただきます。

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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