事務所ブログ

2016年5月13日 金曜日

FCPAの日本企業に対する適用について

FCPA(Foreign Corrupt Practices Act、海外腐敗行為防止法)は、反贈収賄規定及び会計規定から構成される米国連邦法です。米国連邦法ではあるものの、FCPAの反贈収賄規定は、規制対象となる行為、法人及び個人の範囲が非常に広く定められており、日本企業・日本人を含む外国法人・外国人に対する執行が積極的に行われています。

例えば、FCPAで供与等が禁止される賄賂は、現金に限らず何らかの利益(Anything of Value)とされており、スポーツカー、毛皮のコート、その他の高価な物品等も広く禁止の対象となります。現金については、旅費、接待費等の名目であったとしてもFCPAが適用される可能性があり、下記のガイドラインでは1万ドルの飲食費及び交際費を使用したケースが不適切な例として挙げられています。

また、反贈収賄規定の適用対象は、①証券発行者(Issuers)、②国内関係者(Domestic Concerns)、③米国内で行為の一部を行った者とされています(これに加えて、共犯関係にある者及び代理人も適用対象となります。)。

例えば、日本企業が米国以外の第三国の現地販売代理店から当該国の外国公務員に対して賄賂を支払った場合であっても、現地販売代理店に対する支払いが日本企業から当該日本企業の米国子会社を通じて行われ、その際に米国子会社の従業員が電話、ファックス、電子メールを通じて日本企業との通信を行ったときは、国内関係者である米国子会社の共犯としてFCPAが適用される可能性がある上(②)、米国子会社との通信を通じて日本企業が米国内で行為をしたとしてFCPAが適用される可能性もあります(③)。

また、日本企業自身が米国内で何らの行為も行っておらず、米国子会社も有していない場合であっても、日本企業の共謀者が米国内の銀行を介して第三国の銀行に賄賂の送金をした場合、米国内で行為の一部を行った者の共犯としてFCPAが適用される可能性があります(③)。
したがって、日本企業は外国公務員に対して供与等をした物品が賄賂であると考えておらず、かつ、自身が米国内で一切行為をしていない場合であったとしても、当該日本企業の予想に反してFCPAの適用を受ける可能性があり、コンプライアンスの徹底等を含め、FCPAの適用を受ける可能性があることを前提とした適切な対応を行う必要があります。

なお、FCPA については、2012年11月14日、米国司法省(Department of Justice)と米国証券取引委員会(Securities Exchange Commission)が共同でガイドライン<米国司法省のサイトより>を公表しており、FCPAに関する対応を検討する上で大変有意義なものとなっています。

日本企業及びその従業員に関するFCPAの適用事例

・日揮株式会社がナイジェリアの公務員に対する贈賄に関し2億1880万ドルの罰金を支払った事例<ナイジェリアLNG事件>

・丸紅株式会社がナイジェリアの公務員に対する贈賄に関し5460万ドルの罰金を支払った事例<ナイジェリアLNG事件>

・株式会社ブリヂストンがアルゼンチン、ブラジル等の公務員に対する贈賄に関し2800万ドルの罰金を支払い、同社の担当部長がこれに関連して8万ドルの罰金を支払うとともに24か月の禁固刑に服した事例<マリンホース事件>

※ 但し、株式会社ブリヂストン及び同社の担当部長は、反トラスト違反についても有罪を認めています。

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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