代表弁護士ブログ

2017年10月17日 火曜日

販売代理店契約の解除

売上を拡大させるためには新規の商材を必要とする場合があります。日本国内や海外の展示会などで新しい商品の紹介を受け、これを日本向けにカスタマイズすることで、日本の顧客に販売することを考えられるかもしれません。このような場合に海外のメーカーとの販売代理店契約(Distribution Agreement)を締結されることが多いのではないかと思います。販売代理店契約は独占的な場合もあれば、非独占的な場合もあります。日本における総代理店の地位を獲得できれば、日本国内における他の代理店を通じて商品の販売を行うこともできますので、より市場への浸透を図ることができます。

しかしながら、販売代理店契約を結んでいたにもかかわらず、国内市場での販売が思ったように伸びず、また会社の選択と集中などその他のさまざまな事情によって販売代理店契約を終了させる必要が生じてくることもあります。また、日本の販売代理店では今後も継続して契約を維持したいと考えていたにも関わらず、海外のメーカーサイドの都合によって代理店契約が終了せざるを得なくなることもあります。

販売代理店契約の解除については、代理店契約書の中でその手続きについて書かれていることが多いと思われます。例えば契約の期間中であれば理由のない一方的な解除ができないとか、契約期間中でもいつでも解除の通知を行うことができるが、3か月前の事前通知を要するなどです。

特に独占的な販売代理店契約の場合、日本国内での市場の獲得のために、販売代理店自体がかなりの設備投資を行っている可能性もあります。従って、判例上は継続的契約関係の解除の理論が適用になり、仮に契約書により理由のない解除ができるとされている場合であっても、合理的事由のない解除は無効と判断される可能性もあります。契約の解除を希望しない代理店としては、継続的契約関係の理論を主張して契約の更新を要求することになるかもしれません。

販売代理店契約の解除を行う場合には、通常当事者間で契約の解除について合意し、その内容を確認するため野契約解除合意書(Termination Agreement)を締結することになります。Termination Agreementでは、例えば、The Parties hereby shall confirm that the Distribution Agreement between the parties has been terminated as of June 30, 2017.(本契約の当事者は、本合意書により、2017年6月30日をもって、当事者間の販売代理店契約が解除されたことを確認する)などと記載されます。

但し、販売代理店契約は当事者間の継続的な契約関係ですので、単に契約が終了したことを確認するだけではなく、在庫の処理や、引継ぎ、競業避止、メンテナンス、商標の使用、ドメインの使用、著作権その他の工業所有権の帰属など、様々な事項について確認しておく必要があります。

例えば、販売代理店が購入済みの在庫については、在庫が亡くなるまでは市場で継続して販売するとか、メーカーが一定の割引価格により買い戻すことが定められるかもしれません。新しい代理店が継続して販売する場合には、新規の代理店に買い取ってもらうことになる可能性もあります。また、注文済みの商品がある場合、その商品について契約を履行し、日本に商品を引き渡すべきか、既に契約終了について合意されたのであるから、新規の注文でまだ履行が完了していないものについては、販売代理店契約の記載に拘わらず、当事者間の新規合意に基づき、解除できるとすることになるかもしれません。

長期の契約の場合、契約の解除通知がなされてから実際に契約が終了するまでに3か月とか6か月の余裕があるのが多いと思われますが、この間の契約関係を明確にするために、暫定的な地位について取り決める場合も多くあります。例えば暫定解除契約書(Interim Termination Agreement)を締結し、契約の終了通知は6月末で、契約の終了は12月末とし、その間の6か月における双方の当事者の法的地位について取り決めるなどです。例えば、販売代理店はこの6か月の期間中に日本にある在庫を売り切れるよう誠実に努力するものとし、12月末の段階で売れ残った商品在庫については、メーカーが通常卸価格の8かげで購入すると定めることなどです。

上記の他、商標の扱いについて問題とされることも多くあります。メーカーが日本国内で商標の出願をし、商標を有している場合は、特に問題となりませんが、販売代理店が商標やドメインを有している場合には、販売代理店が有している商標やドメインをメーカーや新たらしい販売代理店にどのようにして引き継ぐかを定めておく必要もあります。もちろん無償で権利の移転がなされ、その手続きについて当事者の了解がある場合には、その手続のみを定めればいいわけですが、例えば株式の買取などその他の条件が決まっていない場合には、商標権の移転がこれらの条件と交換条件とされることもあります。結局メーカと販売代理店は、契約の終了に関して包括的な合意を行うほかなく、その中には、上記のような在庫の扱い、商標やドメインの扱い、競業避止、株式の買取、損害賠償など、当事者の契約関係を終了させるために必要な全ての事項について定められることになります。

販売代理店契約を解除する場合には、先方から上記のような取扱いの一部についてのみ提案がある場合であっても、それぞれの条件が互いに影響し合っていること、これらの関係を全部考慮した上で、調整的な趣旨で金銭の支払いが合意されることなどを考慮の上、起こり得る全ての問題点について包括的に合意する必要があります。

海外のメーカーが契約の当事者であるような場合には、契約交渉自体がかなり負担にはなりますが、私どもが扱ってきた多くの事例では、調整金としての賠償額も数千万円から数億円になることも多くありますので、慎重かつ粘り強く衡量していくことが重要と思われます。

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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