代表弁護士ブログ

2020年7月17日 金曜日

国際相続における準拠法

国際相続における問題点
国際相続とは、相続人または被相続人が外国籍の場合や、相続財産が外国に存在する場合のように国境を越えて生じる相続をいいます。被相続人が日本人である場合であっても、例えば、その者が日本に在住している場合もあれば、相続財産のある外国に在住している場合、遺産のある国とは別の外国に在住している場合もあり得ます。さらに、相続財産が外国及び日本にある場合と、外国のみにある場合も考えられます。このような国際相続においては、①適用法の問題(相続人が誰かという問題や、相続財産の範囲についての問題)、②財産を実際に取得するための手続きに関する問題(例えば、預金であれば、金融機関から実際に払い戻しを受けるための手続)、③相続税の問題(どの国に対していつまでにいくらの相続に関わる税金を支払う必要がかるのかということ)が関わってくるため、国際相続の手続きは複雑なものになります。

法適用の問題(準拠法)
相続における準拠法がどの国の法律になるかということが問題となります。日本における国際相続については、法の適用に関する通則法(通則法)第36条において、「相続は、被相続人の本国法による。」と規定しています。よって、国際相続においては、被相続人が国籍を有する国の法律が適用されることになります。例えば、被相続人が日本国籍を有する者であれば、たとえその者が海外に在住している場合や相続人が外国籍を有している場合であっても、その者を被相続人とする相続については日本法が適用され、相続人の範囲や相続財産の範囲についての問題は日本法によって定まることになります。反対に、被相続人が外国籍を有している場合には、被相続人の本国法によることになりますので、日本法は適用されないことになります。

包括承継主義と管理清算主義
相続財産について、外国の現地法が適用になる場合には、プロベイトと呼ばれる手続きの対象となる可能性もあります。日本は包括承継主義を採用しており、被相続人の資産・負債が包括的に相続人に相続されるため、遺産管理人の関与が必要ではないことから、相続人は、直接金融機関などと相続財産である預金の払い戻しのための交渉をすることができます。ドイツ、フランス、イタリア、スイスなどの大陸法系諸国でも包括承継主義を採用しています。これに対して、アメリカやイギリスなどの英米法系の国では、遺産承継について管理清算主義をとっているため、遺言の有無に関わらず、相続財産は、日本などのように直接相続人に承継される(このような制度は包括承継主義と言われます。)のではなく、裁判所の監督下で行われる清算手続(この手続きがプロベイトと呼ばれます。)を経て、残った積極財産のみが相続人に分配されることになります。そのため、日本での遺産分割協議や、遺産分割調停・審判、遺言書の効力がそのままプロベイトで裁判所により承認されるとは必ずしも限りません。

相続統一主義と相続分割主義
日本や韓国、ドイツ、イタリア、スペイン、ポーランド、ハンガリー、ギリシャ、スウェーデンなどにおいては、相続財産が動産であるか不動産であるかに関わらず、上述のとおり、被相続人の本国法や住所地法が相続における準拠法とされます。相続に関する法律関係を被相続人の属人法(本国法や住所地法)によって一体的に処理するものを相続統一主義と言います。これに対して、アメリカなどの英米法圏においては、不動産相続と動産相続とを区別する相続分割主義が採用されています。フランス、ベルギー、ルクセンブルク、中国なども相続分割主義をとっています。相続分割主義の法制のもとにおいては、例えば、不動産については不動産の所在地の法律を適用し、動産や流動資産については、被相続人の住所地法を相続の準拠法とするなどとされており、財産の種類によって適用法が異なることになります。よって、仮に被相続人が日本国籍を有しており、相続の手続きにおいて日本法が適用される場合であるとしても、被相続人の不動産が相続分割主義を採用する外国に所在していれば、不動産の相続についてはその不動産所在地の外国法が適用されます。相続財産が動産や流動資産であっても、被相続人が海外に居住していた場合には、動産や流動資産の相続について、被相続人の住所地法である外国法が適用される可能性があります。

相続財産の管理に関する準拠法
日本のように相続に関する準拠法が包括承継主義をとる場合であっても、相続財産が海外にある場合には、その国の裁判所に対して財産の相続に関する申し立てを行う必要があります。この場合、相続財産の管理に関する準拠法は、動産であるか不動産であるかを問わず、遺産の所在する地の法律が適用になります。従って、アメリカやイギリスなど管理清算主義をとる国に相続財産がある場合、プロベイト手続きが必要かどうかや、プロベイト手続きの中でどのようにして財産の清算を行うのかについては、財産所在地の法律によって決定されることになります。一方、アメリカやイギリスにある相続財産を相続人に分配する過程における準拠法については、手続きが係属している裁判所の国際私法の適用によって決定されることになります。アメリカのように相続分割主義をとる国においては、不動産については、不動産が所在する地の法律を準拠法とし、動産や流動資産などのその他の財産については被相続人の本国法やドミサイルのある国の法律が適用になることになります。日本人がアメリカに不動産と動産を有している場合、不動産と動産の管理については、財産が所在する州の法律が適用になりますが、相続人への分配に際し、相続人が誰であるかという問題や各相続人の相続分の問題については、相続分割主義の適用により、不動産については財産が所在する州の法律が適用になり、動産については被相続人の本国法(日本の法律)が適用になることになります。また、財産が所在する地の国の国際私法でドミサイルのある地の法律が動産や流動資産についての準拠法となる場合は、被相続人が日本国籍を有する場合であっても、死亡時にその国に居住しドミサイルがその国にあると認められる場合は、ドミサイルがある国の法律が準拠法となります。

反致(通則法41条)
X国の国籍を有する人が亡くなり、その遺産相続がなされる場合、日本法によれば被相続人の本国法が準拠法となりますので、その相続についてはX国の法律が適用されることになります。この場合、X国の国際私法で不動産の相続については不動産の所在地の法律によると定められている場合、日本にある不動産については、X国の国際私法の適用により日本法が適用になることになります。このように、一旦外国の法律が適用になった後、その外国の法律によりまた日本の法律が適用になる場合のことを反致と言います。準拠法の決定においては反致が成立するかどうかも検討する必要があります。

国際私法の適用
結局遺産分割の手続がどこの国の裁判所に申し立てられるかにより、その手続き国の国際私法が適用になり、準拠法が決定されることになります。例えば、日本の裁判所に遺産分割の申立がなされた場合には、日本の国際私法に従って準拠法が決定されることになります。上記の通り、日本の国際私法では、被相続人の本国法が遺産相続についての準拠法とされますので、被相続人が日本人であれば日本法が適用されることになります。従って、相続人が誰かという問題や相続財産の範囲についての大部分の問題は日本法により決定されることになります。但し、海外に所在する財産の相続においては、海外の裁判所に相続手続きの申し立てをせざるを得ないことがあり、また、管理清算主義をとる国においては、裁判所の許可なしに相続財産を勝手に処分することはできないことになります。その場合、その外国に所在する財産に対してどの国の法律が適用になるかは、その外国の国際私法によって決定されることになります。

アメリカにおけるプロベイト手続きの概要
アメリカでのプロベイト手続きにおいては、裁判所から選任された人格代表者(personal representative: 遺言で指定された遺言執行者(executor)または裁判所が選任した遺産管理人(administrator))が、被相続人の財産を集めて財産目録を作成し、遺産の管理をし、被相続人の債権者に対して債務の弁済を行い、税金の申告をし、残余財産を権利者に分配します。権利者である相続人や受遺者の範囲については、裁判所で行われるプロベイト手続きにおいて、有効と判断された遺言及び州法に従って確定されることになります。相続財産である預金が存在する金融機関は、裁判所が発行した証明書(遺言執行者であれば letters testamentary、遺産管理人であれば letter of administration)を有する者に対して預金の払い戻しを行い、その後、裁判所で確定された権利者の範囲に従って分配されることになります。

香港におけるプロベイト手続の概要
香港においても、アメリカなどと同様に管理清算主義が採用されており、相続財産の分配においては裁判所による承認(遺産管理状の授与書:Grant of Letters of Administration)が必要となります。そして、プロベイトを経ないで相続財産が処分された場合には、プロベイト及び遺産管理法(Probate and Administration Ordinance)違反として処罰される可能性があります。なお、相続における適用法の選択(準拠法選択)においては、動産や流動資産と不動産とを区別せず、相続財産の所在地法が適用されることになります。香港におけるプロベイトの手続きについては、非争訟的プロベイト実務ガイド(Guide to Non-Contentious Probate Practice)が実務上の問題点について説明しています。

遺言の方式の準拠法
日本における相続では、国際相続の場合においてどの国の法律で遺言の有効性を判断するかということについて、遺言の方式の準拠法に関する法律が定めています。そして、法第2条は、遺言者が国籍を有していた国の法のみならず、行為地法、住所地法、不動産の所在地法などの方式に従った遺言であっても有効であるとしています。ただし、外国法に従った遺言が有効であるとしても、その遺言のみによって、法務局での被相続人の不動産登記の変更や銀行預金口座の解約が認めてもらえるとは限りません。この場合には、日本の弁護士によって作成された遺言の有効性に関する現地法に基づく意見書の提出が求められることが多くあります。また、外国法による遺言書が現地の公証を得たものではない場合には、家庭裁判所での検認手続きを得ることを求められることもあります。そのため、日本での遺言の執行を想定しているのであれば、日本の方式で遺言書を作成しておくことで遺言書の執行が容易になるということはあります。

遺言の方式の準拠法に関する法律
遺言の方式の準拠法に関する法律第2条では、「遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。」として、次の場合を挙げています。
① 行為地法
② 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法
③ 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法
④ 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法
⑤ 不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法

遺言書の海外での執行
上述のとおり、日本法のもとで有効に成立した遺言であっても、外国の裁判所がその遺言の有効性を認めない可能性もあります。そのため、特に、相続の準拠法が外国法となることが想定されるような場合には、財産の所在地ごとにその国の方式に従った遺言書を作成しておくことも検討すべきです。

日本人の財産が海外にある場合の手続上の問題
被相続人が日本人であっても、日本人の財産が海外にある場合には、日本にある日本人の財産を相続する場合とは異なる注意すべき点があります。例えば、相続財産が外国の銀行にある預金の場合には、その預金の払戻金を遺産分割の対象とすることになりますから、まずは預金の払い戻しを受けることが必要になります。払戻を受けるに当たり具体的にどのような相続を証明する書類が必要であるかについては、銀行支店所在地の法と実務によることになりますので、具体的な払い戻しの手続きを知るためには、その預金のある外国の法と銀行実務の調査が必要となります。

弁護士意見書が求められる場合
外国の現地の銀行から預金の払い戻しを受けようとした場合に、現地の金融機関から、相続人の範囲及びその根拠を求められることがあります。また、被相続人の遺言執行者が預金の支払いを求めた場合は、遺言執行者の選任の事実についての証明を求められることもあります。さらに遺言書が存在する場合には、遺言書の有効性について、日本法を根拠として証明することが必要となることもあります。これらの場合には、金融機関としては、日本の弁護士によって作成された意見書の提出を想定していることが多く、弁護士の意見書を提出することによって、払い戻しの手続きを進めることができます。

預金口座がアメリカの支店にある場合の払い戻し手続き
アメリカの預金の払い戻しを受ける場合には、死亡診断書、遺言書、遺産分割協議書、住民票、戸籍謄本などの原本及びその英訳が必要となります。さらに、それらの書類について、公証人の面前で書類の作成者が署名すること(公証)を金融機関から求められる場合が多くあります。公証は、日本では、公証人役場で受けることができますが、アメリカとは異なり、必ずしもすべての書類について容易に公証を受けることができるとは限りません。例えば、死亡診断書に公証を受けようとすれば、公証人の面前で、死亡診断書を作成した医師に署名をしてもらう必要がありますが、そのような対応をする医師を見つけることは容易ではありません。そのため、海外の金融機関から公証を受けることを求められた書類が、公証を得ることが困難なものであるような場合には、金融機関に対してその事情を説明し、代わりとなる証明書などを弁護士により作成することが必要となることもあります。

香港の預金解約の例
被相続人(日本人)は、会社からの派遣により香港の子会社に出向し、家族と一緒に香港で生活していましたが、突然の脳梗塞により倒れ、そのままお亡くなりになりました。家族は日本に帰国しましたが、香港に在住中に香港上海銀行の口座に預金を有しており、その解約が問題となりました。栗林総合法律事務所は、亡くなられた方の奥様からの依頼により香港の協力事務所を通じてプロベイトの申立を行い、香港の弁護士が財産管理人となって裁判所の管理下で銀行預金の解約を行い、無事に預金を日本に送金することが出来ました。亡くなられた方の奥様としては、ご主人が亡くなるという失意の中で、複雑な手続きを取ることが難しく、また預金の解約のためだけに現地に赴くことも難しかったことから、現地に出向くことなく預金の払い出しを受けることができ非常に感謝いただきました。

ニューヨークの裁判所でのプロベイト手続
日本人のご主人がニューヨークの銀行に預金を残したまま亡くなられるケースがありました。日本の財産は法定相続人間の遺産分割協議により分割が完了しましたが、アメリカの銀行から預金残高明細証が送られてきて、アメリカの銀行にも預金があることが分かりました。相続人からアメリカの銀行に対して預金の払い戻し請求を行おうとしましたが、たらいまわしにされて、確たる返事をもらえないまま時間が経過することになりました。その後、日本の相続人から当事務所に問い合わせがなされ、銀行預金の払い戻し手続きを依頼されることになりました。当事務所でも最初は銀行との連絡を取ろうとしたのですが、結局ニューヨーク州の弁護士などとも協議をしたうえで、銀行からの任意の払い戻しを受けることは難しいことが分かり、ニューヨーク州でのプロベイトの手続を取ることで預金の払い戻しを行うことにしました。このケースでも、ニューヨーク州の弁護士にプロベイト選任申立手続きを行ってもらい、裁判所の管理下で預金の払い戻しを受け、無事預金の解約を行うことができました。

栗林総合法律事務所のサービス
栗林総合法律事務所では、海外預金の解約に関するご相談を多く受けております。アメリカ、イギリス、香港、シンガポール、オーストラリア等の国においては、日本の相続法とは異なる遺産相続手続きがなされることになりますので、現地の法律に従った相続手続きを取ることが必要になります。また、海外に相続財産が有る場合には、その土地の相続税が課せられることがありますので、日本における相続税の申告とは別に現地における相続税の申告手続きをとることも必要になります。栗林総合法律事務所では、プロベイト手続や相続税に詳しい現地の法律事務所と連絡を取りながら、適切な法律手続きを確定し、預金の払い戻しや相続税の申告手続きをサポートいたします。もし、海外預金の解約や相続についてのご相談がございましたら、当事務所までご連絡ください。

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2020年7月16日 木曜日

香港のプロベイト手続

香港におけるプロベイト手続きの概要
香港では、日本の場合と異なり、相続人だけで自由に遺産の分割を行うことはできません。これは、香港に所在する財産について適用されますので、相続人や被相続人が日本人で、日本に居住している場合であっても、香港に相続財産が有る限り異なりません。従って、ご親族が日本、香港、その他の国でお亡くなりになり、その方の遺産相続をする過程で、お亡くなりになられた方が香港に銀行預金やその他の財産を有していたことが分かった場合には、プロベイト手続き(遺言執行者又は財産管理人の選任し、相続財産を管理・処分してもらう方法)を取ることが必要になります。

少額財産の除外
香港に所在する相続財産の額が5万香港ドル(約75万円)以下の場合には、プロベイトの手続きは要求されず、Confirmation Noticeと言われる書類により預金の払い戻しができます。Confirmation Noticeを取得するには、The Estate Beneficiaries Support Unit of the Home Affairs Departmentに対する申し立てを行う必要があります。

プロベイト手続きの概要
日本に住所を有する日本人が香港に財産(銀行預金等)を残して死亡した場合のプロベイト手続は、香港の法律である非争訟的プロベイト規則NCPR(Non Contentious Probate Rules (Cap.10A))において定められています。プロベイトの手続きは被相続人に遺言がある場合と遺言がない場合で異なります。被相続人に遺言がある場合は、Probate(遺言検認手続き)という手続きにより、申立人が裁判所に対して遺言執行者の選任申立てを行い、これに対して裁判所が遺言執行者(executor)を選任する決定を行います。遺言執行者を選任する決定をGrant of Probateと言います。被相続人に遺言がない場合は、財産管理手続きにより、申立人が裁判所に対して財産管理人を選任するよう申し立て、これに対して裁判所が財産管理人(administrator)を選任する決定を行います。財産管理人を選任する決定をGrant of Letters of administrationと言います。裁判所の決定であるGrant of ProbateとLetters of administrationの両方を合わせて、代理人選任決定(Grant of Representation)と呼ぶことがあります。この決定が出されることで、executor(遺言執行者)やadministrator(財産管理人)は相続財産の管理・処分についての正式の権限を有することになります。

プロベイト手続きの申立人
上記の通り、被相続人(亡くなられた方)の遺言により遺言執行者が定められている場合には、遺言執行者がプロベイトの申立を行います。被相続人の遺言書がなく、遺言執行者の定めがない場合には、法定相続人が申し立てを行うことになります。通常の場合、奥様やお子様が法定相続人として申立を行うことになります。実際には、香港の弁護士に委任状を出し、香港の弁護士が日本における遺言執行者や法定相続人の代理人として申立手続きを行ってくれることになります。

裁判所
プロベイト手続きを申し立てる裁判所は、香港の高等法院遺産承弁署(Probate Registry of the High Court)となります。香港の弁護士を代理人にしている場合は、申立人や相続人が自ら香港の裁判所に行く必要はありません。

Grant of Letter of Administration(遺産管理状の発行)
香港では、被相続人の財産については裁判所の承認(Grant of ProbateまたはLetters of Administration)がなければ処分することができません。これに違反すれば、プロベイト及び遺産管理条例第10章(Probate and Administration Ordinance (Cap10))第13条及び第60条J条に違反する犯罪となります。

申立書における注意事項
また、香港におけるプロベイトでは、下記の事項が重要となります。下記の全ての事項について、書式・形式を整えて証拠とともに提出し、確認してもらう必要があります。
① 被相続人が誰であるか
② 被相続人の住所
③ 遺言の有無
④ 遺言執行者/遺産管理人が誰であるか
⑤ 相続人が誰であるか
⑥ 被相続人の香港における財産が何であるか
⑦ 保証人による保証の要否、放棄の有無
⑧ 関係書類が適切に準備されているか(認証されているか)

簡易手続きの適用の有無
日本はプロベイト及び遺産管理条例第10章別表2(Probate and Administration Ordinance (Cap.10) Schedule 2)により指定されていないため、簡易な手続きは適用されません。

香港の財産が15万香港ドルを超える場合
被相続人の香港における財産が15万香港ドル以上の場合、略式の手続の対象ではなく、非争訟的プロベイト規則第29条(Rule 29 of NCPR)の対象になります。

申立ての添付書類
申立は全ての添付書類を揃えて行わなければなりません。添付書類として通常想定されるのは下記の書類ですが、場合によっては更に書類が必要となる可能性があります。日本の当局または機関が作成した書類はアポスティーユを取得する必要があります。個人・民間団体が作成した書類については、日本の公証役場で認証を受け、外務省で証明書を取得し、駐日中国大使館で認証を受ける必要があります。日本語で記載されているものは、翻訳者が宣誓の上、翻訳しなければなりません。
・死亡証明書(Death Certificate of the deceased)
・婚姻証明書(marriage certificate for spouse)
・出生証明書(birth certificate for parents/children)
・被相続人の本人確認書類(Copy of Identity Card/Passport of the deceased)
・申立人の本人確認書類(Copy of Identity Card/Passport of the applicant)
・遺言書(Original Will of the deceased)
・被相続人の最後の住所地及び職業に関する書類
・香港における銀行預金の情報(Bank Passbooks, Statement and Time Deposit Receipt)
・香港における不動産の調査記録
・銀行の貸金庫に関する情報(銀行の支店名、ロッカー番号など)

日本の弁護士による宣誓供述書(Affidavit)
日本の弁護士による法律についての宣誓供述書・宣誓書(Affidavit)が必要となります。

香港の弁護士への委任
被相続人の財産の遺産管理人が日本に居住する日本人である場合、香港の弁護士(solicitor)に対し、申し立てをすること及び遺産管理人の代理人となることを依頼することが考えられます。この場合は、遺産承弁署から保証人を求められません。

保証人による保証
外国人の遺産管理人が申し立てをする場合、遺産承弁署から、遺産管理人以外に2名の保証人を求められます。保証人は、それぞれが香港における被相続人の財産の合計又はそれ以上の資産を有していなければなりません。保証人は、裁判所が決定する保証人の責任に関する制限の範囲内において、遺産管理人がその義務に違反することにより、被相続人の財産の遺産管理の利害関係者が被る損害を賠償することを保証しなければなりません。

保証人の免除
2名の保証人を確保することは大変困難です。そこで、申請人が下記の二つの事項を示した場合、遺産承弁署に対する申立により、保証人による保証は免除されます。
①その財産について、現在のものであると潜在的であるとを問わず、知れたる債権者若しくは知れたる債務者がいないこと、又は、全ての債権者が保証の免除について同意しており、同意書を提出すること
②保証されるべき相続人がいないこと、又は当該相続人が保証の免除について同意していること(可能であれば同意書を提出しなければならない)

財産管理人への権限授与
香港高等法院遺産承弁署(Probate Registry of the High Court)は、申し立てを審理する手続き全体において、適宜問合せをする場合があり、申立人はこれに回答する必要があります。これらの問合せを経て、遺産承弁署が心象を得られた段階で、プロベイトの授与書(grant of probate)または財産管理人の選任決定(Letter of Administration)が発付されます。遺産管理人は、プロベイトの授与書または財産管理人の選任決定書に基づき、授与書に記載された被相続人の財産のみを処分します。授与書に記載のない被相続人の財産が発見された場合、遺産管理人は、遺産承弁署に対し、当該遺産を授与書に追加するよう申し立てることができます。

法律意見書
法律意見書には次の事項を記載する必要があります。
①当該事件にかかわる事実、及び適用される日本法を記載する(関連条文を引用する)
②日本法の下では、だれが優先的に財産の管理又は授与書の申立をする権利を有するのかを記載する
③日本の裁判所が検認した場合を除き、遺言の有効性について記載する。但し、被相続人が無遺言で死亡した場合は不要である。
④日本における財産を管理するために授与書が必要であるかどうか、仮に必要である場合、本件で授与書の申立がない理由を記載する。但し、日本法において、被相続人の財産を管理するために授与書を得る必要はない(民法896条)
⑤未成年者(相続人が8歳以下である場合)の利益及び生涯権(信託など)について記載する。弁護士は、結論及び結論に至るまでの過程について詳細かつ明確に記載しなければならない。

法律意見書を作成者の資格(非争訟的プロベイト規則第18条(Rule of Non Contentious Probate Rules))
法律意見書を作成する者は、弁護士として5年以上の実務経験を有している必要があり、法律意見書にはそれに関する証拠を添付する必要があります。

未成年者の利益保護
未成年者の利益が問題となる場合、遺産管理人が2名以上必要となります。この点については、日本では遺産管理人が2名必要とされることはありませんが、プロベイト及び遺産管理条例第10章第25条(Section 25 of Probate and Administration Ordinance (Cap10))に基づき香港では必要となります。

財産管理人の業務
裁判所から選任されたexecutor(遺言執行者)は遺言に従って財産を処分する全ての権限を有しています。同様に裁判所から選任されたadministrator(財産管理人)は、法律に従って財産を処分する全ての権限を有しています。遺言執行者や財産管理人は、香港国内の不動産を売却処分し、銀行預金の解約を行い、税金その他の債務の支払いを行い、残った財産を遺言書又は法律の定めに従って相続人に分配します。

香港の遺産税
香港の遺産税は廃止されましたので、2006年2月11日以降に死亡した人の相続財産に対しては、遺産税は課せられません。香港居住者も香港の非居住者も同じです。

香港における財産管理手続
香港と日本は、プロベイトについて異なる法概念と手続きを有しています。香港ではある人が亡くなった場合、プロベイトの申立をする権利を有する人は高等法院に対してプロベイト(遺言がある場合)または遺産管理状(遺言がない場合)の付与を申し立てなければなりません。これに対して日本では、プロベイトのような制度はありません(但し、日本における相続の場合であっても「検認」という制度が適用される可能性があります)。

香港のコモンローによる準拠法の決定方法
香港のコモンロー制度は、被相続人の住所(ドミサイル)に着目し、住所の存する国の法律が被相続人の財産の管理及び承継についての準拠法であり、かつ管轄権を有すると考えています。ドミサイル(domicile)とは居住の意思をもって定住している場所をいいます。香港国籍の人でも日本に居住する意思で日本に居住している場合は日本にドミサイルがあることになります。また、香港に居住している日本人は、日本国籍であっても香港にドミサイルがあるとされ、香港法が適用になる可能性があります。

香港法による相続分割主義
また、香港では相続分割主義をとっていますので、不動産(土地、建物、アパート、マンション)については、財産の所在地の法律が適用になります。例えば、日本人が香港に不動産を所有していた場合、香港の相続法が適用になります。反対に香港人が日本で不動産を所有していた場合、日本の相続法が適用になります。これに対し、動産や流動資産(現金、株式、個人的所有物)については、個人が死亡したときに有していたドミサイル(domicile)(居住の意思を持って住んでいる場所)の相続法が適用になります。日本に居住していた日本人が被相続人の場合、ドミサイルは日本にありますので、日本の相続法が適用になります。その結果、日本に居住する日本人が香港にマンションと銀行預金を残して死亡した場合、マンションについては、相続人の範囲や相続分については香港の法律が適用になるのに対し、銀行預金については、相続人の範囲や相続分については日本法が適用になることになります。

日本の国際私法
日本の法の適用に関する通則法36条では、「相続は被相続人の本国法による」とされています。日本では相続統一主義をとっていますので、日本の国際私法が適用される場合は、世界のどこにある財産についても被相続人の本国法が適用になることになります。従って、日本の国際私法によれば、被相続人が香港人の場合、財産がどこの国にあっても相続については香港の法律が適用になることになります。反対に被相続人が日本人の場合、財産がどこの国にあっても相続については日本の法律が適用になることになります。

香港に財産を有する日本人(日本在住)が死亡した場合
日本に居住する日本人が日本と香港に財産を残して死亡した場合、日本の通則法によれば被相続人の本国法である日本の法律が全ての相続について適用されることになります。しかし香港に所在する財産の管理については、香港の裁判所への申し立てを行うことになり、その場合、準拠法の決定は香港の裁判所が香港の国際私法に基づいて判断することになります。香港の国際私法では、香港に所在する不動産については香港の法律が準拠法となるのに対し、動産や流動資産については被相続人のドミサイルがある地の法律が適用になります。その結果、日本に所在する動産と不動産については、日本の家庭裁判所が判断することになりますので、日本の国際私法が適用になり、日本法が準拠法となります。香港に所在する動産と不動産については、香港の裁判所にプロベイトの申し立てを行うことになりますので、香港の国際私法が適用になります。その結果、相続分割主義により、香港に所在する不動産については財産の所在地である香港法が準拠法となり、香港に所在する動産や流動資産については、被相続人のドミサイルが日本にありますので、日本法が準拠法となります。なお、香港所在の動産や流動資産について日本法が準拠法となり、日本法に従って相続人や相続分が決定される場合であっても、財産の管理については香港の手続きによることになりますので、香港所在の動産や流動資産について香港のプロベイト手続きを行うことは問題ありません。

香港に財産を有する日本人(香港在住)が死亡した場合
香港に居住する日本人が日本と香港に財産を残して死亡した場合、日本に所在する財産については、当該手続きが日本と香港のいずれに申し立てられているかにより適用する国際私法が決定されることになります。日本の裁判所に提起されている場合、日本の通則法により準拠法が決定されますので、被相続人の本国法である日本の法律が全ての相続について適用されることになります。しかし香港に所在する財産の管理については、香港の裁判所への申し立てを行うことになり、その場合、準拠法の決定は香港の裁判所が香港の国際私法に基づいて判断することになります。香港の国際私法では、香港に所在する不動産については香港の法律が準拠法となるのに対し、動産や流動資産については被相続人のドミサイルがある地の法律が適用になります。この事例では、被相続人は香港にドミサイルを有していると考えられますので、香港法が準拠法となることになります。

プロベイト又は財産管理人の申し立てに要する弁護士報酬
プロベイトや財産管理手続きにおける香港の弁護士の報酬については、香港に存在する財産が銀行預金のみか、不動産その他の財産も含まれるかによって異なってきます。銀行預金のみの場合でも、複数の銀行に預金があるのか、口座の数は1つか2つ以上かなどによっても異なってきます。未成年者の保護手続きなどを要しない簡易な手続きの場合で、香港の弁護士の報酬の一般的な金額は、40万円から60万円程度になります。また、日本人が香港での財産管理手続きを行う場合は、関係書類を日本において収集し、日本で英語訳をつけて香港に送る必要がありますので、日本の弁護士の報酬も別途要することになります。日本の弁護士の報酬(着手金)の一般的な金額は香港の相続財産の価額によって異なりますが、当事務所の場合で通常60万円から120万円となっています。

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2020年7月16日 木曜日

アメリカ銀行預金の払い戻し

アメリカの銀行からの通知
ご家族の誰かが亡くなられた後に、アメリカの銀行から預金明細書が送られてきて、故人が海外に財産を有していたことを知ることがあります。海外の銀行から預金明細書が届けられたら、最初に各口座の預金残高にいくらあるかを確認してください。国際相続の場合多額の費用を要することになりますので、相続人としては預金の残高に応じてどのような手続きをとるかを判断することになります。

預金の種類
日本人がアメリカの銀行に預けている預金の代表的な口座の種類としては、チェッキングアカウント(Checking Account)とセービングアカウント(Saving Account)があります。チェッキングアカウントは、給与の振込口座や、家賃や公共料金を小切手で支払う場合の引き落とし口座となりますので、日本の当座預金と普通預金を合わせたような使い方がされます。セービングアカウントは、チェッキングアカウントよりも高い金利のつく口座で、当面の資金的移動がないような場合には、セービングアカウントに預金を持っておくことも考えられます。その他の口座としては、CDと呼ばれるサーティフィケート・オブ・デポジット(Certificate of Deposit)やMMAと呼ばれるマネー・マーケット・アカウント(Money Market Account)があります。

預金解約申請
相続財産の管理については、動産であるか不動産であるかに拘わらず、遺産管理地法が適用になります。アメリカでは、各州の法律により、相続財産の金額が一定以上となった場合には、プロベイト手続きや財産管理手続きと呼ぶ裁判所主導の相続財産管理手続を取ることが求められることが多くあります。一定の金額がいくらであるかについては州ごとに異なりますが、5万ドル、15万ドル、30万ドルの場合などがあります。一方で、預金の額が各州の法律で定められた金額以下の場合には、プロベイトや財産管理の手続きをとることなく、直接預金の解約ができるとされています。この場合、死亡診断書により口座の所有者が亡くなったこと、遺言書、戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書などにより申請者が正当な相続人であり、払い戻しを受ける権限を有していることなどを証明して預金の払い戻しを受けることになります。プロベイトや財産管理の手続きを経ることなく預金の払い戻しができるかどうかは、どこの州の金融機関に預金しているのか、その州の法律上いくら以上の預金についてプロベイト手続きや財産管理手続きが要求されるのかを確認することになります。

預金払い戻しにおいて最低限必要な書類
プロベイトや財産管理の手続きを経ることなく預金の払い戻しを受ける場合は、次のような書類(日本語と英語)が必要になります。

① 死亡証明書(Death Certificate)
② 被相続人の戸籍(Residency Registry)
③ 遺産分割協議書(Agreement on Division of Estate)
④ 弁護士の翻訳証明書
⑤ 弁護士の法律意見書
⑥ 相続人のパスポートの写し
⑦ 弁護士への委任状の写し

これらの書類については公証人の認証を得て、アポスティーユをつける必要があります。また、日本語の書類については弁護士の翻訳証明書を添付し、翻訳証明自体に公証人の認証を要することになります。

アメリカの銀行からの要求文書
法律上の扱いは上記のとおりであり、多くの国の弁護士が、任意の預金の払い出しを求めてアメリカの金融機関に連絡を取っています。私どもの事務所でも上記の方法で日本人の銀行預金について払い戻しを受けられたことがあります。しかしながら、特に最近ではマネーロンダリングの監視などが厳しくなっており、金融機関も外国人の権限確認をより厳格に行うようになってきています。また、アメリカの法律により、連邦遺産税の支払いが未了なままに金融機関などが外国人からの払い戻し請求に応じた場合、その金融機関自体がIRS(内国歳入庁)に対して遺産税の額の支払義務を負うという制度があるようです。そのため、シティバンクなど大手の金融機関を中心として、任意の払い戻しに応じる金融機関が少なくなり、払い戻しに応じるためには、裁判所が選任した財産管理人による指示書を要求することが多くなりました。アメリカの銀行からは例えば次のような書類が要求されます。

① 死亡証明書(アメリカ大使館・領事館における証明又はアポスティーユ付)
② Foreign Letter of Administration(外国の相続財産管理人の権限確認書)
③ 弁護士の意見書
④ 裁判所が指名した相続財産管理人の口座閉鎖申請書(公証人の認証付)
⑤ IRS(Internal Revenue Service)からの連邦税の証明書

銀行からの要求文書の取得の可能性
死亡証明書については、なんとかアポスティーユの取得までできると思いますが、②の相続財産管理人の権限確認書は取得が困難です。日本の法制度では、アメリカと異なり、相続財産管理人の選任が必ずしも必要とされていないためです。また、日本における相続財産管理人制度は、遺産相続に際して相続人がいなかったり、相続人による相続財産の管理が困難な場合に、相続財産を管理する人として裁判所が選任するものですが、遺産の分割を行うことを予定していませんので、アメリカにおける相続財産管理人(Administrator of Estate)とは制度を異にします。また、遺言執行者は相続財産の管理・分配を行いますので、アメリカの相続財産管理人に近い制度ですが、裁判所が選任するものではありませんので、アメリカの金融機関から求められる選任決定書を取得することができません。相続財産管理人の権限確認書が必要なのは、銀行預金の払い戻しを行っている人が本当に権限のある人かどうかを確認するためのものですので、遺産分割協議書と弁護士の意見書により代替可能ではないかとも考えられますが、通常このような書類で代替することは認められていないと思われます。いろいろな国の弁護士が預金の解約を求めてアメリカの金融機関と協議を繰り返しているようですが、結局認められることはほとんどないと思います。IRSの証明書についても難しい問題があります。銀行からは、US Estate Tax(連邦遺産税)の申告書の写しを求められます。これは、アメリカにおける相続財産を相続する際に課せられる連邦税です。遺言書による場合や、法定相続の場合の両方が含まれます。当該相続については、US Estate Taxが非課税である場合、税金が非課税であることを証明する税理士の意見書によって代替することができるのではないかとも思われますが、この点についてもアメリカの金融機関は認めることが少ないと思います。結局プロベイトや財産管理の手続きを取らざるを得ないと思われます。

プロベイト、財産管理人選任の申し立て
アメリカの金融機関による任意の預金払戻が困難な場合、アメリカの財産(金融機関)の所在地の遺言検認裁判所(Surrogate Court)に対してプロベイト手続または財産管理人選任の申し立てを行う必要があります。この申立書はPetition for Letter of Administration(相続財産管理命令申立書)と言われます。

財産管理人の選任
Surrogate Court(遺言検認裁判所)に対して必要な情報の提供が完了したら、Surrogate Court(遺言検認裁判所)はAdministrator(財産管理人)の選任決定を行います。この選任決定書のことをLetter of administratorとか、Grant of administrationなどと呼びます。ニューヨーク州の弁護士が申立代理人となって財産管理人の選任申し立てを行う場合には、申立代理人であるニューヨーク州の弁護士がそのまま財産管理人に選任されることが通常です。また、海外の相続人が申立人である場合は、海外の相続人(申立人)と申立代理人弁護士の両名が財産管理人に選任されることもあります。

財産管理人による払い戻し請求
裁判所から選任された財産管理人は、被相続人が州内に有していた財産についての管理権限を有しますので、預金については金融機関に対して払い戻しを請求します。金融機関は裁判所が選任した財産管理人からの請求ですので、通常その請求に応じて預金の払い戻しを行います。預金の払い戻しは、小切手による場合と銀行振り込みの場合の両方があります。小切手が発行されたらそのまま日本に送ってきてもらうこともありますが、一旦現金化をして、財産管理人の報酬等を控除した上で、その残高を送金してもらうことが多いかと思います。財産管理人は裁判所の管理のもとに、回収した現金から相続税を含むすべての債務の支払いを行い、残った金銭があればそれを相続人に送ってきます。

相続分割主義の適用
アメリカは相続分割主義をとりますので、不動産については所在地の法律が適用になり、動産については被相続人の本国法が適用になります。不動産の売却代金の相続については、ニューヨーク州の法律が適用になりますので、相続人の範囲や相続分については、ニューヨーク州の法律に基づいて判断されます。銀行預金を含むその他の財産については、被相続人の本国法が適用になりますので、相続人の範囲や相続分については、被相続人の本国の法律(日本人の場合は日本の法律)によって決まることになります。このように相続分割主義をとる国に相続財産がある場合、理論上は、日本の法定相続とは異なる割合での相続がなされる可能性があります。但し、アメリカの場合も相続人による処分を認めていますので、日本国内において遺産分割協議が行われている場合は、それにもとづく分配がなされるのが通常ではないかと思われます。私どもの取り扱った案件でも、相続人の一部が日本国内で行われた遺産分割協議によって相続放棄を行った場合、遺産分割協議書の翻訳や相続放棄書(英文)などをニューヨークの裁判所に提出して、遺産分割協議に従った分配を受けた例があります(但し、この事例は不動産の売却代金の分配とは異なる事例でした)。

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2020年7月16日 木曜日

国際相続に関する当事務所のサービス

国際相続案件の取り扱い実績
日本人の活動範囲が拡大するにつれて国際的性質を有する相続案件が著しく増えています。栗林総合法律事務所は、被相続人(亡くなられた方)が外国籍の場合の相続案件や、相続財産が外国に所在する場合の相続案件等について豊富な実績を有しています。国際相続に関するご相談については、栗林総合法律事務所までお問い合わせください。

国際相続についての豊富な経験
栗林総合法律事務所では、30年近くにおける弁護士業務の中で、多くの国際相続案件を扱ってきました。国際相続は、それぞれの国の法制度に基づき、異なった手続きを要するハンドメイドの性質を持ちます。各国の法制度に基づく遺産相続手続きを代理・代行して行います。

ニューヨーク州弁護士資格を有する弁護士が対応
海外の遺産の処分や遺産分割手続きについては、外国法(特に英語)での対応が必要になります。栗林総合法律事務所では、ニューヨーク州の資格を有する弁護士や、国際関係について豊富な経験を有する弁護士が対応します。多くの事件については、現地の専門家などとの連絡を通じて手続きを行いますので、相続人の方が直接現地に出向く必要はほとんどありません。

海外の法律事務所とのネットワーク
栗林総合法律事務所は、ユーロリーガル(ヨーロッパの法律家団体)やIBA(International Bar Association、国際法律家協会)などの国際組織に加盟しています。また、中国、香港、東南アジアを拠点とするDezan Shira & Associates等海外の法律事務所との提携を行い、国際案件に対応できる体制を有しています。国際相続は、各地の法律に深く関係してきますので、案件ごとに現地の法律事務所や税理士法人との協力関係が求められます。栗林総合法律事務所では、現地の法律事務所との密接な連携を取りながら国際相続案件をサポートさせていただきます。

弁護士報酬について
国際相続については、海外での相続税申告サポート、プロベイト手続支援、相続に関する調査及び意見書の作成、日本での遺産分割協議・調停手続きなど案件ごとに当事務所の弁護士が関わる範囲も異なってきます。当事務所では、事前にご相談いただいた内容に応じて業務の内容と報酬についての見積額を提示させていただきます。見積金額にご了解いただける場合には、当法律事務所の標準フォームによる委任契約書を締結いただきます。下記は基準となる報酬金額の例です。

プロベイト手続支援(海外の弁護士報酬は別途となります)
財産の価額 着手金 報酬金
1000万円以下 60万円 経済的利益の16%
1000万円~3000万円以下 80万円 経済的利益の5%+9万円
3000万円~3億円以下 100万円 経済的利益の3%+69万円
3億円以上 120万円 経済的利益の2%+369万円


海外での相続税申告サポート(タイムチャージでの請求となります)
パートナー弁護士の時間単価 3万5000円から4万5000円
アソシエイト弁護士の時間単価 2万5000円から3万5000円


遺産分割協議・遺産分割調停手続
財産の価額 着手金 報酬金
1000万円以下 60万円 経済的利益の16%
1000万円~3000万円以下 5%+9万円 経済的利益の10%+18万円
3000万円~3億円以下 3%+69万円 経済的利益の6%+138万円
3億円以上 2%+369万円 経済的利益の4%+738万円


外国預金の解約・送金
財産の価額 着手金 報酬金
1000万円以下 50万円 経済的利益の3%
1000万円~3000万円以下 60万円 経済的利益の2.5%
3000万円~3億円以下 70万円 経済的利益の2%
3億円以上 80万円 経済的利益の1.5%


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2020年7月14日 火曜日

国際相続研究会のご案内

国際相続研究会のご案内

通信手段や移動手段の発達により海外に資産を有する日本人の割合が著しく増大してきました。ところが、海外資産の相続については、法律の適用や税務の扱いについて複雑な問題が生じてきます。当事務所では、国際相続の手続きを円滑に図ることができるよう国際相続に関する知識の集積と情報交換をはかることを目的に国際相続研究会を開催することとしました。

国際相続研究会の活動内容
・研究会の定期開催
・定期的刊行物の発刊
・研修会、講演会、ワークショップ、シンポジウムの開催
・他団体との連携、協力
・各国の現地調査

国際相続研究会への申込方法
Eメール:info@kslaw.jp
電話:03-5357-1750

国際相続研究会規約はこちらをクリックしてください。

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