事務所ブログ

2019年1月16日 水曜日

販売代理店契約における契約解除合意書・解除通知

販売代理店契約における契約解除合意書(Termination Agreement)・解除通知(Termination Notice)

1 契約解除合意書(Termination Agreement)
(1)販売代理店契約の解除を行う場合には、当事者間で契約の解除について合意し、その内容を確認するための契約解除合意書(Termination Agreement)を締結することがあります。当事者が継続的な契約関係にあった場合には、販売店が高額の先行投資を行っていたり、ブランドや販路を開拓していたような場合には、契約当事者は契約解消の条件について強い関心を有していることがあります。また契約解消にあたって、それまでの注文済みの商品や在庫についてどのように処理するかについてあらためて合意することが必要になるかもしれません。そのような事情から、契約期間の定めがある場合であっても、通常は、契約終了にあたり契約解除合意書を作成することになります。
(2)契約解除合意書には、例えば次のような解除規定が設けられます。

The Parties hereby shall confirm that the Distribution Agreement between the parties has been terminated as of June 30, 2017.(本契約の当事者は、本合意書により、2017年6月30日をもって、当事者間の販売代理店契約が解除されたことを確認する)

2 契約解除合意書においては主に以下のような点を規定することになります
(1) 解除する契約の特定、及び解除契約の発行日
契約を合意解除する場合には、締結日、契約当事者、修正契約・追加契約、関連文書などを明確にすることによって、解除対象となる契約を特定することが必要になります。
また、いつから原契約が無効となるのかについて明確に規定することも必要です。
(2)解除の条件、解除にともなう在庫処理、商標の使用など必要な事項についての規定
 ア 販売代理店契約は当事者間の継続的な契約ですので、単に契約が終了したことを確認するだけではなく、在庫の処理や、引継ぎ、競業避止、メンテナンス、商標の使用、ドメインの使用、著作権その他の工業所有権の帰属など、様々な事項について確認しておく必要があります。
 イ 在庫の処理
例えば、販売代理店が購入した在庫については、在庫が亡くなるまでは市場で継続して販売するとか、メーカーが一定の割引価格により買い戻すことが定められるかもしれません。新しい代理店が継続して販売する場合には、新規の代理店に買い取ってもらうことになる可能性もあります。また、注文済みの商品がある場合、その商品について契約を履行し、日本に商品を引き渡すべきか、既に契約終了について合意されたのであるから、新規の注文でまだ履行が完了していないものについては、販売代理店契約の記載に拘わらず、当事者間の新規合意に基づき、解除できるとすることになるかもしれません。
ウ 暫定解除契約書(Interim Termination Agreement)
長期の契約の場合、契約の解除通知がなされてから実際に契約が終了するまでに3か月とか6か月の余裕があることが多いと思われますが、この間の契約関係を明確にするために、暫定的な地位について取り決める場合も多くあります。例えば暫定解除契約書(Interim Termination Agreement)を締結し、契約の終了通知は6月末で、契約の終了は12月末とし、その間の6か月における双方の当事者の法的地位についての取り決めなどです。販売代理店はこの6か月の期間中に日本にある在庫を売り切れるよう誠実に努力するものとし、12月末の段階で売れ残った商品在庫については、メーカーが通常卸価格の8かげで購入すると定めるなどの例もあります。
エ 商標の使用、販売代理店に対する補償
上記の他、商標の扱いについて問題とされることも多くあります。メーカーが、日本国内で商標の出願をし、商標を有している場合は特に問題となりませんが、販売代理店が商標やドメインを有している場合には、販売代理店が有している商標やドメインをメーカーや新しい販売代理店にどのようにして引き継ぐかについて定めておく必要もあります。販売代理店側は,自らの投資によって確立したブランド(Goodwill)などをメーカー側に引き渡す代わりに、その補償をするようにメーカーに求めることがあります。もちろん無償で権利の移転がなされ、その手続きについて当事者の了解がある場合には、その手続のみを定めればいいわけですが、例えば株式の買取などその他の条件が決まっていない場合には、商標権の移転がこれらの条件との交換条件とされることもあります。結局、メーカーと販売代理店は、契約の終了に関して包括的な合意を行う他なく、その中には、上記のような在庫の扱い、商標やドメインの扱い、競業避止、株式の買取、損害賠償など、当事者の契約関係を終了させるために必要な全ての事項について定められることになります。
 オ その他の注意すべき点
販売代理店契約を解除する場合には、先方から上記のような取扱いの一部についてのみ提案がある場合であっても、それぞれの条件が互いに影響し合っていること、これらの関係を全部考慮した上で調整的な趣旨で金銭の支払いが合意されることなどを考慮の上、起こり得る全ての問題点について包括的に合意する必要があります。

3 解除通知(Termination Notice)
以上に述べたような解除の際の合意に基づく解除とは異なり、自動更新条項の規定に従い更新拒絶を通知する場合、契約違反を理由として解除を通知する場合には、例えば次のような解除通知(Termination Notice)を相手方に対して送付することになります。このような一方的な解除通知では、解除の根拠となる規定を明確に示すことが重要です。

Pursuant to the provisions of Article__ (Term and Renewal) of the Franchise Agreement dated April 1, 20 __ with you, we, ABC Corporation, hereby give you a notice that we do not have the intention to extend the Franchise Agreement with you after the expiry date set forth in the Franchise Agreement.
Accordingly, you are kindly reminded that the Franchise Agreement will become null and void after the midnight of March 31, 20__.
(貴社と締結した20_年4月1日付けフランチャイズ契約第_条(期間及び更新)の規定に従い、当社ABCコーポレーションはここに貴社に対し、フランチャイズ契約に定める満了日以後は両者間のフランチャイズ契約を更新する意思がないことを通知いたします。
 従いまして、フランチャイズ契約は20_年3月31日(深夜)午後12時以降は無効になることをご承知おきください。)(「英文ビジネス契約書大辞典」山本孝夫1058頁)


投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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