お知らせ

2018年1月 4日 木曜日

新年明けましておめでとうございます

新年明けましておめでとうございます。

旧年中は大変お世話になりました。本年もよろしくお願いします。

日経新聞などでは、株価の上昇を背景に景気の継続的回復を言われていますが、私たちの主要な取引先である中小企業にとっては引き続き厳しい経営環境にあるというのが実感です。輸送費を含めた経費の著しい増大や、売上の減少などで、厳しい資金繰りとなり、コスト削減などに手を緩めることができないというのが多くの中小企業の実態ではないかと思います。

今年は、安陪内閣の主導する働き方改革の実践の年であり、労働法制においても大きな変更があります。第1に、有期契約労働者の無期転換がいよいよ本年4月1日から開始されます。これは、労働契約法により、平成25年4月1日以降に開始する有期労働契約が、同一の使用者との間において5年を超えて反復更新された場合に、有期労働者からの申し込みにより期間の定めのない労働契約に転換されるというルールです。簡単に言えば、パートタイマーやアルバイトとして長期雇用していた労働者については、正社員にしなければならないということになります。第2に、派遣法の改正により、同一派遣先での労働期間が3年に制限され、派遣先で新たな派遣先を紹介するか、直接雇用するか、派遣元で無期雇用契約に転換するよう請求しなければならないということです。厚生労働省の立場からすれば、派遣社員についてはできるだけ正社員にするようにと言うことになりますが、派遣先企業(派遣社員を受け入れている企業)とすれば、正社員化による負担は極めて大きいと思われます。

第3に、現在法律改正が検討されている長時間労働の是正があります。原則として残業時間の上限を1か月45時間、1年360時間とするというものです。この制限については例外が認められていますが、多くの中小企業の労働環境からすれば、かなり厳しい制限と言えます。また、労働者の時間管理については、これまで以上に注意を払うことが必要となってきます。

労働契約法や派遣法の改正は、労働者の働き方について根本的な変更をもたらし、会社のありかたに大きな変化をもたらすと言えますが、中小企業の経営環境を変えない限り、国による規制は、法律による制約を回避する手段を検討されるだけであって、かえって働きにくい状況を作ってしまう可能性がないとは言えません。国の立場からすれば、従業員の正社員化を図り、可処分所得を増加させ、経済の活性化を図ることを目的としているわけですが、正社員を含めた労働者全体の平均賃金を下げる方向に作用しないか心配があります。

いずれにしても、終身雇用や年功序列システムの崩壊やバブル時代に一般的であった長時間労働から、雇用の流動化が進み、各自が働きに応じて一定の報酬を得るという社会システムへの大きな変化が生じる可能性を秘めていると思われます。

昨年、民法の債権関係の規定の改正がありました。これは明治29年の民法制定以降120年以上続いていた民法について大幅な改正がなされるものです。企業法務の立場からすれば、時効の規定の改正は大きな変更であると思われます。現在の民法では、債権は原則として権利を行使することができるときから10年間行使しない時は時効によって消滅するとされていますが、今回の民法改正では、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しない時は時効により消滅するとされています。一方、会社が生じ取引によって取得した商事債権については、商法の規定により従前から消滅時効期間は5年間とされていますので、企業法務の立場からは実質上は従前と異ならないとも考えられます。

なお、不法行為によって生じた損害賠償請求権の消滅時効については、従前は被害者が損害及び加害者を知った時から3年間、または不法行為の時から20年間行使しない時は時効により消滅するとされていましたが、今回の改正では、人の生命身体に対する不法行為とそれ以外の不法行為を分け、人の生命身体に対する不法行為については被害者などが損害及び加害者を知った時から5年間、又は不法行為時から20年間とされ、それ以外の損害賠償請求権については、損害及び加害者を知った時から3年間で時効消滅するとされています。製造物責任等については、消滅時効期間などについての特例法がありますが、そちらについての改正があるのかどうかも注意が必要と思われます。

時効以外にも、法定利息、約款、個人保証等において重要な改正が行われています。改正民法は、平成32年(2020年)4月1日からの施行が予定されています。また、労働法制や民法以外にも、事業承継法に関する重要な改正が行われています。

従前の法律(とりわけ普通の人々の日常生活に関連する法律)については、社会の実体が変化したのに合わせ、それを後追いする形で法律改正が行われていましたが、労働法制の改正等は、政府の方針で社会を一定の方向に変化させていこうとする意気込みがあり、法律が先導する形で社会の変化をもたらそうとしているようにも思われます。これらの法律改正からは、フラットで透明な社会、従前の日本社会に多く見られたウェットな人間関係よりも契約に基づき、働いた成果を各自が取得し、それぞれが自分の自己実現のために生きていく社会がみられるように思われます。

私たちは、これまで同様、企業法務、国際取引、M&Aや事業承継の分野を中心に所員一同誠実に業務に取り組んでいきたいと思います。本年も、従前と変わらず、ご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い致します。




投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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