代表弁護士ブログ

2020年7月 8日 水曜日

相続税申告書の作成方法

相続税申告書の作成
相続税は、被相続人の遺産を相続や遺言で相続した場合に、その遺産の額が一定の金額を超える場合に発生する税金のことをいいます。相続税は所定の方式に従って税務署に申告しなければなりません。相続税の申告書の提出期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内とされています。亡くなった日の10か月以内に相続税の申告書を作成し、税務署に提出しなければいけません。相続税を「支払う期限である相続税の納期限も同じになりますので、その間に遺産分割協議を行い、相続税の申告書を作成し、納付すべき税金の準備をしなければなりません。この期間に遅れると無申告加算税や延滞税を課せられる可能性があります。

相続税の計算方法
各自の相続税額については、最初に正味の遺産総額から基礎控除額を控除して計算した課税財産対象総額に相続税率をかけて法定相続分に従った全体の相続税額を計算し、その後、遺産分割によって実際に取得した財産額に案分して各自の相続税額を計算することになります。具体的な計算の順は下記の通りになります。

正味の遺産額の計算
正味の遺産額は、被相続人が死亡時に所有していた相続財産の額に、みなし相続財産の額、死亡日から過去3年以内の生前贈与財産の額、相続時精算課税制度を利用して行った贈与額を加え、そこから非課税財産、被相続人の債務、葬式費用を引いて計算します。被相続人の相続財産には、現金預貯金、株式、不動産、ゴルフ会員権、著作権、特許権、貴金属、債権者としての権利などが含まれます。みなし相続財産とは、民法上は相続財産に含まれないが、相続税の計算の際は相続財産に含まれるもので、代表的なものは死亡保険金や死亡退職金があります。ただし、死亡保険金や死亡退職金は、500万円×法定相続人の人数で計算した金額までは非課税になり、それを超えた分について課税されます。被相続人の死亡時より3年以内に贈与を受けていた場合には、贈与額を相続財産に足し合わせます。また、60歳以上の親・祖父母から20歳以上の子供・孫に贈与する際に相続時精算課税制度を利用すると、贈与額が2500万円に達するまで贈与税がかかりませんが、相続開始時に贈与した分を相続財産に加算する必要があります。非課税財産には、墓地、墓石、仏壇、仏具など、国や地方公共団体に寄付した財産、500万円×相続人の人数で計算した額の死亡保険金や死亡退職金が含まれます。

基礎控除額の控除
正味の遺産額から、基礎控除額を差し引いて、課税対象総額を計算します。基礎控除額は、3000万円+600万円×法定相続人の数で計算されます。法定相続人が1人の場合には、3600万円、2人の場合には4200万円、3人の場合には4800人、4人の場合には5400万円、5人の場合には6000万円となります。法定相続人には、相続放棄した相続人も含まれます。例えば遺産が3億円あり、債務が1億円、3年以内の生前贈与が5000万円あった場合、課税遺産総額は3億円―1億円(債務)+5000万円(生前贈与財産)―5400万円(基礎控除額)=1億9600万円となります。

法定相続分で分けた場合の取得額の計算
相続税の計算については、まず課税遺産総額を法定相続分通りに分割したと仮定して、各相続人の取得額を計算します。上記の例で、相続人が配偶者と子3人の場合には、法定相続分に基づく各相続人の取得額は次の通りになります。

配偶者:1億9600万円×1/2=9800万円
子供(各自):1億9600万円×1/2×1/3=3266万6600円

法定相続分で分割した場合の相続税の計算
法定相続分で分割した場合の取得額に応じた相続税の金額を計算します。税率と控除額については取得金額によって下記のように決まっています。

取得金額 税率 控除額
 1000万円以下  10%  0
 1000万~3000万以下  15%  50万
 3000万~5000万以下  20%  200万
 5000万~1億以下   30%  700万
 1億~2億以下  40%  1700万
 2億~3億以下  45%  2700万
 3億~6億以下  50%  4200万
 6億以上  55%  7200万

上記の例では、法定相続分に対する課税額は次のようになります。

配偶者の法定相続分への課税額
=9800万円×30%-700万円(控除額)=2240万円

子供の法定相続分への課税額
=3266万6600円×20%-200万円(控除額)=453万3320円

また、上記から相続税の総額は次のようになります。
2240万円+453万3320円×3人=3599万9960円

各相続人の相続税額の計算
相続税の総額を各相続人が実際に取得した財産の相続割合で案分します。上記の例で、各自が法定相続分通りに取得した場合は次のようになります。

配偶者の相続税:3599万9960円×1/2=1799万9980円
 子の相続税:3599万9960円×1/2×1/3=599万9993円

このように、相続税は実際に相続した金額で案分されます。例えば上記の例で配偶者は2分の1を取得しながら、子供A、B、Cのうち、AとBのみが相続し、Cは相続放棄したとします。この場合、配偶者の相続税は上記と同じですが、子供AとBの相続税額は次のようになります。

AとBのそれぞれの相続税額
:3599万9960円×1/2×1/2=899万9990円
  
各相続人の実際の納付税額の計算

各相続人の税額から控除や加算を行い、実際に納付する税額を計算します。控除の例としては次のものがあり、以下の順番で控除が行われます。

①贈与税額控除
被相続人の死亡前3年以内に被相続人から受けた贈与財産は相続財産に加えられますが、贈与税を払っていた場合には、贈与額に対して贈与税と相続税が二重で課税されることになりますので、贈与税のうち一定の金額が相続税から控除されます。
  
②配偶者の税額軽減
配偶者については、配偶者の税額軽減が適用になりますので、配偶者が遺産分割により実際に取得した金額が、①1億6000万円、②配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額までは相続税はかかりません。本件では、配偶者は法定相続分までしか取得していませんので、相続税額はゼロ円となります。配偶者控除は、戸籍上の配偶者であること、財産隠しをしていないこと、相続税申告書を提出すること、遺産分割が確定していることが要件です。
  
③未成年控除
財産を受け取った法定相続人が未成年で、日本に住所を有しているときは、その相続人が20歳に達するまでの年数×10万円の金額を控除することができます。

④障害者控除
財産を受け取った法定相続人が障碍者で日本に住所を有しているときは、その相続人が85歳に達するまでの年数×10万円(特別障害者は20万円)の金額について控除をうけることができます。

⑤相次相続控除
相続が発生してから10年以内に相続が発生した場合は、二次相続の相続人は、一定の金額の控除を受けることができます。

⑥在外財産に対する相続税控除
外国にある財産を相続した場合で、外国で相続税に該当するような税金を支払っていた場合には、相続税から一定の金額を控除することができます。

相続税額の加算
加算される場合実際に計算した税額よりも加算されて納付する場合もあります。具体的には、相続人が配偶者や被相続人の1親等内の血族ではない場合(兄弟姉妹や第三者)や、相続人が被相続人の養子となった被相続人の孫である場合には、実際に納付する税額が2割加算されることになります。

相続税の連帯納付義務
相続税法では、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者は、その相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税について、当該相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互いに連帯納付の責めに任ずると定められています。このように相続税には連帯納付義務がありますので、相続人のうち一人でも相続税の支払いを怠った人がいる場合は、その人の支払うべき相続税額について、他の相続人全員も連帯して納付義務を負うことになります。相続税を期限までに納付していない場合には、本税に対して延滞税や利子税も加算されますので、これらについても連帯して支払う必要があります。

生前贈与
生前贈与については、相続税の額を少なくするメリットがあります。相続税額よりも贈与税額が少ない場合は、生前贈与をするメリットがありますが、相続税には、小規模宅地の特例や基礎控除、配偶者控除、生命保険控除など様々な控除制度があり、場合によっては相続税額が想定以上に少なくなることもありますので、税金を少なくすることだけを目的に生前贈与するのであれば、実際の相続税額がいくらになるかを事前に計算してから行ったほうがいいかもしれません。生前贈与にはいくつかの種類がありますが、例えば次のようなものがあります。

①暦年贈与
毎年110万円まで計画的に贈与する場合、贈与税がかかりません。また、相続時にもち戻しの対象にもなりませんので、贈与した分について将来相続税が課せられることもありません。

②相続時精算課税制度
相続時精算課税制度を選択し、税務署に届け出を行っておくと、累計で2500万円までの贈与について贈与税が課されません。しかし、相続が発生した場合は、相続財産にもち戻し願されることになりますので、贈与した金額相当分について相続税が課されることになります。

③住宅取得資金や教育資金の贈与
子供や孫への贈与について、住宅取得資金や教育資金を贈与する場合、贈与税の軽減または免除を受けることができます。不動産の贈与の場合、名義変更が必要になります。相続による名義変更の場合、登録免許税が0.4%であり、不動産取得税がかからないのに対し、贈与の場合、登録免許税と不動産取得税にそれぞれ2から3%の税金がかかります。また、贈与後3年以内に贈与した方が亡くなられた場合には、贈与した財産は相続税の遺産の額に含めて計算されることになりますので、税務上のメリットが得られないこともあります。



投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office

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