• 2020.09.01
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自筆証書遺言の書き方に関する法律改正

自筆証書遺言に関する法律改正(民法968条2項)

自筆証書遺言は、遺言者の最終意思の確実性を担保するため、日付、氏名、遺言書本文を自筆することが要求されています。以前の民法では、本文とは別に財産目録を作成する場合の目録も含め、すべて自筆でなければなりませんでした。しかし、財産が多くある場合には、全文の自筆をすることは相当な負担になることから、遺言事項と財産目録とを区別したうえで、遺言事項については従前どおり自筆しなければなりませんが、自筆した遺言書にパソコン等で作成した目録を添付したり、銀行通帳のコピーや不動産の登記事項証明書を目録として添付したりして、遺言を作成することができるようになりました。

作成した遺言の保管方法

改正前は、作成した遺言書の保管方法については、法律上特に規定はありませんでした。公証役場で保管されることから改ざんや紛失の恐れがない公正証書遺言と異なり、自筆証書遺言は自分で保管することが多く、公正証書遺言と比べて改ざんや紛失のリスクが大きいとされてきました。このようなリスクから派生する相続問題を回避する目的で、「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」とともに「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(以下、「遺言書保管法」といいます)が成立し、法務局において自筆証書遺言書の保管を行う制度が、新設されました。この制度は、遺言者本人が、遺言者の住所地もしくは本籍地又は遺言者所有の不動産の所在地を管轄する法務局に出頭し、申請書、遺言書、その他添付書類等を提出したうえで、自筆証書遺言の保管を申請するものです。郵送申請や、代理人による申請は認められておらず、保管対象も自筆証書遺言に限られ、公正証書遺言の正本や秘密証書遺言については認められていません。保管事務は、法務大臣が指定する法務局が遺言書保管所として行い、遺言書管理官が申請に係る審査をすることになります。但し、この法律の施行は2020年7月20日ですので、それまでは保管の申請ができません。

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