代表弁護士ブログ

2020年7月 7日 火曜日

取締役の刑事責任

取締役が違法行為を行った場合は、会社や第三者に対して民事上の損害賠償責任を負うことになります。これに対して、一定の要件を満たす場合には、取締役は刑事上の責任を負うことが定められています。

取締役の特別背任罪(会社法960条)
取締役、会計参与、監査役、執行役が、自己若しくは第三者の利益を図り、又は会社に損害を与える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を与えたときは、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとされています。刑法の背任罪の特別法であり、刑法の背任罪が「5年以下の懲役または50万円以下の罰金」とされているのに比較して罪を重くしています。

違法配当(会社財産を危うくする罪)
取締役、会計参与、監査役、執行役が、法令又は定款の規定に違反して、剰余金の配当をしたときは、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられます(963条5項2号)。

虚偽文書行使の罪
取締役、会計参与、監査役、執行役等が、株式、新株予約権、社債、新株予約権付社債を引き受ける者の募集をするにあたり、会社の事業その他の事項に関する説明を記載した資料若しくは当該募集の広告、その他の募集に関する文書であって重要な事項について虚偽の記載のあるものを行使したときは、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられます(会社法964条1項)。嘘の情報により新株を発行した場合の罪になります。

預け合いの罪
取締役、会計参与、監査役、執行役等が、株式の発行に係る払い込みを仮装するため預け合いを行ったときは、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられます(会社法965条)。

株式の超過発行の罪
発起人、取締役、執行役等が、株式会社が発行することができる株式の総数を超えて株式を発行した場合は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられます(会社法966条1項)。

取締役等の贈収賄罪
取締役、会計参与、監査役、執行役等が、その職務に関し、不正の請託を受けて、財産上の利益を収受し、又はその要求若しくは約束をした時は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられます(会社法967条1項)。収賄罪は公務員などに求められる身分犯ですが、株式会社の取締役についても収賄罪が成立することになります。株式会社の取締役に対して、不正の利益を供与し、又はその申し込み若しくは約束をした者も、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられることになります(会社法967条2項)。

株主の権利行使に関する利益供与の罪
取締役、会計参与、監査役、執行役等が、株主の権利行使などに関して、当該株式会社や子会社の計算において財産上の利益を供与したときは、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられることになります(会社法970条1項)。

過料に処すべき行為
取締役、会計参与、監査役、執行役等が次のいずれかに該当する場合には、100万円以下の過料に処せられます。過料に処せられる場合は他にも様々ありますが、下記はその一部です。
・会社法で定められた登記を怠ったとき
・会社法で定められた公告又は通知を怠ったとき
・会社法の規定による開示を怠ったとき
・会社法に規定による閲覧、謄写、謄本若しくは抄本の交付等を拒んだとき
・定款、株主名簿、社債原簿、議事録、財産目録、会計帳簿、貸借対照表、損益計算書、事業報告などへの記載をせず、又は虚偽の記載をしたとき
・正当な理由がないのに、株主総会などにおいて株主の求めた事項について説明をしなかったとき


投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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