代表弁護士ブログ

2020年5月 7日 木曜日

新型コロナウイルス対応~株主総会関係~

緊急事態宣言が5月末まで延長されることになりました。多くの企業では、3月末を決算期日とし、6月末に株主総会を開催することを予定しています。
これは、3月末が会計年度末であり、それから3か月以内に株主総会を開催しなければならないとされているからです。しかしながら、コロナによる緊急事態宣言が出されている状況で、人の集まる株主総会を開催していいのかどうか、仮に開催するとしてテレビ会議などを行う場合に法律上どのような問題が生じるのかなど疑問となる点は多くあります。当事務所では、いわゆるハイブリッド型株主総会の問題点、総会会場における3蜜を避ける方法、株主総会の開催期日を6月末以降に延長する方法などについて整理してみました。

当事務所では、コロナウィルスに関連する株主総会の開催方法等についての電話相談を受け付けていますので、ご不明な方はいつでも電話(03-5357-1750)でご相談ください。



新型コロナウイルス対応 ~株主総会関係~

株主総会の開催、運営等に関し、関係省庁から以下のものが公表されています。今回は、これらの資料を基礎に重要と思われるポイントに絞って、Q&Aの形式でまとめています。
 ・令和2年2月26日 経済産業省「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」
 ・令和2年2月28日 法務省「定時株主総会の開催について」(4月2日更新)
 ・令和2年4月2日  経済産業省・法務省「株主総会運営に係るQ&A」(4月14日更新)
 ・令和2年4月15日 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査及び株主総会の対応について」


Q1 株主総会を中止して開催しないとすることはできますか。

A  定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないとされています(会社法第296条第1項)。そのため、株主総会を中止して開催しないということはできません。
   なお、株主が少数であれば、書面決議により株主総会の開催を省略することはできますが、株主の人数が多い上場企業などでは、現実的に書面決議の利用は難しいと考えられます。

Q2 3月決算のため、毎年6月に株主総会を開催していますが、新型コロナウイルスの流行が落ち着くまで株主総会の開催時期を遅らせることはできますか。

A  新型コロナウイルスの流行が落ち着くまで株主総会の開催時期を遅らせることは可能であると考えられます。
   定時株主総会の開催時期に関する定款の定めがある場合でも、通常、天災その他の事由によりその時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じたときまで、その時期に定時株主総会を開催することを要求する趣旨ではないと考えられます。
   また、会社法は、株式会社の定時株主総会は,毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないと規定していますが(会社法第296条第1項)、事業年度の終了後3か月以内に定時株主総会を開催することを求めているわけではありません。
   なお、定款で定時株主総会の議決権行使のための基準日が定められている場合において、当該基準日から3か月以内に定時株主総会を開催できない状況が生じたときは、会社は、新たに議決権行使のための基準日を定め、当該基準日の2週間前までに当該基準日及び基準日株主が行使することができる権利の内容を公告する必要があります(会社法第124条第3項本文)。

Q3 ハイブリッド参加型バーチャル株主総会とはどのような株主総会ですか。

A  ハイブリッド参加型バーチャル株主総会とは、リアル株主総会(取締役や株主等が一堂に会する物理的な場所において開催される株主総会)の開催に加え、リアル株主総会の開催場所に在所しない株主が、株主総会への法律上の「出席」を伴わずに、インターネット等の手段を用いて審議等を確認・傍聴することができる株主総会をいいます。
   遠隔地等、リアル株主総会の場に所在しない株主が会社から通知された固有のIDやパスワードによる株主確認を得て、特設されたWEBサイト等で配信される中継動画を傍聴するような形が想定されています。
   なお、インターネット等の手段を用いて参加する株主は、リアル株主総会に「出席」しているわけではないため、会社法上、株主総会において出席した株主により行うことが認められている質問(会社法第314条)や動議(会社法第304条等)を行うことはできません。

Q4 ハイブリッド出席型バーチャル株主総会とはどのような株主総会ですか。

A  ハイブリッド出席型バーチャル株主総会とは、リアル株主総会(取締役や株主等が一堂に会する物理的な場所において開催される株主総会)の開催に加え、リアル株主総会の場所に在所しない株主が、インターネット等の手段を用いて、株主総会に会社法上の「出席」をすることができる株主総会をいいます。
   遠隔地等、リアル株主総会の場に所在しない株主が、インターネット等の手段を用いて株主総会に出席し、リアル出席株主とともに審議に参加した上、株主総会における決議にも加わるような形態が想定されています。
   ハイブリッド参加型バーチャル株主総会とは異なり、リアル株主総会に「出席」していることになるため、会社法に基づく質問(会社法第314条)や動議(会社法第304条等)ができます。
   もっとも、会場と株主との間で情報伝達の双方向性と即時性が確保されていることが必要とされていますので、技術面、設備面での導入ハードルは高いと思われます。

Q5 株主総会を2段階で行うことも可能と聞きましたが、2段階の株主総会はどのように行うのですか。

A  新型コロナウイルスの影響により決算の取りまとめが遅れていることを受け、取締役の選任決議や配当決議などと決算承認などを分けて実施するものです。
   まず、当初予定していた時期に定時株主総会を開催し、続行(会社法第317条)の決議を行います。当初の株主総会においては、取締役の選任や配当金額を決定する決議を行い、計算書類、監査報告等については続行会において提供する旨の説明を行います。当初の株主総会の後、合理的な期間内に続行会を開催し、続行会において、計算書類の承認、監査報告等を行います。

Q6 新型コロナウイルスの感染防止のため、株主総会の来場者を可能な限り減らしたいと考えています。招集通知等で株主に対して来場を控えるよう呼びかけることは可能ですか。

A  可能とされています。経済産業省・法務省が4月2日付で公表(4月14日更新)した「株主総会運営に係るQ&A」(以下、「本Q&A」といいます。」)の回答では、「会場を設定しつつ、感染拡大防止策の一環として、株主に来場を控えるよう呼びかけることは、株主の健康に配慮した措置」とされています。また、その際には、「併せて書面や電磁的方法による事前の議決権行使の方法を案内することが望ましい」とされています。

Q7 いわゆる「3密」状態を避けるため、株主総会の会場に入場できる株主の人数を制限することは可能でしょうか。

A  可能とされています。本Q&Aの回答では、「新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、やむを得ないと判断される場合には、合理的な範囲内において、自社会議室を活用するなど、例年より会場の規模を縮小することや、会場に入場できる株主の人数を制限することも、可能」としています。
   そのため、各社の事情に応じて、合理的な範囲で入場できる株主の人数を制限することができると考えられます。

Q8 株主へ株主総会への来場を控えるように呼びかけると、株主が誰も出席しないという事態も考えられます。出席株主がいなくても、問題ないのでしょうか。

A  問題ないとされています。本Q&Aの回答では、株主総会への来場を控えるよう呼びかけるなどの措置の結果として、「設定した会場に株主が出席していなくても、株主総会を開催することは可能」としています。
   ただし、株主総会決議の成立に必要な定足数は満たす必要がありますので、書面や電磁的方法により事前に議決権を行使してもらう必要があります。

Q9 株主総会の会場準備の問題もあるので、株主総会への出席について事前登録制を採用し、事前登録者を優先的に入場させることは可能ですか。

A  可能とされています。本Q&Aの回答では「会場の規模の縮小や、入場できる株主の人数の制限に当たり、株主総会に出席を希望する者に事前登録を依頼し、事前登録をした株主を優先的に入場させる等の措置をとることも、可能」としてます。
   なお、事前登録制の採用にあたり、「全ての株主に平等に登録の機会を提供するとともに、登録方法について十分に周知し、株主総会に出席する機会を株主から不公正に奪うものとならないよう配慮すべき」ともされていますので、事前登録制の運用については注意が必要となります。もっとも、株主の株主総会への出席の機会を保証するために、事前登録した株主のみ入場を認めるという運用はリスクがあると考えられます。

Q10 明らかに発熱や咳などの症状があると認められる株主に対し、入場を断ることや会場からの退場を命じることは可能ですか。

A  可能とされています。本Q&Aの回答では、「新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、ウイルスの罹患が疑われる株主の入場を制限することや退場を命じることも、可能」としています。
   新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、発熱などの症状がある方は入場をお断りしている旨、丁寧に説明して、自主的にお帰り頂くようにすることが必要と考えられます。
   
Q11
 いわゆる「3密」状態を避けるため、例年よりも株主総会の時間を短縮することは可能ですか。

A  可能とされています。本Q&Aの回答では、「新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、やむを得ないと判断される場合には、株主総会の運営等に際し合理的な措置を講じることも、可能」としています。
   具体的には、株主が会場に滞在する時間を短縮するため、例年に比べて議事の時間を短くすることや、株主総会後の交流会等を中止すること等が挙げられています。


投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office | 記事URL

2020年5月 7日 木曜日

新型コロナウイルス対応~人事労務分野~

緊急事態宣言が5月末まで延長されることになりました。多くの企業では3月途中から在宅勤務や休業措置をとっていますが、このまま緊急事態宣言が何か月も継続し、仕事を行うことができない状態が続いてしまうと、いかに政府からの緊急融資制度が利用できたとしても、そう遠くない段階で事業資金が底をつく可能性が高くなってきます。国の側からは雇用維持のために、雇用調整助成金の活用が言われていますが、申請手続き自体が非常に難解で難しい上に、助成金の金額自体に一人一日当たり8500円の上限があるため、仮に雇用調整助成金が満額出たとしても、支給額との差額は事業主が負担しなければならないことになります。また、仮に8500円の上限額(月額17万8500円)の引き上げがあったとしても、通常の社員の給与を賄うのには到底不足すると言わざるを得ません。
個人事業主としては、売り上げが全く期待できない状況の中でどのような形で事業の継続を行っていくのか(従業員の解雇を含めどこまで経費の削減に取り組むのか)、あるいは事業の清算をし、再起にかけるかを検討せざるを得ない状況に陥る可能性もあります。多くの事業主にとって雇用の問題は賃料の支払いと同様に事業運営にとって極めて重大な問題となってきています。

当事務所では、コロナウィルスによる緊急事態宣言の下で、従業員の解雇は認められるのかどうか、雇用関係への対応をどのように考えるべきかを、法律の観点からまとめてみました。実際の問題では、それぞれの事情に応じてより突っ込んだ対応を取らざるを得ないこともあると思われます。当事務所では、コロナウィルスに関連する労務問題についての電話相談を受け付けていますので、ご不明な方はいつでも電話(03-5357-1750)でご相談ください。


新型コロナウイルス対応~人事労務分野~

Q1 従業員が新型コロナウイルスに感染しました。従業員を休業させた場合、その期間の休業手当を支払う必要はありますか。

A 原則として、休業手当の支払いは不要と考えられます。
  労働基準法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由」による休業の場合には、使用者は休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。もっとも、不可抗力の場合には休業手当の支払義務はありません。
  ここでいう不可抗力とは、①その原因が事業の外部より発生した事故であること、②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であること、の2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。
  新型コロナウイルスに感染した場合、感染症法に基づき、都道府県知事が該当する労働者に対して就業制限や入院の勧告等を行うことができます。
  そのような都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的に「使用者の責に帰すべき事 由による休業」には該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。

Q2 従業員から発熱などの症状があると報告を受けました。新型コロナウイルスに感染しているかは分かりませんが、他の従業員への感染を恐れ、念のために休んでもらうことにしました。その場合、従業員に対して休業手当を支払う必要はありますか。

A  業務可能な状態の従業員に対して、発熱などの症状があることのみをもって、使用者の自主判断で休業させる場合には、基本的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当すると考えられますので、休業手当を支払う必要があると考えられます。
   もっとも、医師から休業が必要との診断が出ている場合や帰国者・接触者相談センターへの問い合わせが呼びかけられている状態の症状であれば、もはや「業務可能な状態」とはいえないため、使用者の自主判断による休業には該当しないと考えられます。
   その場合には、休業手当を支払う必要はありません。

Q3 従業員が発熱などの症状があるとして、自主的に休んでいます。この従業員に対して休業手当の支払う必要はありますか。

A  従業員が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱って構いません。そのため、休業手当を支払う必要はありません。

Q4 新型コロナウイルス対策として、政府や自治体の要請に基づいて事業所を閉鎖しました。閉鎖した事業所の従業員に対して休業手当を支払う必要はありますか。

A  政府等の要請に基づく事業所の閉鎖は、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しないと考えられるため、原則として、休業手当を支払う必要はありません。もっとも、テレワーク(在宅勤務)などの方法により従業員を業務に従事させることができるにもかかわらず、休業させる場合には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当すると考えられ、休業手当を支払う必要があると考えられます。

Q5 テレワーク(在宅勤務を含む)を導入することにしましたが、テレワーク中も労働時間を管理する必要はあるのでしょうか。また、労働時間の管理が必要な場合にはどのように管理すればよいでしょうか。

A  使用者には、労働時間を適正に把握する義務があり(労働基準法第108条及び労働基準法施行規則第54条)、この義務はテレワークであっても変わりません。
   確かに、自宅等でのテレワークの場合、労働時間の把握は難しくはなりますが、メール等での報告によって始業・終業時刻を管理する方法やパソコンの使用時間の記録を照合するなどの方法により労働時間の管理することができます。
なお、所定労働時間又は業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす「事業場外みなし労働時間制」(労働基準法38条の2)を採用する場合には、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難であることが必要です。通信手段の発達により従業員に対して容易に業務の指示等を行うことができますので、事業場外みなし労働時間制の適用が認められる場合は限られていると考えられます。

Q6 テレワークの費用は会社が負担するのでしょうか。

A  テレワークに関わる費用負担区分については、テレワークを導入する前に、通信費・水道光熱費などの負担について明確なルールをつくることが望ましいです。
   労働基準法第89条第1項第5号では、「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項を就業規則に定めなければならない。」と規定されていますので、必要に応じて就業規則の変更をしなければなりません。

Q7 新型コロナウイルスの影響で事業の売上が激減しました。今後の見通しは明るくないため、この機会に従業員を解雇したいのですが、解雇できますか。

A  使用者側の理由に基づいて従業員を解雇する場合には、①人員削減の必要性、②解雇回避努力を尽くしたこと、③被解雇者選定の客観性・合理性、④解雇に至る手続きの妥当性の4つ点を総合的に考慮して判断されると解されています。
   そのため、単に、今後の見通しが明るくないという理由のみでは従業員を解雇することはできませんので、解雇については慎重に検討する必要があります。
   なお、雇用調整助成金の特例措置を受け、雇用の維持を図ることも検討すべきと考えます。

Q8 雇用調整助成金の特例措置について、簡単に教えてください。

A  雇用調整助成金とは、景気変動などによって、会社の業績に悪影響があった場合に、会社側が行った雇用調整(休業・教育訓練・出向などの措置)に対して助成金を支給することにより、従業員の雇止めや解雇を防ぐための制度です。
   今回の特例措置は、新型コロナウイルスの影響により、業績が悪化したなどの理由によって従業員を休業させた場合に、支払った休業手当の一部を助成するものです。平時の雇用調整助成金よりも支給要件が緩和され、また、助成率も高くなっています。
   例えば、中小企業において従業員の解雇を行わない場合、助成率は10分の9となります(ただし、従業員1名1日あたり8,330円が上限となります)。

Q9 新型コロナウイルスの影響で、経営が悪化しています。当社は従業員に対して毎年6月と12月に賞与を支給していますが、賞与を減額または不支給とすることはできますか。

A  賞与は、毎月の給与のように、必ず支給しなければならないものではなく、支給要件、算定方法等は、使用者と労働者との間で自由に決めることができるのが原則です。
   そのため、賞与の支給要件、算定方法等が就業規則や労働協約等に特に定められていない場合には、経営の悪化を理由に賞与を減額または不支給とすることはできます。
   もっとも、就業規則や労働協約等で賞与の支給が確定しているような場合には、一方的に賞与を減額または不支給とすることはできません。
   例えば、就業規則で「賞与は、会社の業績、個人の勤務成績、勤怠等を総合的に勘案し、各人ごとに決定する。会社の業績の低下等やむを得ない場合には支給しないこともある。」などと規定している場合には、会社の経営が悪化した場合には、賞与を減額または不支給とすることができると考えられます。他方、就業規則で「賞与は、毎年6月と12月に、基本給の2ヶ月分ずつを支払う。」などと規定している場合には、賞与の支給が確定しているといえ、一方的に賞与の減額または不支給とすることはできません。

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office | 記事URL

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