事務所ブログ

2017年5月11日 木曜日

企業法務弁護士による遺産相続 非上場株式の評価

最近、遺産相続に関連し、非上場会社の株式の価格をどのように評価するかが問題となるケースが多くなってきています。上場会社株式の場合、市場で取引される時価がありますので、価格の算定は容易と言えます。一方、非上場会社の株式については、売買される事例自体が極めて限られており、仮に売買される場合であっても、従前の慣行に従い一株500円や一株5万円など固定された金額で取引される事例も多くあります。会社の純資産額に拘わらずに、一定の金額で株式の取引を行う方法も慣行として認められている場合には有効とされています。多くの中小企業では、株主が亡くなった場合などには、従前の取引例に倣い一定の定められた金額での買い上げ(自己株式の取得や経営者一族による買い取り)がなされることが多いのではないかと思います。

通常の場合、このように一定の定められた価格での取引も問題ありませんが、相続が発生した場合には、相続税の計算を行う観点からも、客観的な価格の算定が求められることになります。また、遺産分割を行う際には、相続人間での平等な相続財産の分配が必要となってきますので、非上場会社の株式を相続した相続人の取得価格をいくらと計算するのかという観点からも株価の算定が必要となります。遺産の大部分が会社の株式であるような場合には、会社の経営を承継する者が株式を取得し、その他の相続人に対しては金銭の分配を行う代償分割を行うケースも多くありますが、その際にも代償金の決定において株価の算定が必要となります。また、長男が会社の経営を引き継ぐ場合などは、株価の算定だけで済みますが、遺産分割に関連して経営支配権の取得を巡る争いが勃発した場合には、誰がどれだけの株式を取得するのかともからみ、極めて複雑な様相を呈してくることになります。

そこで、相続の場合における非上場会社の株式の評価方法について簡単に述べてみたいと思います。

取引相場の無い株式の相続税評価については、原則的評価方法と特例的評価方法があります。原則的評価方法としては、純資産価額方式、類似業種比準方式、併用方式の3つがあります。一方、特例的評価方式としては、配当還元方式が用いられます。そこで、どの場合にどの計算方式が適用になるかをまず確認することが必要になります。

非上場会社の株主には、同族株主と同族株主以外の株主がいます。同族株主以外の株主については、特例的評価方法による配当還元方式が適用になります。例えば、会社の同族以外の役員が株式を有している場合や、会社の従業員、取引先などが経営者からの依頼や持ち株制度等により、少数の株式を所有しているような場合です。この場合、同族株主等以外の少数株主は会社の支配権を有しておらず、株式を有していることの経済的メリットとしては配当を受けることに限られてきます。そこで、株式の評価においても、いくらの配当をもらっているので、それの経済的価値をいくらとみるかという観点から評価されることになります。このことは、同族株主等であっても、支配権を持たない少数株主についても適用になります。従って、同族株主等以外の株主と、同族株主であっても支配権を持たない少数株主については、特例的評価方法である配当還元方式が適用になることになります。

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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