事務所ブログ

2019年3月27日 水曜日

桜を見る会

3月25日月曜日に、お花見人気スポットと名高い神楽坂のCANAL CAFÉにて、桜を見る会が開かれました。3月21日に靖国神社にあるソメイヨシノが開花したと発表され、その翌週明けのことです。週末に寒さが戻ったせいか、満開とはなりませんでしたが、お堀の脇に春の彩を感じることができました。


CANAL CAFÉはJR飯田橋駅のすぐそばという都内の真ん中に位置しておりながら、ゆったりと優雅な時間を過ごすことができる人気のカフェです。神楽坂で唯一水辺のテラスがあるカフェでもあり、「神楽坂のリゾート」と呼ばれることもあります。
今回の桜を見る会は夜に行われましたが、夜になると水辺のテラスも昼間とはまた違った一層美しい佇まいを見せてくれました。



総武線の車窓からこちらのボートデッキを見つけた方もいらっしゃるかと思います。写真左上に櫂の旗が写っているのが見えますが、ここCANAL CAFÉは、もともと、東京水上倶楽部により作られたボート場だったそうです。現在もボートが用意されており、お堀をボートでまわるサービスもしています。ボートに乗りながらカフェのメニューを楽しむこともできますし、ウェディングでカフェを利用する際にはボート入場もできるそうです。

CANAL CAFÉは、料理も絶品です。現地で修業を積んだシェフが、イタリアンをベースにしたオリジナルな料理がふるまわれます。中でも、本場ナポリのピッツァ専用小麦粉を使い、石釜で焼き上げたこだわりのピッツァは文句のつけどころがありません。定番の「マルゲリータ」(下画像左側)はもちろん、数種のチーズにはちみつ、レモン、バジリコをちりばめた「ソレンティーナ」(下画像右側)も、さっぱりとしながらもほんのりと甘い香り漂う最高の一枚でした。
また、オリジナルワインも、ピッツァやパスタなど数々の絶品料理に合い、非常に口当たりの良いものでした。




今回の桜を見る会では、社会保険労務士の大脇ひとみ先生に「働き方改革」についてお話をしていただきました。今年の4月より改正法が適用される「働き方改革」については、企業法務にとって極めて重要な改革となりますので、そのお話しを聞けるのは極めて重要な機会となりました。


働き方改革としては、残業時間の上限規制や、勤務間インターバル制度の努力義務など合計8つの項目がありますが、その中からまず話題となったのは、4月より始まる5日間の有給休暇取得を義務付ける決まりです。

労働基準法39条により、事業主は「雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、」「十労働日の有給休暇」を与える必要があるとされていました。

しかし、現在、有給制度はあるものの、実際に有給をとる従業員は非常に少なくなっています。諸外国と比べても、日本は有給取得率や有給取得数が特に低い国といわれています。以前は従業員が自ら申し出なければ休みを取得できず、その自らの申告がしづらいという理由で有給をとらない従業員が多数いました。そのため、政府は有給休暇を義務化し、会社は年5日分については、従業員の希望を聞いた上で、有給をとる日を指定しそれをとらせなければならないとしたのです。仮にこの規定を破ったとすれば、労働基準法違反になり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則がくわえられます。

これら有給を会社が言わなければならなくなってしまったことにより、有給がきちんと年5日とれているかの管理をすることも重要となりました。もちろん従業員の法から有給申請をして、5日間とれていれば問題はありません。したがって、今回の有給義務化について、会社が規定を破らないための方法として考えられるのが、従業員ごとに消化日数を確認し、5日未満となりそうな従業員について会社が有給休暇取得日を指定する方法、そして、各従業員に対してあらかじめ有給休暇の日にちを決める方法です。

前者は個別従業員の管理が必要となりますが、少人数の企業であれば、会社と従業員との話し合いで日にちを指定でき、柔軟な対応が可能ですが、中~大企業であればこのような対応は困難となるでしょう。後者では、個別従業員の管理が不必要となり、その作業が減りますが、日にちの決定に労働協定を締結することが必要となり、さらに業務の都合によって日にちを変更することができません。

どちらもメリット・デメリットがあり、それぞれ会社によって、よりよい方法を選択するべきといえます。

また、昔話題となった失恋休暇のように会社が独自に作成した休暇は上記5日の有給には含まれないという点、パートタイム労働者にも年5日有給休暇義務がある可能性がある点、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間の保存をしなければならない点、就業規則への記載が必要な場合がある点にも注意が必要です。

多くの作業を伴う働き方改革の1項目で、罰則もあるので、4月からの施行には各企業十分注意しながら進める必要がありそうです。

さらに、もう一つ話題になったのが、「同一労働・同一賃金の原則」です。
この点について、平成30年6月1日に最高裁から出されたハマキョウレックス事件(判タ1453号58頁)と長澤運輸事件(判タ1453号47頁)の2つも話題にあがりました。

ハマキョウレックス事件は、定年退職ののち、株式会社ハマキョウレックスにて有期契約労働者として勤務していた原告らが、正社員との間で不合理な労働条件の相違があるため、労働契約法20条により、このような不合理な労働条件は無効であると主張した事件です。具体的には、無事故手当、作業手当、住宅手当、家族手当、賞与、退職金などが正社員にはありましたが、有期契約労働者として勤務する原告らには認められていませんでした。

そして、長澤運輸事件は、定年退職ののち、有期労働契約を締結した原告らが、正社員であった時から賃金がおよそ3割程度引き下げられたため、労働契約法20条違反で無効であると主張した事件です。

労働契約法20条は、同一の使用者と労働契約を締結している有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより労働条件を相違させることを禁止するもので、その相違は、労働者の業務内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務内容及び配置の変更範囲その他の事情を考慮して、不合理なものであってはならないことが規定されています。

労働契約法20条は、相違が「不合理と認められるものであってはならない」と規定していることから、その趣旨は有期契約労働者の公正な処遇を図ることにあることがわかります。そのため、この規定は私法上の効力を有するものと解するのが相当で、この規定に違反する労働条件の相違を設ける部分は無効となります。ただし、同条は有期契約労働者と無期契約労働者との均衡を目指すものであって、必ずしも条件を同一にしなければならないとは規定していません。すなわち、たとえ相違があり無効となったとしても、有期契約労働者の労働条件が無期契約労働者の労働条件と同一となるわけではないのです。

ハマキョウレックス事件では、正社員に適用される就業規則と、有期契約労働者に適用される就業規則は別個独立のものと作成されていたため、両者の労働条件の相違が同条に違反するからといって、有期契約労働者に正社員の就業規則が適用されるということはできないと認められました。

すなわち、正社員にのみ認められている上記手当等は有期契約労働者にも当然に支払わなければならないわけではないと判断されたのです。

たとえば、住宅手当について、正社員は全国異動があるのでその費用援助のため必要とされ、有期契約労働者は異動がないため不要ですから、住宅手当を有期契約労働者に認めずとも不合理とはいえません。一方で、皆勤手当については、両者の職務内容の間に差があるものではなく、皆勤を推奨する趣旨で支払われているので、有期契約労働者にも支払われなければ、不合理であると認められます。同様に、無事故手当や特定の作業を行った際に支払われる作業手当、旧職手当、通勤手当なども支払われなければ不合理であるとされました。

本件手当が「不合理」であるかどうかは、その手当の性質、正社員と有期契約労働者どちらにも当てはまる性質のものであるか、そして、どちらにも当てはまるならばどちらも同じ扱いをしなければならず、どちらかにのみ当てはまるとしても両者の均衡が不可欠であるという考え方であるといえます。

長澤運輸事件では、有期契約労働者が定年退職後に再雇用されていることは労働契約法20条「その他の事情」として考慮される事情であるとし、両者の賃金の相違が不合理かどうかについては、ハマキョウレックス事件と同様に、その趣旨を考慮すべきと判断しました。

正社員には、基本給、能率給及び職務給が支給されており、有期契約労働者には、基本賃金及び歩合給を支給し、能率給や職務給を支給していませんでした。しかし、歩合給にしている趣旨が収入の安定に配慮し、歩合給に係る係数を能率給よりも高く設定して労務の成果がより賃金に反映されやすくなるよう工夫していたため、このような相違は不合理とはいえないと判断されました。この事件でも、住宅手当や、皆勤手当に相当する精勤手当に差があることは、ハマキョウレックス事件同様、不合理であると判断されています。

上記2つの最高裁は、定年後再雇用という社会的注目のある事案において、労働契約法20条の解釈とその適用に関する判断をはじめて(正確にはハマキョウレックス事件が「はじめて」です)最高裁が示したもので、実務上非常に重要な意義を持つといえます。事案に即して個別具体的な判断がなされているため、「同一労働・同一賃金の原則」について、これからの道しるべをいち早く最高裁が示したものといえます。


さて、会はたいへん盛り上がり、店は神楽坂の老舗、Bar港にうつりました。CANAL CAFÉから少し坂をあがったところにある落ち着いたオーセンティックバーで、神楽坂店が1号店、飯田橋の住宅街に2号店もあるそうです。



バーテンダー歴が長く、世界大会にも出場したことがあるという港さんが作るカクテルは、飲みやすいものでした。500種以上のウイスキーや100種以上のワイン、フレッシュフルーツを存分に使った季節のカクテルなど幅広いメニューで目移りしてしまいます。落ち着きのある店内で、再びゆったりと会話を楽しみ、解散となりました。春の和やかな空気の中、あと数日で始まる大きな改革を前に、依頼者の方々と非常に意義のある交流ができたのではないかと思います。


投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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