代表弁護士ブログ

2020年6月 3日 水曜日

株主総会招集許可申し立て(会社関係訴訟)について

株主総会の招集権者
株主総会は、取締役が招集するのが原則です(会社法296条3項)。会社法296条3項の「取締役」は代表取締役に限るのか、その他の取締役も招集を行うことができるかについては議論がありますが、一般的には代表取締役が開催するものと解釈されており、代表権限のない取締役によって招集された株主総会は無効とされます。

株主による総会招集請求
上記の通り株主総会は会社の代表取締役が招集するのが原則ですが、会社法では、少数株主も、取締役に対して、株主総会の招集を請求することができるとしています(会社法297条1項、2項)。

株主による株主総会の招集請求の要件
少数株主が株主総会の招集を請求するための要件については、公開会社(株式の譲渡制限のない会社)と非公開会社(株式の譲渡制限のある会社)で異なっています。公開会社(株式の譲渡制限のない会社)の場合、総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、株主総会の招集を請求できるとされています。これに対して非公開会社(株式の譲渡制限のある会社)の場合、総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主は、総会招集を請求できることとされています(6か月前から引き続きという要件がない)。公開会社(株式の譲渡制限のない会社)の場合、6か月の保有期間を要件とすることで、少数株主の権利行使を濫用する目的のみで株式を取得する可能性があるものを排除することが必要ですが、非公開会社(株式の譲渡制限のある会社)の場合、株主は取締役会の承認がないと株式を取得することができませんので、少数株主権の濫用的行使を目的に株式を取得するものはもともといないと考えられ、6か月の保有期間の要件は付されていません。

株主による株主総会の招集請求の方法
株主総会の招集請求を行う株主は、取締役に対して、株主総会の目的である事項及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求しなければなりません(会社法297条1項)。株主総会の目的である事項とは、「取締役解任の件」、「取締役選任の件」、「定款を変更する件」などが該当します。どのような議題について審議するために総会を開催するのかを示さなければなりません。また、「招集の理由」については、「○○取締役が違法行為を行った。」などと当該議題についての審議を必要とする理由を記載することになります。招集請求の相手方は会社法では「取締役」とされていますが、これは代表取締役に限られるのか、平取締役も含むのかについては意見が分かれています。株主総会の招集請求は、株主総会を招集するよう会社に対して求めるもので、少数株主が直ちに自ら招集できるわけではありません。

株主総会招集許可申し立て
株主による株主総会の招集請求を行ったにもかかわらず、①招集請求の後遅滞なく株主総会の招集手続きが行われない場合、②招集請求を行った日から8週間以内の日を株主総会の日とする株主総会の招集通知が発せられない場合、株主総会の招集を請求した株主は、裁判所の許可を得て、自ら株主総会を開催することができるとされています(297条4項)。このように株主による裁判所に対する招集許可の申し立ては、最初に会社に対して株主総会の招集を求め、会社がそれに応じて総会を開催しない場合に初めて行うことができることになります。

審尋期日
株主が株主総会招集許可の申立書を裁判所に提出した場合、申立後1週間から2週間程度先の日が審尋期日として指定されます。審尋とは裁判所が関係者から意見を聞くことを意味しています。株主から株主総会の招集請求がなされるということは、当該株主と会社との間において意見の相違が生じているということですので、裁判所としては適正な判断を下すために両方の関係者から意見を聞くことが重要となります。会社側(取締役)については審尋を行うことは必ずしも法律上の必要要件ではありませんが、通常の場合会社の代表者が呼び出され、裁判所で意見を述べることになります。審尋は会社非常事件として行われることになりますので、管轄(会社法868条)、疎明(869条)の規定が適用されます。東京地方裁判所の場合、株主総会招集許可申し立て事件については、地裁民事8部が扱うことになります。

審尋における審理内容
会社法297条による株主総会招集許可の申し立ての要件は形式的要件であり、その存否はかなり明確ですので、まず形式要件(招集請求を行う株主が100分の3以上の議決権を有しているかどうかなど)を確認することになります。招集請求を行うものは、株主名簿や、その他の資料から自分が100分の3以上の株式を有していることを疎明しなければなりません。申立人が疎明資料を有しない場合も裁判所から会社に対して株主名簿の写しなどを提出するよう指示がなされますので、会社側から資料の提供を受けることもできます。

権利濫用の主張
株主総会招集許可申し立てに対しては、会社の側からは権利濫用の主張がなされることが多いと思われます。しかしながら形式要件を満たした株主による申し立てが権利濫用に該当する場合は極めて限られると考えられますので、会社側からの権利濫用の主張は認められないことが多いと思われます。しかしながら、会社側から権利濫用の主張がなされた場合は、それに対する反論を行う必要があり、さらに会社側から再反論がなされることもありますので、審尋期日が数回開催されることが多くあります。会社と少数株主の意見が対立するケースでは、株主総会許可申し立てから決定が出されるまでに3か月から半年程度の期間を要するのが通常です。

株主総会招集許可決定
審尋の結果、裁判所が株主総会招集許可申し立ての要件を満たすと判断した場合、裁判所は株主総会招集許可決定を出します。決定は「告知」の方法で申立人に伝えられますが、通常は裁判所から決定書が郵送で送られてきます。決定書には単に「株主総会を招集することを許可する。」とだけ記載され、理由の記載はありません。株主総会招集許可決定に対しては不服申し立てはできません(会社法874条第4項)。株主総会招集許可申し立てが却下された場合、申立人は即時抗告をすることができます(非訟事件手続法66条2項)。

株主による株主総会の招集
招集許可決定を受けた株主は、全ての株主に対して招集通知を発送することで自ら株主総会を招集することができます。招集された株主総会では、招集請求を行った株主が仮議長として議長の選任を行います。定款で取締役が議長となる旨が定められている場合が多くありますが、これは取締役が招集した株主総会について定めるもので、少数株主が招集した株主総会については適用されないと解釈されています。但し、株主が仮議長として議長選任の決議を行った結果、代表取締役や従前の取締役が議長に選任されることは問題ありません。結局、議長については、出席株主の過半数の議決権者の賛同を得たものが選ばれることになります。裁判所の許可は、少数株主が招集することができる株主総会の目的事項について行われますので、裁判所が許可した目的事項以外の事項について決議することはできません。裁判所が許可した事項以外の事項について決議された場合、株主総会決議取り消しの訴えの対象となります(会社法831条1項)。

当事務所のサービス内容
栗林総合法律事務所では、株主総会許可申立てを行う少数株主を代理して裁判所に招集許可申立書を提出することが多くあります。栗林総合法律事務所は、株主総会招集許可決定を得るだけでなく、その後に開催される株主総会についても株主の皆様をしっかりとサポートさせていただきます。当事務所の行う業務には、株主総会招集通知の作成、招集通知の発送、株主総会の受付事務、総会の議事進行シナリオの作成、総会当日の立会い、録音テープによる総会の経過の保存、議事録の作成、役員変更登記の申請手続きなどが含まれています。また、当事務所では、少数株主側の代理だけでなく、株主総会招集許可申し立てがなされた会社側を代理し、審尋に出席して答弁を行ったり、株主総会招集許可申立てへの対抗措置として会社の役員主導の株主総会を開催するなど、裁判上及び裁判外での様々なアドバイスを行っています。


投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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