代表弁護士ブログ

2020年9月 4日 金曜日

スイスにおける遺産相続~日本人がスイスに有する財産の承継

スイスにおける相続の基本原則
スイスの相続制度は、相続統一主義の原則に基づいています。 言い換えれば被相続人の住所(ドミサイル)で検認された遺産には、被相続人の世界中の資産が含まれます。これは、遺産の中にスイスの資産が含まれていても、例外的な場合を除いて、スイス当局は法的に海外で検認した不動産に関与する必要がないことを意味します。 したがって、日本人が亡くなったときに日本に居住していて、スイスの資産を所有している場合、日本の法律が適用されます。

外国における決定の承認
国際私法第96条によれば、海外で検認された遺産に関する外国の決定、措置、文書は、被相続人が居住する国に提出されたものである場合はとくに、スイスにおいても承認されます。

この条文は、日本の裁判所が発行した遺言検認調書(遺言検認証明書)にも適用されます。 その結果、日本法に基づき正式に任命された日本の遺言執行者は、スイスで行動し、遺産に含まれるスイスの資産の取引などをすることができます。 したがって、スイスにおいて遺言執行者の権限を検証するための司法手続きを経る必要はありません。

スイスの国際私法
スイスの国際私法では、被相続人が最後に居住した州の法律が外国人の被相続人の遺産に適用されると定められています。

日本に居住する日本人の場合、スイスの資産の譲渡は、日本の国際私法に準拠してなされます。そのため、動産には日本法が適用され、スイスに所在する不動産にはスイス法が適用されます。したがって、スイスの強制的相続分はスイスの不動産に適用されます。これらのルールによれば、遺言者は自分の財産の一定の割合を子供や配偶者、または法律で定められている他の親類に残さなければなりません。ただし、遺言の中で自分の国の法律(日本法など)に基づいて自らの財産を管理することを希望する旨を表明することによって、これらの規則の適用を回避することは可能です。これは、スイスの国際私法の規定に基づいて、(1)スイスに居住する外国人、または(2)海外に居住するスイス人に対して適用できます。この規定は外国に居住する外国人にとっても適用可能性があるという議論もありますが、スイスの裁判所はまだこれの有効性について判決を下していません。

スイスの強制相続資格
スイス相続法では、死後、個人は遺言または相続合意書により財産を譲渡することができます。

遺言:遺言者によっていつでも取り消し得る片務的な合意。
相続合意書:すべての当事者による書面による同意がない限り変更できない、遺言者と1人以上の当事者間の取り決め。

スイス相続法は遺言の自由を保証しています。ただし、この原則は制限されていて、法定相続人は遺産のうち無形資産の一部を受け取る権利があります。強制相続権は次のとおりです。
● 直系の子孫の場合、相続権の4分の3。
● 親の場合、相続権の2分の1
● 生存配偶者または登録パートナーの場合、相続権の2分の1

これらの強制的相続分は、立法案が審議中のため、割合が小さくなる可能性があります。
法定相続人は、特別な法的な請求により強制的相続分を請求することができます。ただし、相続合意書の中で強制的相続分を放棄することもできます。

無遺言相続
被相続人が遺言または相続合意書を残していない場合、遺産は被相続人の法定相続人に承継されます。

スイスの無遺言相続では、被相続人に最も近い法的相続人は直接の子であり、相続分は等しい割合です。 ただし、被相続人に子がいない場合、法定相続人は親になります。 死亡した両親や生存配偶者の代理人がいない場合には、法定相続人は被相続人の祖父母になります。

配偶者は法的相続人となり、次の資格があります。
● 遺産の半分-残りの半分は被相続人の子供たちで分けられます。
● 不動産の4分の3-残りの4分の1は、被相続人の親またはその子供たちで分けられます。
● 被相続人の母親、父親、または子がいずれもいない場合には遺産全体。
被相続人に法定相続人がいない場合、遺産は被相続人の住所地のカントン(スイスの地方行政区画)に帰属することになります。

遺言書作成の正式な手続
遺言には3つのタイプがあります。
1. 公正証書遺言-2人の証人の立会いの下で公務員が作成したもの;
2. 自筆遺言-自筆遺言は完全に遺言者の直筆によらなければなりません。
3. 口頭での遺言-当局に遺言を伝える2人の証人に対する遺言者の宣言。
口頭での遺言は、遺言者が遺言を別の形で作成することができない場合、例えば通常は生命を脅かす緊急事態の場合にのみ作成可能であることに注意してください。

相続合意書は、2人の証人の前で公務員によって作成される必要があります。

相続合意書と遺言は、ともにベルンのスイス遺言登記簿に登記することができ、公開されません。遺言者の死後、これらの遺言は適切な州当局によって開かれ、遺言の写しが関係者に送信されます。

外国で作成された遺言は認められるか
1961年の遺言の方式に関する法律の抵触に関するハーグ条約は、外国で作成された遺言の有効性を規定しています。
条約によれば、以下の国内法の要件を満たしている場合、遺言の方式に関しては遺言が有効です。
● 遺言が書かれた場所
● 遺言が作成されたとき、または遺言者が死亡したときの、遺言者の国籍国
● 遺言が作成されたとき、または遺言者が死亡したときの、遺言者の居住地
● 不動産が存在する場所
したがって、これらの規則に注意を払い、日本人は、日本ととスイスの両方で遺言を作成し、両方の管轄区域の規則に従うことを担保しておくことが重要です。

スイスの不動産管理
管理者の2つのタイプ:遺言執行者と財産公式管理人。

遺言者は1人以上の個人を自身の遺産の遺言執行者に指定することができ、遺言者が死亡すると自動的に通知され、通知されてから14日以内は就任を拒否することができます。
場合によっては、当局が公式の財産管理人を指名することがあります。
相続人は、正式に遺産が分割されるまでは自動的に共同所有者になります。それまで、遺産は遺言執行者の管理下にあります。遺言執行者は次のことを行う必要があります。
● 被相続人の資産と負債の一覧の作成
● 債権者への支払い
● 不動産の管理
● 遺産の売却
● 被相続人の遺言に応じて遺産を分割する準備

遺産の分配
遺言で規定されていない限り、遺産は相続人の間で自由に分配することができます。ただし、遺言者は、土地の区画の分割と形成に関する特定のルールを作成する場合があります。

被相続人の債務の清算
債務は遺言執行者によって遺産の中から清算されます。
しかし、スイスでは、遺産を相続した相続人は、被相続人の債務に対しても個人的な責任を負います。責任は相続人の個人資産にも及びます。
相続法は、相続人によって個人的に支払われるべきであり、税金はカントンによって異なります。ほとんどの州の相続税法では、すべての相続人が共同で相続税の支払い義務を負うと定めています。

遺言執行者が取るべき措置
1 動産
スイスの銀行口座にアクセスするために、遺言執行者は一連の書類を銀行に提出する必要があります。これは、被相続人の死亡と遺言執行者の権限が法律に基づいていることを証明するものです。(例えば、遺言検認証書、死亡証明書など)。これらの書類は、その真正を検証するための正式な要件にも準拠する必要があります。
スイスの銀行はこれらの書類を受け取ると、保有する資産に関する情報を提供し、遺言執行者の指示に従って、口座の残金を新しい受取人に送金したり、資産を本国に送金したりします。資産が第三者の名義で保有されその相続人が受益者である場合、または他の当事者が被相続人の死後に効力を持つ権限を有している場合には、問題が発生する可能性があります。これらの問題はスイスの法律に従って処理されます。

2 不動産
スイスの法律によると、不動産の譲渡が有効になるためには、不動産が存在する場所の土地の登記所に登記する必要があります。したがって、外国の遺言執行者は、スイスの財産に関する土地の登記所に、動産と同様の書類を添えて要請する必要があります。ただし、外国の遺言執行者の法的地位はスイスの法律に適合するように調整されます。土地の登記所は、遺言執行者ではなく、遺言の受益者を不動産の所有者として登記します。

3 遺言の準備
スイスの国際私法では、外国の遺言執行者はスイスで事業を行い、被相続人の資産を管理し、遺言に明記された相続人に譲渡することができると定められています。したがって、スイス国外に居住するクライアンがスイスに有する資産についても、居住国で準備される遺言に含め、遺言執行者に直接これらの資産を処理させることをお勧めします。遺産の中にスイスの不動産が含まれる場合、スイス土地登記所での問題を回避し、非居住者によるスイスの不動産取得に関する法律を適切に適用するために、法的助言を求める必要があります。

スイスの弁護士とのネットワークにより、日本とスイスの両方のルールを考慮した適切な準備をお手伝いすることができます。詳しくは当事務所までお問い合わせください

相続と生涯贈与税
これらの税は州および市町村ごとに徴収されます。したがって、税率や規則は州の税法によって異なります。
被相続人がカントンの居住者である場合には、すべてのカントンで相続税が課されます。 贈与税も同様です。ただし、配偶者はすべての州で相続税と贈与税が免除されます。これはほぼすべてのカントンで、直系の子についても同様です。
ただし、被相続人がスイス居住者でなかった場合、贈与税も相続税も課税されません。したがって、日本に居住する被相続人(日本人)の相続人は、被相続人の遺産に対して相続税や贈与税を支払う必要はありません。ただし、遺産に不動産が含まれている場合、つまり、日本人の被相続人がスイスのカントンに居住していた場合には、そのカントンの相続税と贈与税は、被相続人が世界中に有する資産に適用されます。

各カントンの具体的な税率の詳細については、当事務所にお問い合わせください。

相続証明書を使用して遺産を継承する

1 相続証明書とは何ですか?
相続証明書は、相続資格を確認し、遺言または法律に従って被相続人の財産を処分するために必要です。金融機関は、被相続人の口座からお金を引き出す前に、相続証明書を要求します。この証明書は、被相続人の不動産を譲渡または売却するときにも必要です。

2 相続証明書の費用はいくらですか?
証明書を発行するための手数料は数百から数千フランです。登記所から証明書を取得するための追加費用は含まれていません。相続証明書の原本を最低限発注すれば、コスト削減が可能です。

3 証明書が発行されるまでどのくらいかかりますか?
相続人が明確になっていた場合でも、相続証明書が発行されるまでに6〜12週間かかる場合があります。

4 誰が相続証明書を請求できますか?
● 遺言または相続合意書がない場合:法定相続人は、相続証明書を要求することができます。
● 遺言または相続合意書がある場合、所管官庁から正式な確認が得られるまで、証明書を請求することはできません。正式な確認書には、誰が相続証明書を請求できるかが記載されます。

相続証明書を取得するには、次のことが必要です。
● 死亡診断書のコピーを提出する(市民登録事務所から入手できる)。
● 相続する資格があることを証明する(市民登録簿から抜粋する)。
● 相続を放棄していないことを証明する(すべての法定相続人からの受諾の宣言、または放棄の期限が切れていることの証明)。


結論
世界中にある財産の管理は、困難で複雑です。スイスに資産を持つ日本人は、将来の相続人への資産の円滑な継承を確実にするために、日本とスイスの国際私法の複雑さを慎重に理解する必要があります。当事務所は、海外の資産を持つ日本人に必要なサポートを提供することができます。 Eurolegalのメンバーシップを通じた国際的な法律事務所のネットワークにより、高品質の法的アドバイスを提供することができます。 詳しくは当事務所までお問い合わせください。


Succession of Swiss assets for Japanese nationals

Basic principles of inheritance in Switzerland
The Swiss inheritance system is based on the principle of unity of succession. In other hands, the estate probated at the decedent's domicile covers his assets worldwide. This means that Swiss authorities do not legally need to interfere with an estate probated abroad, even if there are Swiss assets involved, except in exceptional cases. Therefore, if a Japanese national was domiciled in Japan when they passed away, and owned Swiss assets, Japanese law would apply.

Recognition of foreign decisions
Following Article 96 of the International Private Law Act, foreign decisions, measures and documents concerning an estate probated abroad will be recognized in Switzerland, in particular if they were rendered in the domicile country of the decedent.

This would apply to a grant of probate issued by a Japanese court. Consequently, a Japanese executor validly appointed under Japanese law will be able to act in Switzerland and deal with Swiss assets included in the estate. It is therefore not necessary for a judicial procedure to verify the powers of the executor in Switzerland.

Swiss private international law
Swiss private international law dictates that the law of the state in which the decedent was last domiciled is applicable to the estate of the foreigner decedent.

In the case of a Japanese national domiciled in Japan, the transfer of Swiss assets will be governed by Japanese private international law. Therefore Japanese law will be applied for movable assets, and Swiss law will be applied for immovable assets located in Switzerland. Swiss forced heirship rules will therefore be applied to Swiss immovable assets. According to these rules, the testator must leave a certain proportion of his estate to his children or spouse, or to other relatives that the law dictates. However, it is possible for the testator to avoid the application of these rules by stating in his will that he wishes for his national law (i.e. Japanese law) to govern his estate. This is possible under Swiss private international law for either (1) foreign nationals residing in Switzerland or (2) for Swiss nationals domiciled abroad. Although it is arguable that this should also be a possibility for foreign nationals domiciled abroad, Swiss court has not yet ruled on the validity of this.

Swiss forced heirship entitlements
Under Swiss succession law, upon death, individuals may pass on their property by will or by inheritance agreement.

Will: a unilateral agreement that may at any time be revoked by the testator.

Inheritance agreement: Arrangement between the testator and one or more parties which can only be modified upon written consent by all parties.

Swiss inheritance law guarantees testamentary freedom. However, this principle is limited, due to the fact that legal heirs are entitled to an intangible part of the estate. The forced heirship rights are:
● Three-quarters of the succession right in the case of a direct descendant;
● Half of the succession right in the case of a parent; and
● Half of the succession right in the case of a surviving spouse or registered partner.

These forced heirship rules have the possibility of being reduced, as legislative form is pending.

Legal heirs can claim their forced heirship amount by way of a specific judicial action; however they also have the opportunity to waive their forced heirship through an inheritance agreement.

Intestacy
In the case that a decedent leaves no will or inheritance agreement, assets pass onto his or her legal heirs.

The Swiss intestate regime bases itself on a parental system and the decedent's nearest legal heirs are their direct descendants in equal portion. However, if the decedent leave no issue, the legal heirs are his parents. In the absence of any representative of the deceased parents or surviving spouse, the legal heirs are the deceased's grandparents.

A spouse is considered as a legal heir and will be entitled to:
● Half of the estate - the other half is divided between the deceased's issue;
● Three-quarters of the estate - the other quarter is given to the deceased's parents or their issue; or
● The entire succession in the case that no mother, father or any issue of the deceased is alive.
If the deceased has no legal heir, the estate is attributed to their domiciled canton.

Formal procedures for making a will

There are three types of wills:
1. A will by public deed - made by a public official in the presence of two witnesses;
2. A holographic will - this must be written entirely in the testator's own hand; or
3. An oral will - the testator's declaration of his or her last wishes to two witnesses who communicate the will to an authority.
It must be noted that an oral will is only possible when the testator is unable to draw up a will in another form - typically, in the case of a life-threatening emergency.

An inheritance agreement has to be made by a public official with two witnesses present.

Both inheritance agreements and wills can be registered at the Swiss Register of Wills in Bern and will not be public. Upon the death of the testator, these documents will be opened by the appropriate cantonal authority, and a copy of the document will be sent to the relevant parties.

To what extent are foreign wills recognised?

The Hague Convention on the Conflict of Laws Relating to the Form of Testamentary Dispositions 1961 governs the validity of foreign wills.

It provides that a will is valid as to its form if it meets the requirements of the domestic law of:
● The place the will was written in;
● The testator's country of citizenship, either at the time that the document was drawn up, or at the time of the testator's passing;
● The testator's place of domicile, either at the time that the document was drawn up, or at the time of the testator's passing; or
● The place in which the real estate is situated, with regards to immovable properties.

Paying attention to these rules, it is therefore important for Japanese nationals to create a will in both Japan and Switzerland, ensuring that they follow the rules of both jurisdictions.

Estate administration in Switzerland
The two types of administrator: executor and official administrator.

The testator may designate one or more individuals to be executors of his or her estate, and they are automatically notified upon the death of the testator, and can decline the mandate within 14 days of being notified.

In some cases, the authority may nominate an official administrator.

The heirs automatically become joint owners of the estate until it is formally divided between them. Until then, the estate falls under the administration of the executor. The executor must:
● Create an inventory of the deceased's assets and liabilities;
● Pay creditors;
● Manage the estate's assets;
● Pay out legacies; and
● Prepare the division of the estate in accordance with the deceased's will.

Distribution of the estate
Unless the will says otherwise, the estate can be freely distributed among the heirs. The testator may, however, create certain rules for the division and formation of lots.

Settlement of the decedent's debt

The debts are settled by the executor from the estate's assets.

In Switzerland, however, the heirs who have accepted to inherit the estate are personally liable for the debts of the decedent. The liability also extends to the heirs' personal assets.

Inheritance laws are due by the heirs persoa\nally, and tax varies depending on the canton. Most cantonal inheritance tax laws provide that all heirs are jointly liable for payment of the inheritance taxes due.


Steps that executors must take

Movables
In order to gain access to Swiss bank accounts, executors have to submit a series of documents to the bank, which prove the death of the deceased and the powers of the executor by virtue of law. (i.e. a grant of probate, death certificate etc.). These documents must also comply with some formal requirements to validate their authenticity.

When Swiss banks receive these documents, they will supply information about the assets that they hold and comply with the executor's instructions, such as transferring the accounts to the new beneficiaries or repatriating the assets. Issues may arise if assets are held in the name of third parties and the decedent is the beneficial owner, or if the decent issued powers that may be valid post-mortem to other parties. These issues will be handled in accordance with Swiss law.

Immovables
According to Swiss law, to have full effect of the transfer of property must be recorded at the Land Registry of the place where the property is located. Therefore, the foreign executor must send a request to the Land Registry regarding Swiss property, together with documents similar to those for movable assets. The legal status of the foreign executor, however, will be adapted to fit Swiss law. The Land Registry will record the beneficiaries of the will as the owners of the property, and not the executor, who may likely be recorded as such initially, for information purposes.

Preparation of will
Swiss private international law states that foreign executors are able to operate in Switzerland to gain control of the decedent's assets and transfer them to the heirs articulated in the will. It is therefore advisable to include Swiss assets of a client domiciled outside Switzerland in the will prepared in the country of domicile, and to have the executor directly handle these assets.  In cases where the estate includes property in Switzerland, legal advice should be sought to avoid any difficulties with the Swiss Land Registry, and to properly acknowledge the Swiss Federal Statute on Acquisition of Property by Non-resident Aliens.

With our network of lawyers in Switzerland, we are fully equipped to assist you in making appropriate preparations that will consider both Japanese and Swiss rules. Please contact our office for more information.

Inheritance and lifetime gifts tax

These are levied at cantonal and municipal levels. The tax rates and rules therefore vary depending on cantonal tax law.

All cantons levy inheritance tax if the deceased has been a resident of the respective canton. This is also the same for gift tax. However, spouses are exempt from inheritance and gift tax in all cantons. This is the same for direct offspring in most cantons.

However, neither gift tax nor inheritance tax is levied if the decedent was not a Swiss resident. Therefore, the heirs of a Japanese decedent domiciled in Japan will not have to pay inheritance or gift tax on the decedent's estate. However, if the estate includes real estate, and by extension, meaning that if the Japanese decedent was a resident of a Swiss canton, then the inheritance tax and gift tax of the particular canton will apply to the decedent's worldwide assets.

For further information on specific tax rates for each canton, please contact our office.

Using a certificate of inheritance to succeed assets

What is a certificate of inheritance?
The certificate of inheritance provides confirmation of the persons entitled to inherit and is needed in order to dispose of assets of the decedent's estate according to the will or law. Financial institutions will demand a certificate of inheritance before money can be withdrawn from the deceased's accounts. This certificate is also required when the deceased's real estate is transferred or sold.

How much does a certificate of inheritance cost?
The fee for issuing a certificate varies from several hundred to several thousand francs. It does not include the additional costs of obtaining certificates from register offices. It is possible to reduce the cost by ordering the minimum amount of originals of the certificate of inheritance.

How long does it take for the certificate to be issued?
Even in cases where the heirs are clearly established, it can take 6-12 weeks before a certificate of inheritance can be issued.

Who can request a certificate of inheritance?
● If there is no will or inheritance agreement: the statutory heirs have the right to c\request a certificate.
● With a will or inheritance agreement, a certificate cannot be requested until official confirmation has been granted by the competent authority. The official confirmation will show who is entitled to request the certificate of inheritance.

In order to obtain a certificate of inheritance, one must:
● Provide a copy of the death certificate (available from the civil register office);
● Prove that you are entitled to inherit (extract from the civil register);
● Prove that you have not disclaimed your inheritance (declaration of acceptance from all statutory and named heirs or proof that the time limit for a disclaimer has expired).




Conclusion

The administration of worldwide assets can be challenging and complex. A Japanese national with assets in Switzerland must plan carefully and navigate the complexities of Japanese and Swiss private international law, in order to ensure a smooth succession of assets to their heirs in the future. Our office can provide the necessary support to Japanese nationals with assets overseas. Our network of law offices internationally, through membership of Eurolegal, enables us to provide high quality legal advice that considers all relevant jurisdictions. Please get in touch with our office for further information.

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office | 記事URL

2020年9月 4日 金曜日

イギリスにおける遺産相続~日本人がイギリスに有する財産の承継

外国で作成された遺言はイギリス国内でも有効ですか?
有効です。 1963年の遺言法の規定に従い、外国で作成された遺言は、遺言が作成された国の国内法の要件に従って作成されている場合、または遺言の作成時または被相続人の死亡時における被相続人の国籍または住所地である法律の要件に従って作成されている場合には、イングランドおよびウェールズにおいて有効なものとしてみなされる場合があります。

原則として、遺言の有効性を確認するためには、遺言についてイギリスの遺言検認の手続(English Grant of Probate)を申請する必要があります。この記事では、遺言のプロベイト手続について説明します。

イギリスの資産に対する相続税
日本人でイギリスに居住している場合は、世界中に有する資産に相続税を支払う必要があります。

イギリス以外の居住者である場合、イギリスの資産にのみ相続税を支払うことになりますが、居住する国からも財産に課税される場合があります。

イギリスの標準的な相続税率は40%です。

イングランドとウェールズでは強制的な相続分はなく、イギリスで遺言を作成することにより、自身の財産を任意の人に残すことができます。

被相続人がイギリスの居住者で遺言を残さずに死亡した場合に、被相続人の財産がどのように分配され、イギリスの相続税がどのように支払われるべきかについては、遺言法により定められています。

イングランドとウェールズの遺言規則
● 配偶者、法的に承認されたパートナー、子供がいる場合:配偶者またはパートナーは、遺産と被相続人の個人の所有物の中から法定遺産と呼ばれる最初の270,000ポンドを、その価値に関係なく受け取ります。残りの半分も配偶者またはパートナーが承継し、残りは子供の間で均等に分けられます。 未税年の子供が承継する財産については18歳に達するまでは預けられます。子供が亡くなっている場合、その相続分は孫に承継されます。夫婦やカップルが別居していて、死亡時に法律的には離婚していなかったという場合でも、配偶者または法的に承認されたパートナーが相続することになります。
● 生存配偶者がいるが、子供がいない場合:この場合、配偶者またはパートナーは、最初の270,000ポンドを受け取り、残りは配偶者・パートナーと生存している親との間で半分ずつ分割されます。生存している親がいない場合、相続分は被相続人の兄弟(または姪・甥)に承継されます。これらの相続人がいない場合には、配偶者・パートナーは遺産全体を相続します。
● 生存配偶者、法的に承継されたパートナーがいない場合:遺産全体が子供または孫に分配されます。子供または孫がいない場合には、遺産は、親、兄弟(死亡している場合には甥・姪)、異父母兄弟(死亡している場合には子供)、祖父母、叔父・叔母(死亡している場合にはいとこ)、両親の異父母兄弟および異父母姉妹(死亡している場合は子供)の順番に承継されます。

イギリスの相続税
イギリスでは、相続税は、イギリスの居住者の財産と海外の居住者がイギリスに有する財産に課税されます。遺産には、不動産、現金、投資金、その他の所有物が含まれます(ただし、これらに限定されません)。 イギリスの相続税は、不動産の正味価格に加え、被相続人が死亡する前の7年間の間になされた遺贈に対して課されます。

遺言がない場合は財産管理人、遺言がある場合は遺言執行者が相続税を納めます。したがって、相続人は自らイギリスの相続税を支払うことはありません。ただし、相続した財産の売却から利益を得た場合には、所得税や譲渡所得税などその他の税を課されることがあります。

相続税率
イギリスの標準的な相続税率は40%です。イギリス国民と外国人居住者、およびイギリスに資産を持つ非居住者の場合、相続税率と優遇措置(免除)は同様の制度になっています。イギリスでは、相続税の課税対象となる不動産は4〜5%ほどです。これは、相続税の減税や、不動産が非課税となる場合があるためです。

●遺産の価格が325,000ポンド未満の場合、通常税金はかかりません。この非課税基準はすべての規模の財産に適用されるため、40%の税率はこの金額を超える分にのみ適用されます。
●配偶者、慈善団体、アマチュアスポーツクラブは相続税が免除されます。
●被相続人が死亡する7年前までの間に生前贈与を受けた場合、イギリスの相続税は免除されます。
●一部の事業資産には50〜100%の税額控除があります。
●遺産のうち少なくとも10%を慈善団体に寄付すると、遺産にかかる税率を36%に減じることができます。
●メインの家が子供または孫に相続される場合、この遺産の非課税基準額は最大200万ポンドになります。

遺産の規模や価値に関係なく、イギリスの税務当局であるHMRCに報告する必要があります。

非居住者の場合、相続税の申告の際には、相続税フォームIHT 401を使用する必要があります。遺産の額が325,000ポンドの閾値を下回るなどして相続税の支払いがない場合には、フォームIHT 205を使用する必要があります。

イギリスの贈与税
被相続人の死亡前7年の間に行われた贈与にはイギリスの相続税が課されますが、贈与が死亡の3〜7年前に行われた場合で、325,000ポンド以上の場合は課税税率が減じられることがあります。

贈与は、どの遺産でもすることができ、また財産が譲渡されることにより財産の価値が失われる場合にも贈与となります。たとえば、被相続人が子供に財産を実際の価値よりも低い金額で売却した場合、価値の差は贈与となります。

イギリスの相続税率は、死亡から3年以内の贈与に対しては、財産の全価額の40%になります。被相続人の死亡から4〜7年以内に行われた贈与には贈与税がかかります。贈与税率の概要は以下のとおりです。

●3年未満:40%
●3〜4年:32%
●4〜5年:24%
●5〜6年:16%
●6〜7年:8%
●7年以上:0%

片務的税額控除
日本はイギリスと二重課税協定を結んでいません。財産の譲渡に相続税のほか、イギリスが協定を結んでいない他の国でも同様の税が課せられる場合、イギリス国外の財産に関して、片務的税額控除条項(Unilateral Relief provisions)に基づいて、減税を受けることができる場合があります。
HMRCは、相続税に対して、ある国で相続された財産にその国が課した税金を控除します。
国際法上の一般的な見解としては、不動産およびその他の動産資産は、所有者の死亡時にそれらが所在する国の相続税制度の対象となります。

イギリスの贈与税および相続税の支払い
HMRCの規則では、相続税は被相続人の死亡後6か月以内に遺言執行者が支払う必要があります。この期限が過ぎると、HMRCから利息が請求されます。
相続税を支払うには、納付整理番号が必要です。納税整理番号があれば、自分自身の銀行口座、または被相続人と共同で保持していた共同銀行口座から税金を支払うことができます。

イギリスにおける遺産を評価する手続:検認(プロベイト
イギリスの居住者が死亡した場合、相続人は遺産を扱う法的権利を申請しなければなりません。このプロセスは、検認(プロベイト)の申請と呼ばれます。被相続人が遺言を残した場合、検認証書(Grant of probate)が与えられます。遺言がない場合、相続人は遺産管理状(Letter of administration)を受け取ります。ほとんどの場合、オンラインで申請できます。必要に応じて、遺言書、任意の遺言補足書、出生証明書、死亡証明書、結婚証明書、パートナーシップ証明書などの書類を提出する必要があります。

プロベイトが必要ない場合:
●被相続人が共同所有の土地、財産、株、または現金を持っていた場合:生存している所有者に自動的に譲渡されます。
●被相続人が貯蓄または割増金付き債券しか有していない場合

銀行や住宅ローン会社などの各資産の所有者に連絡して、財産を相続するためにプロベイトが必要かどうかを確認することが重要です。組織体ごとにルールが異なる場合があるためです。

プロベイトの申請時に、不動産の評価額の提出を求められます。これには2つの側面があります。
1.被相続人が口座を持っていた銀行、公益事業者およびその他の機関に連絡し、財産に関する公式見解を出してもらいます。
2.被相続人が死亡前に所有していた家、宝石、未払金など、他の所持品を評価することも重要です。債務も計算しなければなりません。これにより、遺産に適用されるイギリスの相続税を計算することができます。

財産を評価するために会計士を雇う必要はありませんが(これらについては自分たちで直接HMRCに提出できるからです)、さまざまな種類の財産が関係する場合、特に一部が海外にある場合には、専門家を雇うことをお勧めします。したがって、被相続人が日本に居住している日本人またはイギリスに居住している日本人である場合には、プロベイト申請を円滑なものにするために専門家に確認してもらう必要があります。

不動産の評価には6〜9か月かかる場合があり、大規模な不動産の場合はさらに期間が長くなる場合があります。したがって、海外またはイギリスに居住し、イギリスに資産を保有する日本人は、遺言書の作成時点で財産を整理して、相続人への遺産の円滑な承継を確実にすることができます。

栗林総合法律事務所は、国境を越えた法律を専門とする法律事務所であり、国際相続の問題でお困りの皆様に対して総合的な法律相談を行っております。詳しくは当事務所までお問い合わせください。


Succession of UK assets for Japanese nationals


Is a foreign will valid in the UK?
Yes. In accordance with provisions of the Wills Act 1963, a foreign will may be considered valid in England and Wales if it was prepared in accordance with the requirements of the national law of the country in which it was executed, or if it was prepared in accordance with the nationality or domicile country of the decedent, at the time of execution of the will or at the time of his death.

In principle, in order to uphold the will as valid, one must apply for an English Grant of Probate in respect of such a will. This article will later explain how to apply for a grant of probate.

Inheritance tax on UK assets

If you are a UK domicile and a Japanese national, you will have to pay inheritance tax on your worldwide assets.

If you are a non-UK domicile then you will pay inheritance tax on your UK assets only, however, foreign countries may also tax your estate.

To ensure that you pass on as much as your estate

Standard UK inheritance tax rate is 40%.

In England and Wales, there is no forced heirship, and people are free to leave their property to whomever they wish by making a last will and testament in the UK.

If a British resident dies without leaving a will, intestacy law determines how their estate is distributed and what UK inheritance tax is to be paid. 

Intestacy rules in England and Wales
● If there is a surviving spouse/civil partner and children: The spouse/partner receives the first 270,00 - called the statutory legacy - of the estate and all their personal possessions, whatever their value. Half of the remainder also goes to the spouse or partner, with the rest split equally between any children. The share of any minor children is held in trust until they reach 18. If any children are deceased, their share goes to any grandchildren. The spouse or civil partner inherits even though the couple may have informally separated and had not legally divorced at the time of death.
● When there is a surviving spouse but no children: Here, the spouse/partner gets the first £270,000 and the remainder is split 50/50 between the spouse/partner and surviving parents. If there are no surviving parents, then the share goes to the siblings of the deceased (or nieces/nephews). Where there are none from these groups, the spouse/partner inherits the whole estate.
● If there is no surviving spouse/partner: The whole estate is distributed between the children or grandchildren. If there are no children or grandchildren, the estate passes to the following groups in descending order: parents, siblings (or nephews/nieces if deceased), half-siblings (or their children if deceased), grandparents, uncles/aunts (or cousins if deceased), half-brothers and half-sisters of parents (or their children if deceased).

Inheritance tax in the UK
In the UK, inheritance tax falls due to the estate of the deceased of the UK residents and on the UK property of someone who lived overseas. Such property may include (but is not limited to) real estate, cash, investments, and other possessions. UK Inheritance tax is payable on the net value of the estate, plus on any lifetime gifts made in the last seven years of the deceased's life.

The estate administrators if there is no will or executors if there is a will, pay inheritance tax before it is handed down. Therefore, beneficiaries do not pay UK inheritance tax from their own pocket. They may, however, be responsible for other taxes such as income or capital gains tax, if they profit from selling assets that have succeeded to them.

Inheritance tax rates
The standard rate is 40% in the UK. For nationals and foreign residents, and non-residents with property in the UK, tax rates and exemptions are the same. In the UK, only around 4-5% of estates are large enough to incur inheritance tax.

This is due to the fact that there are several systems in place which can reduce inheritance tax or make an estate exempt from tax:

● There is normally no tax paid if the estate's value is under £325,000. This tax free threshold applies to estates of all sizes, therefore the 40% tax rate only applies to the portion of the estate above this amount.
● In addition, pouses, charities and amateur sports clubs are exempt from inheritance tax.
● If a gift is given during the lifetime of the deceased, within a period of up to 7 years before death, it is exempt from UK inheritance tax.
● 50-100% tax relief is offered on some business assets.
● Tax rate on the estate can be reduced to 36% if at least 10% of the estate is left to charity.
● If the main home is left to children or grandchildren, the tax free threshold on this property will be up to £2 million.

Irrespective of the size and value of the estate, it will need to be reported to HMRC, the UK tax agency.

For non-residents, individuals need to use the inheritance tax form, IHT 401. If inheritance tax is not owed, such as if the value is under the £325,000 threshold, Form IHT 205 must be used.

UK Gift Tax
Gifts made during the last 7 years of life are subject to UK inheritance tax, although if the gift is made 3-7 years before death, they may be taxed at a reduced rate if it is worth more than £325,000.

These gifts can be any asset class, or when an asset loses value when it is transferred. For example, if an individual sells property to their children for less than the actual value, the difference in value counts as a gift.

UK inheritance tax is the full 40% within 3 years of death. Gifts that are made 4-7 years from a person's death incur gift tax. Rates are outlined below:

● Less than 3 years: 40%
● 3-4 years: 32%
● 4-5 years: 24%
● 5-6 years: 16%
● 6-7 years: 8%
● More than 7 years: 0%

Unilateral Relief
Japan has no double taxation agreement with the UK. If a transfer is liable to inheritance tax and also to a similar tax imposed by another country with which the UK does not have an agreement, you may be able to get relief under Unilateral Relief provisions, in relation to assets outside of the UK.
HMRC gives credit against Inheritance Tax for the tax charged by another country on assets cited in that country.
The general position under international law is that real estate and other movable assets are subject to the inheritance tax regime of the country in which they are located at the death of the owner.
Paying UK gift and inheritance tax
HMRC's rules are that inheritance tax must be paid by the executors within 6 months of the person's death. After this deadline, HMRC will charge interest.
In order to pay an inheritance tax bill, a payment reference number is needed. Then, you will be able to pay from your own bank account or from a joint bank account you held with the deceased.

Valuing an estate in the UK: Probate
When a UK resident dies, heirs must apply for the legal right to deal with their estate. This process is called applying for probate. If the decedent has left a will, there is a grant of probate. Without a will, the heir will receive letters of administration. In most cases, you can apply online. A number of documents will be required to be provided, such as the will itself and any codicils, certificates of birth, death and marriage or partnership as applicable.

Conditions when you may not need probate:
● If the person who died had jointly owned land, property, shares or money - these will automatically pass to the surviving owners.
● If the person only had savings or premium bonds

It is important to contact each asset holder, such as a bank or mortgage company, to find out if you will need probate to gain access to the assets. Every organisation may have different rules.

You will be asked to estimate the estate's value when applying for probate. There are two aspects to this:

1. Contact banks, utility providers and other institutions where the deceased had accounts and ask for an official statement of their assets.
2. It is also important to value other possessions that the decedent had before they died, such as their home, jewelry, care, and any outstanding payments due to them. Liabilities must also be calculated. This will allow you to then calculate what UK inheritance tax applies to the estate.

Although it is not necessary to hire an accountant to value the estate (you can submit these figures directly to HMRC), it is recommended to hire a professional if there are various assets involved, particularly if some were overseas. Therefore, decedents who were Japanese nationals living in Japan or Japanese nationals also resident in the UK must obtain a professional valuation to ensure a smooth probate application.

Valuation of the estate can take between 6-9 months, or even longer for large estates. Accordingly, Japanese nationals living abroad or in the UK with assets in the UK may want to put their affairs in order at the time of writing a will so that a smooth succession of assets to the heirs can be ensured.

Kuribayashi Sogo Law Office specialises in cross border matters, and we can provide comprehensive legal advice to individuals dealing with inheritance matters. Please contact our office for more information.

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office | 記事URL

2020年7月17日 金曜日

国際相続における準拠法

国際相続における問題点
国際相続とは、相続人または被相続人が外国籍の場合や、相続財産が外国に存在する場合のように国境を越えて生じる相続をいいます。被相続人が日本人である場合であっても、例えば、その者が日本に在住している場合もあれば、相続財産のある外国に在住している場合、遺産のある国とは別の外国に在住している場合もあり得ます。さらに、相続財産が外国及び日本にある場合と、外国のみにある場合も考えられます。このような国際相続においては、①適用法の問題(相続人が誰かという問題や、相続財産の範囲についての問題)、②財産を実際に取得するための手続きに関する問題(例えば、預金であれば、金融機関から実際に払い戻しを受けるための手続)、③相続税の問題(どの国に対していつまでにいくらの相続に関わる税金を支払う必要がかるのかということ)が関わってくるため、国際相続の手続きは複雑なものになります。

法適用の問題(準拠法)
相続における準拠法がどの国の法律になるかということが問題となります。日本における国際相続については、法の適用に関する通則法(通則法)第36条において、「相続は、被相続人の本国法による。」と規定しています。よって、国際相続においては、被相続人が国籍を有する国の法律が適用されることになります。例えば、被相続人が日本国籍を有する者であれば、たとえその者が海外に在住している場合や相続人が外国籍を有している場合であっても、その者を被相続人とする相続については日本法が適用され、相続人の範囲や相続財産の範囲についての問題は日本法によって定まることになります。反対に、被相続人が外国籍を有している場合には、被相続人の本国法によることになりますので、日本法は適用されないことになります。

包括承継主義と管理清算主義
相続財産について、外国の現地法が適用になる場合には、プロベイトと呼ばれる手続きの対象となる可能性もあります。日本は包括承継主義を採用しており、被相続人の資産・負債が包括的に相続人に相続されるため、遺産管理人の関与が必要ではないことから、相続人は、直接金融機関などと相続財産である預金の払い戻しのための交渉をすることができます。ドイツ、フランス、イタリア、スイスなどの大陸法系諸国でも包括承継主義を採用しています。これに対して、アメリカやイギリスなどの英米法系の国では、遺産承継について管理清算主義をとっているため、遺言の有無に関わらず、相続財産は、日本などのように直接相続人に承継される(このような制度は包括承継主義と言われます。)のではなく、裁判所の監督下で行われる清算手続(この手続きがプロベイトと呼ばれます。)を経て、残った積極財産のみが相続人に分配されることになります。そのため、日本での遺産分割協議や、遺産分割調停・審判、遺言書の効力がそのままプロベイトで裁判所により承認されるとは必ずしも限りません。

相続統一主義と相続分割主義
日本や韓国、ドイツ、イタリア、スペイン、ポーランド、ハンガリー、ギリシャ、スウェーデンなどにおいては、相続財産が動産であるか不動産であるかに関わらず、上述のとおり、被相続人の本国法や住所地法が相続における準拠法とされます。相続に関する法律関係を被相続人の属人法(本国法や住所地法)によって一体的に処理するものを相続統一主義と言います。これに対して、アメリカなどの英米法圏においては、不動産相続と動産相続とを区別する相続分割主義が採用されています。フランス、ベルギー、ルクセンブルク、中国なども相続分割主義をとっています。相続分割主義の法制のもとにおいては、例えば、不動産については不動産の所在地の法律を適用し、動産や流動資産については、被相続人の住所地法を相続の準拠法とするなどとされており、財産の種類によって適用法が異なることになります。よって、仮に被相続人が日本国籍を有しており、相続の手続きにおいて日本法が適用される場合であるとしても、被相続人の不動産が相続分割主義を採用する外国に所在していれば、不動産の相続についてはその不動産所在地の外国法が適用されます。相続財産が動産や流動資産であっても、被相続人が海外に居住していた場合には、動産や流動資産の相続について、被相続人の住所地法である外国法が適用される可能性があります。

相続財産の管理に関する準拠法
日本のように相続に関する準拠法が包括承継主義をとる場合であっても、相続財産が海外にある場合には、その国の裁判所に対して財産の相続に関する申し立てを行う必要があります。この場合、相続財産の管理に関する準拠法は、動産であるか不動産であるかを問わず、遺産の所在する地の法律が適用になります。従って、アメリカやイギリスなど管理清算主義をとる国に相続財産がある場合、プロベイト手続きが必要かどうかや、プロベイト手続きの中でどのようにして財産の清算を行うのかについては、財産所在地の法律によって決定されることになります。一方、アメリカやイギリスにある相続財産を相続人に分配する過程における準拠法については、手続きが係属している裁判所の国際私法の適用によって決定されることになります。アメリカのように相続分割主義をとる国においては、不動産については、不動産が所在する地の法律を準拠法とし、動産や流動資産などのその他の財産については被相続人の本国法やドミサイルのある国の法律が適用になることになります。日本人がアメリカに不動産と動産を有している場合、不動産と動産の管理については、財産が所在する州の法律が適用になりますが、相続人への分配に際し、相続人が誰であるかという問題や各相続人の相続分の問題については、相続分割主義の適用により、不動産については財産が所在する州の法律が適用になり、動産については被相続人の本国法(日本の法律)が適用になることになります。また、財産が所在する地の国の国際私法でドミサイルのある地の法律が動産や流動資産についての準拠法となる場合は、被相続人が日本国籍を有する場合であっても、死亡時にその国に居住しドミサイルがその国にあると認められる場合は、ドミサイルがある国の法律が準拠法となります。

反致(通則法41条)
X国の国籍を有する人が亡くなり、その遺産相続がなされる場合、日本法によれば被相続人の本国法が準拠法となりますので、その相続についてはX国の法律が適用されることになります。この場合、X国の国際私法で不動産の相続については不動産の所在地の法律によると定められている場合、日本にある不動産については、X国の国際私法の適用により日本法が適用になることになります。このように、一旦外国の法律が適用になった後、その外国の法律によりまた日本の法律が適用になる場合のことを反致と言います。準拠法の決定においては反致が成立するかどうかも検討する必要があります。

国際私法の適用
結局遺産分割の手続がどこの国の裁判所に申し立てられるかにより、その手続き国の国際私法が適用になり、準拠法が決定されることになります。例えば、日本の裁判所に遺産分割の申立がなされた場合には、日本の国際私法に従って準拠法が決定されることになります。上記の通り、日本の国際私法では、被相続人の本国法が遺産相続についての準拠法とされますので、被相続人が日本人であれば日本法が適用されることになります。従って、相続人が誰かという問題や相続財産の範囲についての大部分の問題は日本法により決定されることになります。但し、海外に所在する財産の相続においては、海外の裁判所に相続手続きの申し立てをせざるを得ないことがあり、また、管理清算主義をとる国においては、裁判所の許可なしに相続財産を勝手に処分することはできないことになります。その場合、その外国に所在する財産に対してどの国の法律が適用になるかは、その外国の国際私法によって決定されることになります。

アメリカにおけるプロベイト手続きの概要
アメリカでのプロベイト手続きにおいては、裁判所から選任された人格代表者(personal representative: 遺言で指定された遺言執行者(executor)または裁判所が選任した遺産管理人(administrator))が、被相続人の財産を集めて財産目録を作成し、遺産の管理をし、被相続人の債権者に対して債務の弁済を行い、税金の申告をし、残余財産を権利者に分配します。権利者である相続人や受遺者の範囲については、裁判所で行われるプロベイト手続きにおいて、有効と判断された遺言及び州法に従って確定されることになります。相続財産である預金が存在する金融機関は、裁判所が発行した証明書(遺言執行者であれば letters testamentary、遺産管理人であれば letter of administration)を有する者に対して預金の払い戻しを行い、その後、裁判所で確定された権利者の範囲に従って分配されることになります。

香港におけるプロベイト手続の概要
香港においても、アメリカなどと同様に管理清算主義が採用されており、相続財産の分配においては裁判所による承認(遺産管理状の授与書:Grant of Letters of Administration)が必要となります。そして、プロベイトを経ないで相続財産が処分された場合には、プロベイト及び遺産管理法(Probate and Administration Ordinance)違反として処罰される可能性があります。なお、相続における適用法の選択(準拠法選択)においては、動産や流動資産と不動産とを区別せず、相続財産の所在地法が適用されることになります。香港におけるプロベイトの手続きについては、非争訟的プロベイト実務ガイド(Guide to Non-Contentious Probate Practice)が実務上の問題点について説明しています。

遺言の方式の準拠法
日本における相続では、国際相続の場合においてどの国の法律で遺言の有効性を判断するかということについて、遺言の方式の準拠法に関する法律が定めています。そして、法第2条は、遺言者が国籍を有していた国の法のみならず、行為地法、住所地法、不動産の所在地法などの方式に従った遺言であっても有効であるとしています。ただし、外国法に従った遺言が有効であるとしても、その遺言のみによって、法務局での被相続人の不動産登記の変更や銀行預金口座の解約が認めてもらえるとは限りません。この場合には、日本の弁護士によって作成された遺言の有効性に関する現地法に基づく意見書の提出が求められることが多くあります。また、外国法による遺言書が現地の公証を得たものではない場合には、家庭裁判所での検認手続きを得ることを求められることもあります。そのため、日本での遺言の執行を想定しているのであれば、日本の方式で遺言書を作成しておくことで遺言書の執行が容易になるということはあります。

遺言の方式の準拠法に関する法律
遺言の方式の準拠法に関する法律第2条では、「遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。」として、次の場合を挙げています。
① 行為地法
② 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
③ 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法
④ 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法
⑤ 不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法

遺言書の海外での執行
上述のとおり、日本法のもとで有効に成立した遺言であっても、外国の裁判所がその遺言の有効性を認めない可能性もあります。そのため、特に、相続の準拠法が外国法となることが想定されるような場合には、財産の所在地ごとにその国の方式に従った遺言書を作成しておくことも検討すべきです。

日本人の財産が海外にある場合の手続上の問題
被相続人が日本人であっても、日本人の財産が海外にある場合には、日本にある日本人の財産を相続する場合とは異なる注意すべき点があります。例えば、相続財産が外国の銀行にある預金の場合には、その預金の払戻金を遺産分割の対象とすることになりますから、まずは預金の払い戻しを受けることが必要になります。払戻を受けるに当たり具体的にどのような相続を証明する書類が必要であるかについては、銀行支店所在地の法と実務によることになりますので、具体的な払い戻しの手続きを知るためには、その預金のある外国の法と銀行実務の調査が必要となります。

弁護士意見書が求められる場合
外国の現地の銀行から預金の払い戻しを受けようとした場合に、現地の金融機関から、相続人の範囲及びその根拠を求められることがあります。また、被相続人の遺言執行者が預金の支払いを求めた場合は、遺言執行者の選任の事実についての証明を求められることもあります。さらに遺言書が存在する場合には、遺言書の有効性について、日本法を根拠として証明することが必要となることもあります。これらの場合には、金融機関としては、日本の弁護士によって作成された意見書の提出を想定していることが多く、弁護士の意見書を提出することによって、払い戻しの手続きを進めることができます。

預金口座がアメリカの支店にある場合の払い戻し手続き
アメリカの預金の払い戻しを受ける場合には、死亡診断書、遺言書、遺産分割協議書、住民票、戸籍謄本などの原本及びその英訳が必要となります。さらに、それらの書類について、公証人の面前で書類の作成者が署名すること(公証)を金融機関から求められる場合が多くあります。公証は、日本では、公証人役場で受けることができますが、アメリカとは異なり、必ずしもすべての書類について容易に公証を受けることができるとは限りません。例えば、死亡診断書に公証を受けようとすれば、公証人の面前で、死亡診断書を作成した医師に署名をしてもらう必要がありますが、そのような対応をする医師を見つけることは容易ではありません。そのため、海外の金融機関から公証を受けることを求められた書類が、公証を得ることが困難なものであるような場合には、金融機関に対してその事情を説明し、代わりとなる証明書などを弁護士により作成することが必要となることもあります。

香港の預金解約の例
被相続人(日本人)は、会社からの派遣により香港の子会社に出向し、家族と一緒に香港で生活していましたが、突然の脳梗塞により倒れ、そのままお亡くなりになりました。家族は日本に帰国しましたが、香港に在住中に香港上海銀行の口座に預金を有しており、その解約が問題となりました。栗林総合法律事務所は、亡くなられた方の奥様からの依頼により香港の協力事務所を通じてプロベイトの申立を行い、香港の弁護士が財産管理人となって裁判所の管理下で銀行預金の解約を行い、無事に預金を日本に送金することが出来ました。亡くなられた方の奥様としては、ご主人が亡くなるという失意の中で、複雑な手続きを取ることが難しく、また預金の解約のためだけに現地に赴くことも難しかったことから、現地に出向くことなく預金の払い出しを受けることができ非常に感謝いただきました。

ニューヨークの裁判所でのプロベイト手続
日本人のご主人がニューヨークの銀行に預金を残したまま亡くなられるケースがありました。日本の財産は法定相続人間の遺産分割協議により分割が完了しましたが、アメリカの銀行から預金残高明細証が送られてきて、アメリカの銀行にも預金があることが分かりました。相続人からアメリカの銀行に対して預金の払い戻し請求を行おうとしましたが、たらいまわしにされて、確たる返事をもらえないまま時間が経過することになりました。その後、日本の相続人から当事務所に問い合わせがなされ、銀行預金の払い戻し手続きを依頼されることになりました。当事務所でも最初は銀行との連絡を取ろうとしたのですが、結局ニューヨーク州の弁護士などとも協議をしたうえで、銀行からの任意の払い戻しを受けることは難しいことが分かり、ニューヨーク州でのプロベイトの手続を取ることで預金の払い戻しを行うことにしました。このケースでも、ニューヨーク州の弁護士にプロベイト選任申立手続きを行ってもらい、裁判所の管理下で預金の払い戻しを受け、無事預金の解約を行うことができました。

栗林総合法律事務所のサービス
栗林総合法律事務所では、海外預金の解約に関するご相談を多く受けております。アメリカ、イギリス、香港、シンガポール、オーストラリア等の国においては、日本の相続法とは異なる遺産相続手続きがなされることになりますので、現地の法律に従った相続手続きを取ることが必要になります。また、海外に相続財産が有る場合には、その土地の相続税が課せられることがありますので、日本における相続税の申告とは別に現地における相続税の申告手続きをとることも必要になります。栗林総合法律事務所では、プロベイト手続や相続税に詳しい現地の法律事務所と連絡を取りながら、適切な法律手続きを確定し、預金の払い戻しや相続税の申告手続きをサポートいたします。もし、海外預金の解約や相続についてのご相談がございましたら、当事務所までご連絡ください。

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2020年7月16日 木曜日

香港のプロベイト手続

香港におけるプロベイト手続きの概要
香港では、日本の場合と異なり、相続人だけで自由に遺産の分割を行うことはできません。これは、香港に所在する財産について適用されますので、相続人や被相続人が日本人で、日本に居住している場合であっても、香港に相続財産が有る限り異なりません。従って、ご親族が日本、香港、その他の国でお亡くなりになり、その方の遺産相続をする過程で、お亡くなりになられた方が香港に銀行預金やその他の財産を有していたことが分かった場合には、プロベイト手続き(遺言執行者又は財産管理人の選任し、相続財産を管理・処分してもらう方法)を取ることが必要になります。

少額財産の除外
香港に所在する相続財産の額が5万香港ドル(約75万円)以下の場合には、プロベイトの手続きは要求されず、Confirmation Noticeと言われる書類により預金の払い戻しができます。Confirmation Noticeを取得するには、The Estate Beneficiaries Support Unit of the Home Affairs Departmentに対する申し立てを行う必要があります。

プロベイト手続きの概要
日本に住所を有する日本人が香港に財産(銀行預金等)を残して死亡した場合のプロベイト手続は、香港の法律である非争訟的プロベイト規則NCPR(Non Contentious Probate Rules (Cap.10A))において定められています。プロベイトの手続きは被相続人に遺言がある場合と遺言がない場合で異なります。被相続人に遺言がある場合は、Probate(遺言検認手続き)という手続きにより、申立人が裁判所に対して遺言執行者の選任申立てを行い、これに対して裁判所が遺言執行者(executor)を選任する決定を行います。遺言執行者を選任する決定をGrant of Probateと言います。被相続人に遺言がない場合は、財産管理手続きにより、申立人が裁判所に対して財産管理人を選任するよう申し立て、これに対して裁判所が財産管理人(administrator)を選任する決定を行います。財産管理人を選任する決定をGrant of Letters of administrationと言います。裁判所の決定であるGrant of ProbateとLetters of administrationの両方を合わせて、代理人選任決定(Grant of Representation)と呼ぶことがあります。この決定が出されることで、executor(遺言執行者)やadministrator(財産管理人)は相続財産の管理・処分についての正式の権限を有することになります。

プロベイト手続きの申立人
上記の通り、被相続人(亡くなられた方)の遺言により遺言執行者が定められている場合には、遺言執行者がプロベイトの申立を行います。被相続人の遺言書がなく、遺言執行者の定めがない場合には、法定相続人が申し立てを行うことになります。通常の場合、奥様やお子様が法定相続人として申立を行うことになります。実際には、香港の弁護士に委任状を出し、香港の弁護士が日本における遺言執行者や法定相続人の代理人として申立手続きを行ってくれることになります。

裁判所
プロベイト手続きを申し立てる裁判所は、香港の高等法院遺産承弁署(Probate Registry of the High Court)となります。香港の弁護士を代理人にしている場合は、申立人や相続人が自ら香港の裁判所に行く必要はありません。

Grant of Letter of Administration(遺産管理状の発行)
香港では、被相続人の財産については裁判所の承認(Grant of ProbateまたはLetters of Administration)がなければ処分することができません。これに違反すれば、プロベイト及び遺産管理条例第10章(Probate and Administration Ordinance (Cap10))第13条及び第60条J条に違反する犯罪となります。

申立書における注意事項
また、香港におけるプロベイトでは、下記の事項が重要となります。下記の全ての事項について、書式・形式を整えて証拠とともに提出し、確認してもらう必要があります。
① 被相続人が誰であるか
② 被相続人の住所
③ 遺言の有無
④ 遺言執行者/遺産管理人が誰であるか
⑤ 相続人が誰であるか
⑥ 被相続人の香港における財産が何であるか
⑦ 保証人による保証の要否、放棄の有無
⑧ 関係書類が適切に準備されているか(認証されているか)

簡易手続きの適用の有無
日本はプロベイト及び遺産管理条例第10章別表2(Probate and Administration Ordinance (Cap.10) Schedule 2)により指定されていないため、簡易な手続きは適用されません。

香港の財産が15万香港ドルを超える場合
被相続人の香港における財産が15万香港ドル以上の場合、略式の手続の対象ではなく、非争訟的プロベイト規則第29条(Rule 29 of NCPR)の対象になります。

申立ての添付書類
申立は全ての添付書類を揃えて行わなければなりません。添付書類として通常想定されるのは下記の書類ですが、場合によっては更に書類が必要となる可能性があります。日本の当局または機関が作成した書類はアポスティーユを取得する必要があります。個人・民間団体が作成した書類については、日本の公証役場で認証を受け、外務省で証明書を取得し、駐日中国大使館で認証を受ける必要があります。日本語で記載されているものは、翻訳者が宣誓の上、翻訳しなければなりません。
・死亡証明書(Death Certificate of the deceased)
・婚姻証明書(marriage certificate for spouse)
・出生証明書(birth certificate for parents/children)
・被相続人の本人確認書類(Copy of Identity Card/Passport of the deceased)
・申立人の本人確認書類(Copy of Identity Card/Passport of the applicant)
・遺言書(Original Will of the deceased)
・被相続人の最後の住所地及び職業に関する書類
・香港における銀行預金の情報(Bank Passbooks, Statement and Time Deposit Receipt)
・香港における不動産の調査記録
・銀行の貸金庫に関する情報(銀行の支店名、ロッカー番号など)

日本の弁護士による宣誓供述書(Affidavit)
日本の弁護士による法律についての宣誓供述書・宣誓書(Affidavit)が必要となります。

香港の弁護士への委任
被相続人の財産の遺産管理人が日本に居住する日本人である場合、香港の弁護士(solicitor)に対し、申し立てをすること及び遺産管理人の代理人となることを依頼することが考えられます。この場合は、遺産承弁署から保証人を求められません。

保証人による保証
外国人の遺産管理人が申し立てをする場合、遺産承弁署から、遺産管理人以外に2名の保証人を求められます。保証人は、それぞれが香港における被相続人の財産の合計又はそれ以上の資産を有していなければなりません。保証人は、裁判所が決定する保証人の責任に関する制限の範囲内において、遺産管理人がその義務に違反することにより、被相続人の財産の遺産管理の利害関係者が被る損害を賠償することを保証しなければなりません。

保証人の免除
2名の保証人を確保することは大変困難です。そこで、申請人が下記の二つの事項を示した場合、遺産承弁署に対する申立により、保証人による保証は免除されます。
①その財産について、現在のものであると潜在的であるとを問わず、知れたる債権者若しくは知れたる債務者がいないこと、又は、全ての債権者が保証の免除について同意しており、同意書を提出すること
②保証されるべき相続人がいないこと、又は当該相続人が保証の免除について同意していること(可能であれば同意書を提出しなければならない)

財産管理人への権限授与
香港高等法院遺産承弁署(Probate Registry of the High Court)は、申し立てを審理する手続き全体において、適宜問合せをする場合があり、申立人はこれに回答する必要があります。これらの問合せを経て、遺産承弁署が心象を得られた段階で、プロベイトの授与書(grant of probate)または財産管理人の選任決定(Letter of Administration)が発付されます。遺産管理人は、プロベイトの授与書または財産管理人の選任決定書に基づき、授与書に記載された被相続人の財産のみを処分します。授与書に記載のない被相続人の財産が発見された場合、遺産管理人は、遺産承弁署に対し、当該遺産を授与書に追加するよう申し立てることができます。

法律意見書
法律意見書には次の事項を記載する必要があります。
①当該事件にかかわる事実、及び適用される日本法を記載する(関連条文を引用する)
②日本法の下では、だれが優先的に財産の管理又は授与書の申立をする権利を有するのかを記載する
③日本の裁判所が検認した場合を除き、遺言の有効性について記載する。但し、被相続人が無遺言で死亡した場合は不要である。
④日本における財産を管理するために授与書が必要であるかどうか、仮に必要である場合、本件で授与書の申立がない理由を記載する。但し、日本法において、被相続人の財産を管理するために授与書を得る必要はない(民法896条)
⑤未成年者(相続人が8歳以下である場合)の利益及び生涯権(信託など)について記載する。弁護士は、結論及び結論に至るまでの過程について詳細かつ明確に記載しなければならない。

法律意見書を作成者の資格(非争訟的プロベイト規則第18条(Rule of Non Contentious Probate Rules))
法律意見書を作成する者は、弁護士として5年以上の実務経験を有している必要があり、法律意見書にはそれに関する証拠を添付する必要があります。

未成年者の利益保護
未成年者の利益が問題となる場合、遺産管理人が2名以上必要となります。この点については、日本では遺産管理人が2名必要とされることはありませんが、プロベイト及び遺産管理条例第10章第25条(Section 25 of Probate and Administration Ordinance (Cap10))に基づき香港では必要となります。

財産管理人の業務
裁判所から選任されたexecutor(遺言執行者)は遺言に従って財産を処分する全ての権限を有しています。同様に裁判所から選任されたadministrator(財産管理人)は、法律に従って財産を処分する全ての権限を有しています。遺言執行者や財産管理人は、香港国内の不動産を売却処分し、銀行預金の解約を行い、税金その他の債務の支払いを行い、残った財産を遺言書又は法律の定めに従って相続人に分配します。

香港の遺産税
香港の遺産税は廃止されましたので、2006年2月11日以降に死亡した人の相続財産に対しては、遺産税は課せられません。香港居住者も香港の非居住者も同じです。

香港における財産管理手続
香港と日本は、プロベイトについて異なる法概念と手続きを有しています。香港ではある人が亡くなった場合、プロベイトの申立をする権利を有する人は高等法院に対してプロベイト(遺言がある場合)または遺産管理状(遺言がない場合)の付与を申し立てなければなりません。これに対して日本では、プロベイトのような制度はありません(但し、日本における相続の場合であっても「検認」という制度が適用される可能性があります)。

香港のコモンローによる準拠法の決定方法
香港のコモンロー制度は、被相続人の住所(ドミサイル)に着目し、住所の存する国の法律が被相続人の財産の管理及び承継についての準拠法であり、かつ管轄権を有すると考えています。ドミサイル(domicile)とは居住の意思をもって定住している場所をいいます。香港国籍の人でも日本に居住する意思で日本に居住している場合は日本にドミサイルがあることになります。また、香港に居住している日本人は、日本国籍であっても香港にドミサイルがあるとされ、香港法が適用になる可能性があります。

香港法による相続分割主義
また、香港では相続分割主義をとっていますので、不動産(土地、建物、アパート、マンション)については、財産の所在地の法律が適用になります。例えば、日本人が香港に不動産を所有していた場合、香港の相続法が適用になります。反対に香港人が日本で不動産を所有していた場合、日本の相続法が適用になります。これに対し、動産や流動資産(現金、株式、個人的所有物)については、個人が死亡したときに有していたドミサイル(domicile)(居住の意思を持って住んでいる場所)の相続法が適用になります。日本に居住していた日本人が被相続人の場合、ドミサイルは日本にありますので、日本の相続法が適用になります。その結果、日本に居住する日本人が香港にマンションと銀行預金を残して死亡した場合、マンションについては、相続人の範囲や相続分については香港の法律が適用になるのに対し、銀行預金については、相続人の範囲や相続分については日本法が適用になることになります。

日本の国際私法
日本の法の適用に関する通則法36条では、「相続は被相続人の本国法による」とされています。日本では相続統一主義をとっていますので、日本の国際私法が適用される場合は、世界のどこにある財産についても被相続人の本国法が適用になることになります。従って、日本の国際私法によれば、被相続人が香港人の場合、財産がどこの国にあっても相続については香港の法律が適用になることになります。反対に被相続人が日本人の場合、財産がどこの国にあっても相続については日本の法律が適用になることになります。

香港に財産を有する日本人(日本在住)が死亡した場合
日本に居住する日本人が日本と香港に財産を残して死亡した場合、日本の通則法によれば被相続人の本国法である日本の法律が全ての相続について適用されることになります。しかし香港に所在する財産の管理については、香港の裁判所への申し立てを行うことになり、その場合、準拠法の決定は香港の裁判所が香港の国際私法に基づいて判断することになります。香港の国際私法では、香港に所在する不動産については香港の法律が準拠法となるのに対し、動産や流動資産については被相続人のドミサイルがある地の法律が適用になります。その結果、日本に所在する動産と不動産については、日本の家庭裁判所が判断することになりますので、日本の国際私法が適用になり、日本法が準拠法となります。香港に所在する動産と不動産については、香港の裁判所にプロベイトの申し立てを行うことになりますので、香港の国際私法が適用になります。その結果、相続分割主義により、香港に所在する不動産については財産の所在地である香港法が準拠法となり、香港に所在する動産や流動資産については、被相続人のドミサイルが日本にありますので、日本法が準拠法となります。なお、香港所在の動産や流動資産について日本法が準拠法となり、日本法に従って相続人や相続分が決定される場合であっても、財産の管理については香港の手続きによることになりますので、香港所在の動産や流動資産について香港のプロベイト手続きを行うことは問題ありません。

香港に財産を有する日本人(香港在住)が死亡した場合
香港に居住する日本人が日本と香港に財産を残して死亡した場合、日本に所在する財産については、当該手続きが日本と香港のいずれに申し立てられているかにより適用する国際私法が決定されることになります。日本の裁判所に提起されている場合、日本の通則法により準拠法が決定されますので、被相続人の本国法である日本の法律が全ての相続について適用されることになります。しかし香港に所在する財産の管理については、香港の裁判所への申し立てを行うことになり、その場合、準拠法の決定は香港の裁判所が香港の国際私法に基づいて判断することになります。香港の国際私法では、香港に所在する不動産については香港の法律が準拠法となるのに対し、動産や流動資産については被相続人のドミサイルがある地の法律が適用になります。この事例では、被相続人は香港にドミサイルを有していると考えられますので、香港法が準拠法となることになります。

プロベイト又は財産管理人の申し立てに要する弁護士報酬
プロベイトや財産管理手続きにおける香港の弁護士の報酬については、香港に存在する財産が銀行預金のみか、不動産その他の財産も含まれるかによって異なってきます。銀行預金のみの場合でも、複数の銀行に預金があるのか、口座の数は1つか2つ以上かなどによっても異なってきます。未成年者の保護手続きなどを要しない簡易な手続きの場合で、香港の弁護士の報酬の一般的な金額は、40万円から60万円程度になります。また、日本人が香港での財産管理手続きを行う場合は、関係書類を日本において収集し、日本で英語訳をつけて香港に送る必要がありますので、日本の弁護士の報酬も別途要することになります。日本の弁護士の報酬(着手金)の一般的な金額は香港の相続財産の価額によって異なりますが、当事務所の場合で通常60万円から120万円となっています。

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office | 記事URL

2020年7月16日 木曜日

アメリカ銀行預金の払い戻し

アメリカの銀行からの通知
ご家族の誰かが亡くなられた後に、アメリカの銀行から預金明細書が送られてきて、故人が海外に財産を有していたことを知ることがあります。海外の銀行から預金明細書が届けられたら、最初に各口座の預金残高にいくらあるかを確認してください。国際相続の場合多額の費用を要することになりますので、相続人としては預金の残高に応じてどのような手続きをとるかを判断することになります。

預金の種類
日本人がアメリカの銀行に預けている預金の代表的な口座の種類としては、チェッキングアカウント(Checking Account)とセービングアカウント(Saving Account)があります。チェッキングアカウントは、給与の振込口座や、家賃や公共料金を小切手で支払う場合の引き落とし口座となりますので、日本の当座預金と普通預金を合わせたような使い方がされます。セービングアカウントは、チェッキングアカウントよりも高い金利のつく口座で、当面の資金的移動がないような場合には、セービングアカウントに預金を持っておくことも考えられます。その他の口座としては、CDと呼ばれるサーティフィケート・オブ・デポジット(Certificate of Deposit)やMMAと呼ばれるマネー・マーケット・アカウント(Money Market Account)があります。

預金解約申請
相続財産の管理については、動産であるか不動産であるかに拘わらず、遺産管理地法が適用になります。アメリカでは、各州の法律により、相続財産の金額が一定以上となった場合には、プロベイト手続きや財産管理手続きと呼ぶ裁判所主導の相続財産管理手続を取ることが求められることが多くあります。一定の金額がいくらであるかについては州ごとに異なりますが、5万ドル、15万ドル、30万ドルの場合などがあります。一方で、預金の額が各州の法律で定められた金額以下の場合には、プロベイトや財産管理の手続きをとることなく、直接預金の解約ができるとされています。この場合、死亡診断書により口座の所有者が亡くなったこと、遺言書、戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書などにより申請者が正当な相続人であり、払い戻しを受ける権限を有していることなどを証明して預金の払い戻しを受けることになります。プロベイトや財産管理の手続きを経ることなく預金の払い戻しができるかどうかは、どこの州の金融機関に預金しているのか、その州の法律上いくら以上の預金についてプロベイト手続きや財産管理手続きが要求されるのかを確認することになります。

預金払い戻しにおいて最低限必要な書類
プロベイトや財産管理の手続きを経ることなく預金の払い戻しを受ける場合は、次のような書類(日本語と英語)が必要になります。

① 死亡証明書(Death Certificate)
② 被相続人の戸籍(Residency Registry)
③ 遺産分割協議書(Agreement on Division of Estate)
④ 弁護士の翻訳証明書
⑤ 弁護士の法律意見書
⑥ 相続人のパスポートの写し
⑦ 弁護士への委任状の写し

これらの書類については公証人の認証を得て、アポスティーユをつける必要があります。また、日本語の書類については弁護士の翻訳証明書を添付し、翻訳証明自体に公証人の認証を要することになります。

アメリカの銀行からの要求文書
法律上の扱いは上記のとおりであり、多くの国の弁護士が、任意の預金の払い出しを求めてアメリカの金融機関に連絡を取っています。私どもの事務所でも上記の方法で日本人の銀行預金について払い戻しを受けられたことがあります。しかしながら、特に最近ではマネーロンダリングの監視などが厳しくなっており、金融機関も外国人の権限確認をより厳格に行うようになってきています。また、アメリカの法律により、連邦遺産税の支払いが未了なままに金融機関などが外国人からの払い戻し請求に応じた場合、その金融機関自体がIRS(内国歳入庁)に対して遺産税の額の支払義務を負うという制度があるようです。そのため、シティバンクなど大手の金融機関を中心として、任意の払い戻しに応じる金融機関が少なくなり、払い戻しに応じるためには、裁判所が選任した財産管理人による指示書を要求することが多くなりました。アメリカの銀行からは例えば次のような書類が要求されます。

① 死亡証明書(アメリカ大使館・領事館における証明又はアポスティーユ付)
② Foreign Letter of Administration(外国の相続財産管理人の権限確認書)
③ 弁護士の意見書
④ 裁判所が指名した相続財産管理人の口座閉鎖申請書(公証人の認証付)
⑤ IRS(Internal Revenue Service)からの連邦税の証明書

銀行からの要求文書の取得の可能性
死亡証明書については、なんとかアポスティーユの取得までできると思いますが、②の相続財産管理人の権限確認書は取得が困難です。日本の法制度では、アメリカと異なり、相続財産管理人の選任が必ずしも必要とされていないためです。また、日本における相続財産管理人制度は、遺産相続に際して相続人がいなかったり、相続人による相続財産の管理が困難な場合に、相続財産を管理する人として裁判所が選任するものですが、遺産の分割を行うことを予定していませんので、アメリカにおける相続財産管理人(Administrator of Estate)とは制度を異にします。また、遺言執行者は相続財産の管理・分配を行いますので、アメリカの相続財産管理人に近い制度ですが、裁判所が選任するものではありませんので、アメリカの金融機関から求められる選任決定書を取得することができません。相続財産管理人の権限確認書が必要なのは、銀行預金の払い戻しを行っている人が本当に権限のある人かどうかを確認するためのものですので、遺産分割協議書と弁護士の意見書により代替可能ではないかとも考えられますが、通常このような書類で代替することは認められていないと思われます。いろいろな国の弁護士が預金の解約を求めてアメリカの金融機関と協議を繰り返しているようですが、結局認められることはほとんどないと思います。IRSの証明書についても難しい問題があります。銀行からは、US Estate Tax(連邦遺産税)の申告書の写しを求められます。これは、アメリカにおける相続財産を相続する際に課せられる連邦税です。遺言書による場合や、法定相続の場合の両方が含まれます。当該相続については、US Estate Taxが非課税である場合、税金が非課税であることを証明する税理士の意見書によって代替することができるのではないかとも思われますが、この点についてもアメリカの金融機関は認めることが少ないと思います。結局プロベイトや財産管理の手続きを取らざるを得ないと思われます。

プロベイト、財産管理人選任の申し立て
アメリカの金融機関による任意の預金払戻が困難な場合、アメリカの財産(金融機関)の所在地の遺言検認裁判所(Surrogate Court)に対してプロベイト手続または財産管理人選任の申し立てを行う必要があります。この申立書はPetition for Letter of Administration(相続財産管理命令申立書)と言われます。

財産管理人の選任
Surrogate Court(遺言検認裁判所)に対して必要な情報の提供が完了したら、Surrogate Court(遺言検認裁判所)はAdministrator(財産管理人)の選任決定を行います。この選任決定書のことをLetter of administratorとか、Grant of administrationなどと呼びます。ニューヨーク州の弁護士が申立代理人となって財産管理人の選任申し立てを行う場合には、申立代理人であるニューヨーク州の弁護士がそのまま財産管理人に選任されることが通常です。また、海外の相続人が申立人である場合は、海外の相続人(申立人)と申立代理人弁護士の両名が財産管理人に選任されることもあります。

財産管理人による払い戻し請求
裁判所から選任された財産管理人は、被相続人が州内に有していた財産についての管理権限を有しますので、預金については金融機関に対して払い戻しを請求します。金融機関は裁判所が選任した財産管理人からの請求ですので、通常その請求に応じて預金の払い戻しを行います。預金の払い戻しは、小切手による場合と銀行振り込みの場合の両方があります。小切手が発行されたらそのまま日本に送ってきてもらうこともありますが、一旦現金化をして、財産管理人の報酬等を控除した上で、その残高を送金してもらうことが多いかと思います。財産管理人は裁判所の管理のもとに、回収した現金から相続税を含むすべての債務の支払いを行い、残った金銭があればそれを相続人に送ってきます。

相続分割主義の適用
アメリカは相続分割主義をとりますので、不動産については所在地の法律が適用になり、動産については被相続人の本国法が適用になります。不動産の売却代金の相続については、ニューヨーク州の法律が適用になりますので、相続人の範囲や相続分については、ニューヨーク州の法律に基づいて判断されます。銀行預金を含むその他の財産については、被相続人の本国法が適用になりますので、相続人の範囲や相続分については、被相続人の本国の法律(日本人の場合は日本の法律)によって決まることになります。このように相続分割主義をとる国に相続財産がある場合、理論上は、日本の法定相続とは異なる割合での相続がなされる可能性があります。但し、アメリカの場合も相続人による処分を認めていますので、日本国内において遺産分割協議が行われている場合は、それにもとづく分配がなされるのが通常ではないかと思われます。私どもの取り扱った案件でも、相続人の一部が日本国内で行われた遺産分割協議によって相続放棄を行った場合、遺産分割協議書の翻訳や相続放棄書(英文)などをニューヨークの裁判所に提出して、遺産分割協議に従った分配を受けた例があります(但し、この事例は不動産の売却代金の分配とは異なる事例でした)。

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