事務所ブログ

2017年5月12日 金曜日

企業法務弁護士による遺産相続 支配権を持つ同族、類似業種比準方式(その2)

類似業種比準価額方式による一株当たりの株価は、次の計算式により求められることになります。

 A×(B'/B+C'/C+D'/D)÷3×X

A:類似業種の株価
B:類似業種の1株当たりの配当金額
B':評価会社の1株当たりの配当金額
C:類似業種の1株当たりの年利益金額
C':評価会社の1株当たりの年利益金額
D:類似業種の1株当たりの帳簿上の純資産価額
D':評価会社の1株当たりの帳簿上純資産額

Aは、当該会社と同業の会社で、取引所で取引されている上場会社の株価の平均値を示しています。業種ごとに評価の対象となる上場会社を国税庁が決めており、その平均価格については、国税庁のホームページで見ることができます。類似業種の株価は毎月更新されています。業種については、大分類、中分類、小分類があります。製造業の中でもどのような製品を取り扱っているかにより分類が異なってきます。同様にサービス業についても、大分類だけでなく、中分類や小分類も参照してどの株価が比準価格として採用されるのかを確定していく必要があります。

また、株価算定の元となる類似業種の株価(上場会社の平均)については、現行の評価では、前月(1か月前)、前々月(2か月前)、前々前月(3か月前)、前年平均のいずれかを用いることとされていましたが、平成29年の税制改正により「前2年平均」が追加されました。この改正により、上場会社の株価の急激な変動が、中小企業の株価に与える影響が小さくなることになります。

Bは1株当たりの配当金額を示しています。B分のB'となっているのは、上場会社の平均と比較して、何倍の配当を行っているかを示すものです。但し、会社によっては発行済株式数に違いがありますので、どれだけの株式を発行しているかを比較することなく単純に配当金額を比較しただけでは適切な比較はできなくなってしまいます。類似業種における配当金額は、資本金を50円で割った数だけの株式が発行されていると仮定して1株に対してどれだけの配当がなされているかを計算しています。そこで、対象会社についても、単純に配当金の合計金額を発行済み株式総数で割るのではなく、1株50円と仮定した場合に1株に対してどれだけの配当がなされているかを計算します。

例えば資本金が1000万円の会社で発行済株式総数が1万株の会社が、年平均100万円の配当を行っていたとします。実際には、1万株に対して100万円の配当ですので、1株当たりの配当金は100円ということになります。一方で、この会社の発行済株式総数が10万株であるとすると、10万株に対する100万円の配当ですので、1株当たりの配当は10円ということになります。このように、会社が発行する株式数は会社ごとにことなりますので、基準となる数値を定めなければ比較ができないことになります。

そこで、上記の計算式では、実際に発行されている株式数とは関係なく、仮に1株50円と仮定した場合の1株当たりの配当金額を計算することになります。上記の例で言えば、1000万円の資本金の会社ですので、発行価格を1株50円とすると、20万株発行していることになります。そこで、年平均の配当金額である100万円を20万株で割り、1株当たり5円の配当を行っていると計算することになります。

ここで少し違和感を感じられるかもしれないのは、資本金を50円で割り比較する点です。会社の資本金は、単純に株式の発行価格の合計額ではなく、発行価格の内、資本に組み入れられた金額で、会社によっては発行価格の全額を資本に組み入れる場合もあれば、発行価格の内半分だけ資本に組み入れることもあります。従って、発行価額の合計額と資本金の額は必ずしも一致するわけではありません。また、会社が株式を発行した後、資本金の額は株主総会の決議により減額することも可能ですので、減資が行われた場合も同じ計算方法でいいのか疑問に思われるかもしれません。しかし、このような問題をすべて検討すると比較を行うことがほとんど不可能になってきますので、類似業種比準価額の計算においては、単純に現在の資本金の額をもとに比較するとされているのだと思われます。資本準備金や利益準備金については、この段階では考慮されないことになります。

以上をもとにして、B'/Bについて考えてみます。例えば、類似業種において1株50円当たり1円の配当を行っている場合(これは国税庁のホームページに記載された数値を参照することになります)で、評価会社で1株50円当たり2円の配当を行っている場合には、B'/Bは、類似業種の2倍ということになります。同様に1株5円の配当を行っている場合は、類似業種の5倍ということになります。実際には、類似業種が1.1円の配当を行っており、評価会社が3.2円の配当を行っているなど、端数の数字になります。この場合は、3.2円/1.1円で、倍率は、2.909というようになります。
(その3に続く)


投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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