事務所ブログ

2017年3月13日 月曜日

香港会社法―その1:香港での会社設立

 栗林総合法律事務所では、国内外の企業の国際取引、国際紛争に関する業務を日常的に扱っています。
 この度、香港の弁護士Christy Liさんに香港の会社法についてブログ記事を書いていただき、弊所の英文ホームページに掲載いたしました。
 こちらの事務所ブログではそれを和訳してご紹介しますので、ご参考にしていただければ幸いです。

香港会社法―その1:香港での会社設立

 香港は国際的な投資家が国際取引を行う貿易会社や投資会社を設立する場所として人気がある地域の1つです。会社設立、取締役、株主を含め、香港の株式会社のガバナンスについては主に新会社法(622章)(以下、単に「会社法」といいます。)に規定されている。これから香港での会社設立についての概要をご紹介します。

なぜ香港なのか?
 香港のビジネスマーケットの入門として、香港で会社を設立するメリットを挙げてみたいと思います。
1. 英米法制度 
 香港の政治体制、あるいは基本法により、基本的人権及びイギリス統治時代からの資本主義体制を守っています。香港は中華人民共和国(以下、「中国」といいます。)の一地域ではありますが、司法の最終決定権は香港裁判所に認められているということを含め、「一国二制度」政策の下で香港は高度な自治権を享受しています。また、香港はコモンロー制度及びイギリスの会社法に基礎を置く会社法を維持しています。
2. 金融の中心
 抜群の金融の中心として、香港は金融及び法曹業界の一流実務家を魅了しています。そして、2017年、香港の経済自由度指数(米国のヘリテージ財団とウォールストリートジャーナルによって作られ、点数で世界の国々の自由経済度を表すもの)は世界171か国中で23年連続1位に選ばれています。この経済自由度指数は、香港の効率的な法制度及び税制、競争的な商業制度及び全体的な経済的自由を特に強調しています。最も重要なことは、香港から外への資産移転も香港内への資産移転も何ら規制がないことです。
3. 設立の簡易さ
 香港での会社設立は法整備がしっかりしており簡易迅速に行うことができます。必要書類をすべてそろえることを含め、7日から10日で香港で会社を設立することができます。最低資本金はたった1香港ドルです。1人の株主、1人の取締役さえいればよく、100%外資でも問題ありません。
4. 好都合な税制
 香港は簡易で効率的な税制を敷いており、場所を基準に所得に課税されます。つまり、香港の域内での所得にのみ課税されるということです。現在、香港内における収益にかかる法人税の税率は16.5%です。香港では株式の配当、利息、キャピタルゲインには課税されません。また、付加価値税、相続税、源泉徴収税もありません。
5. 租税条約
 香港は日本を含め、諸外国と様々な租税条約(以下、「DTA」といいます。)を結んでいます。2010年11月9日、日本と香港の両政府は初めて租税条約の締結に至りました。そこで、日本と香港で課税される所得の範囲が明確にされ、日本、香港間の税務関係の問題を解決する調停手続を含め、税務当局間の交渉に関する規定が定められました。この租税条約では、全般的に投資収入(株式の配当、利息、印税等)への課税率が引き下げられ、異なる課税区域での二重課税を回避されています。

法人設立
 香港の私企業については香港会社法上に規定があります。
1. 株式譲渡についての制限
2. 株主数を50以下とする制限(当該会社の従業員及び当該会社の従前の従業員は含まない)
3. 公募による募集株式の発行や社債の発行の禁止

 さらに、私企業は保証有限責任会社であってはなりません。
 香港における非公開有限責任会社の設立は、24時間ポータルサイトの電子登記で行うか、会社登記所に下記の必要書類と手続き費用を持参して行うことができます。
1. 会社設立申請書
2. 会社定款のコピー
3. 会社登記所への通知書

 商業登記法の下では、会社設立登記申請を行うときは、申請者はコミッショナーに登記費用を支払い、会社登記所への通知書と会社設立登記に必要な他の書類を提出しなければなりません。会社設立をする際には、当該会社は企業登録申請も行います。そして、会社が設立されるときに、企業登録証明書が会社設立証明書と同時に発行されます。この企業登録証明書を当該会社は備置く必要があります。企業登録証明書の有効期限は1年間または3年間です。

株式資本
 会社法では、香港会社の株式は額面価値がないと規定しています。会社法には、発行される株式の数について何らの要件も規定していません。株式資本を持つ香港会社の定款には、会社が発行する株式の最大数を記載することができます。

会社名
 香港に設立された有限責任会社の場合、会社登記に記録されている会社名と同一であってはなりません。会社登記のサイバーサーチセンターまたは会社検索モバイルサービスを通じて、無料で会社名の検索を行うことができます。

会社の構成
 会社法のもとでは、香港企業は少なくとも1人の構成員(すなわち株主)を有していなければならず、その1人の構成員は株主の名義人であっても可能です。当該メンバーは香港に居住する必要はなく、個人または法人の如何を問いません。一人株主である場合は会社の取締役になることができます。

 香港の非公開有限責任会社には、少なくとも1人の自然人の取締役と1人の秘書役が必要です。会社に取締役が1人しかいない場合、当該取締役は同社の秘書役を兼務することはできません。香港の居住者でない人物を取締役に任命することも可能です。秘書役が自然人の場合、通常は香港に居住するべきです。秘書役が法人である場合、登記上の事務所または事業所は香港にある必要があります。

 プロフェッショナル会計士条例(Cap.50)に従い、会社は会計士または香港に登録され資格を有する会計事務所を監査人として任命しなければなりません。

 会社は、香港に登記された事務所を有さなければならず、そこに法的書類、通知書面または連絡書面を保管しておく必要があります。当該通知書面または連絡書面は、当該事務所から発送され、又は当該事務所で受理した場合、適切に保存されます。会社の様々な法定書類等は、登記された事務所に保管する必要があります。

 会社の登録された事務所の所在地は登録された設立フォームに記載する必要があります。設立後に事務所住所が変更された場合は、登記所に通知しなければなりません。所定の書式(Form NR1)の変更通知を、変更日から15日以内に登記所に送付しなければなりません。

手数料
 有限責任会社の設立手数料は以下のとおりです。
1. 会社登録料:1,720香港ドル(設立が不成功に終わった場合、1,425香港ドルの払い戻し申請が可能です。)
2. 営業登録料:1年間の証明書は2,000香港ドル、3年間の証明書は5,200香港ドル
3. 保証基金の賃金保証税:1年間の証明書は250香港ドル、3年間の証明書は750香港ドル

処理期間
 会社設立や営業登録のオンライン申請は、通常1時間以内に処理されます。申請書をハードコピー形式で提出する場合は、通常、4営業日以内に設立証明書および営業登録証が発行されます。





投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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