事務所ブログ

2016年6月17日 金曜日

休眠抵当権の抹消手続き

不動産に抵当権や根抵当権が設定されていながら、数十年間何ら変更がなされないまま放置されている事例がよくあります。既に抵当権や根抵当権で担保される被担保債権が時効により消滅していることは明らかですが、債権者と連絡がつかなかったり、債権者が死亡していたりして抵当権や根抵当権の登記の抹消ができないため、登記だけが永遠と残っているのだと思われます。土地やマンションの所有者も債権が存在しないことは明らかですから特に問題とせずそのまま放置されていますが、相続や土地の再開発などで不動産の売却処分を行う場合には、抵当権の抹消が必要となり、どのようにして抵当権の抹消を行うかを相談される事例もよくあります。事例を分けて説明します。

1 債権者である抵当権者や根抵当権者が個人であり既に死亡している場合
抵当権者や根抵当権者の同意があれば抹消登記は可能ですが、既に死亡しているため同意を得ることはできません。この場合、弁護士に相続人の調査を依頼し、全ての相続人から抵当権抹消の同意を得るか、全ての相続人を相手方として抵当権抹消登記の裁判を提起しなければならないことになります。相続人が複数いる場合、相続人の調査は大変ですが、相続人の特定自体は可能なケースです。

2 債権者である抵当権者や根抵当権者が法人であり、会社の破産又は清算し、代表者の死亡、代表者の行方不明などで代表者への連絡が出来ない場合

会社が破産している場合、破産管財人が財産管理権限を有していますので、破産管財人に依頼して登記の抹消を行うことになります。破産管財人が任意の登記の抹消を行ってくれない場合は、破産管財人に対して訴訟を提起することになります。破産管財手続きが既に終了している場合や、会社が破産せずに解散または清算されている場合、裁判所に対して清算人の選任申立を行い、清算人を相手方として抵当権抹消請求訴訟を提起することになります。但し、この場合清算人は裁判所が選任する弁護士が就任することが多いと思われますので、清算人の選任申立ての段階で申立人の側で清算人である弁護士の報酬を予納することが求められます。この予納金の額は事案にもよりますが一般的には40万円程度を要すると思われますので、休眠抵当権の抹消を求める人にとってはかなりの負担になります。

一方、会社の代表者が死亡し新たな代表者の選任がなされていない場合や、代表者が行方不明で連絡がつかない場合などは、そのような事情を説明することで裁判所に対して民事訴訟法35条の特別代理人の選任の申立ができます。特別代理人も裁判所が選任する弁護士が就任することになりますが、報酬は一般的に10万円程度と安くなっています。特別代理人の選任がなされると、特別代理人を相手方として抵当権抹消登記の裁判を提起することになります。特別代理人は、法人の代表者がいない場合や法人の代表者が代理権を行うことが出来ない場合(民事訴訟法37条、35条)に選任されるものですが、予納金の金額が少なくてよいことから、上記の破産管財手続きが終結している場合、解散法人について清算人が選任されていない場合などでも特別代理人の選任を求める事例もよくあります。

3 債務者である不動産の所有者が死亡している場合
所有者が死亡している場合、被相続人名義のままで不動産を処分することはできませんので、相続人が不動産の処分を行うためには、相続人全員への相続登記を行うか、遺産分割により特定の相続人がその不動産を相続したことを登記する必要があります。相続により不動産の所有者となったものは、抵当権者または根抵当権者に対して抵当権抹消登記の裁判を提起することになります。

なお、上記のいずれの場合であっても、根抵当権については抵当権の確定手続が必要になりますので、被担保債権が時効により消滅したことを立証するだけでは不十分です。但し、上記の通り、相手方との連絡がつかない事例では裁判を起こして判決を得ないと登記の抹消はできませんので、裁判手続きの中で根抵当権の確定(準備書面の中で根抵当権確定請求を行い2週間の経過を待つ)を行えば足りることになります。

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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