事務所ブログ

2018年11月 9日 金曜日

販売店契約の解除の制限について

販売店契約の解除の制限について(契約期間満了に伴う更新拒絶及び約定解約権に基づく契約解消の場面において)

1 継続的契約の解消の制限
契約当事者が販売店契約等の継続的な取引関係にある場合において、約定解約権又は更新拒絶ができることを定めていた場合においては、契約当事者が定めたところに従い契約関係の解消をなしうるものであることを前提としつつも、信義則等を理由として、契約の解消が制限されうる場合がある。この点に関しては、いくつもの裁判例が、契約の解消に際して「やむを得ない事由」等を要求すること、又は信義誠実の原則等の一般条項を理由として、継続的契約の解消に対して制限を加えようとしている。以下、それらのうちの2つの裁判例について概観したい。
2 東京高判平成6年9月14日(判時1507号43頁)(やむを得ない事由を必要とするもの)
 「本件は、化粧品特約店契約に関する事案である。被告の特約店である原告が、特約店契約上の対面販売を行う義務に違反し、カタログ販売を始めた。被告の再三の是正勧告にも従わなかったため、被告は中途解約条項に従い特約店契約を解除し、出荷を停止した。そこで原告は商品引渡を受ける地位確認及び商品の引渡しを請求した」事案である(判タ1406号31頁)。
同判決は以下のとおり判示し、単に継続的契約であることのみを理由とするのではなく、個別事情を考慮したうえで、継続的供給契約上の信頼関係が著しく破壊されたことを理由として、本件契約の解約にはやむを得ない事由が認められるとしている。
「本件特約店契約はいわゆる継続的供給契約と解されるところ、このような契約についても約定によって解除権を留保できることはいうまでもない。しかし...本件特約店契約は、一年という期限の定めのある契約であるとはいえ、自動更新条項があり、通常、相当の期間に渡って存続することが予定されているうえ...(被控訴人との契約も二八年という長期間に達している。)、各小売店の側も、そのような長期間の継続的取引を前提に事業計画を立てていると考えられること、...商品の供給を受ける側において、ある程度の資本投下と、取引態勢の整備が必要とされるものであり、短期間での取引打ち切りや、恣意的な契約の解消は、小売店の側に予期せぬ多大な損害を及ぼすおそれがあること...などからすれば...約定解除権の行使が全く自由であるとは解しがたく、右解除権の行使には、取引関係を継続しがたいような不信行為の存在等やむを得ない事由が必要であると解するのが相当である。」「対面販売等の販売方法の不履行は、本件特約店契約上の債務不履行となる。」「その他、本件特約店契約の解除に至る経緯をみても、控訴人はまず、被控訴人の行っていた販売方法の改善勧告をし、その後、双方とも代理人である弁護士を通じて折衝を重ね、一旦は被控訴人も控訴人との本件特約店契約に沿う販売方法をとることを約束しながら、依然としてそれに反する販売方法を継続し、控訴人の再三にわたる右約束の実行の要求を拒否し、...従前の販売方法を変える意思を持たなかったものであることからすれば、控訴人の本件特約店契約に定められた販売方法の不履行は決して軽微なものとはいえず、継続的供給契約上の信頼関係を著しく破壊するものであり、本件では、右契約を解除するにつきやむを得ない事由があるというべきである。」
3 東京地判平成23年3月15日(平成21年(ワ)第6917号、平成21年(ワ)第39399号)判例秘書登載(信義誠実の原則等の一般条項を理由とするもの)
 本件は、被供給者の業績不振の場合には、供給者は本契約を終了することができるとの定めのある自動車特約販売契約の供給者が被供給者の業績不振を理由に新契約締結を拒絶した事件において、新契約締結拒絶の有効性が争われた事案である。
同判決は以下のとおり判示し、継続的契約関係であることや、販売店の契約への依存度が大きいこと等の事情から、何らの合理的理由なく新契約の締結を拒絶することは信義則に反するとしたうえで、本件における当事者間の個別事情に基づいて、新契約締結に応じなかったことには合理的理由があり、信義則には反しないとしている。
 「原告と被告は、毎年契約期間を1年間とする特約販売契約を締結して取引を続けてきたものであり、本件契約...は、本件契約が平成19年12月31日に終了し、自動延長するものではない旨を明記している。しかしながら、他方、一般に、自動車ディーラーは、初期に多額の投資をして何年もかけて投下資本を回収していくもので、営業実績を積み重ねて固定客を獲得する側面もあり、そのことは被告においても当然に理解して原告との契約を締結していたと推認される上、契約の一方当事者が当事者間の合意の下に取引の継続を前提とした投資を行っているような場合には、他方当事者は、契約期間の定めにかかわらず、取引の継続に向けて協力すべき信義則上の注意義務を一定の限度で負うと解されることからすれば、何らの合理的理由もないのに被告が新たな契約の締結を拒絶して原告との特約販売契約関係を終了させることは信義則に反して許されないというべきである。」「原告の協定台数達成率の全国平均との差は、平成16年が約48%、平成17年が約30%、平成18年が約42%、平成19年が約40%であったというのであるから、原告の営業実績は看過し難いほどに不良であったといわざるを得ない。」
他方で、「①本件ショールームの設計プラン及び場所は原告側で選択・決定したものであり、その転用は可能であって、現実にも既に中古車センターとして転用されていること」、「②...原告は、被告との取引の外、I車の正規ディーラー店及び××車の協力店を務め、それぞれ専用ショールームを有し、各ブランド車のほか、○×車や△△○車の販売、中古車販売や車検業務等を手掛けており、平成16年から平成18年までの原告の新車・中古車・整備・手数料・保険の売上合計のうち」被告の扱う「△△車関係の割合は20%前後にすぎなかったこと」、「③△△車の日本国内における市場シェアは高いものではないこと」、「④原告は、実際の契約関係の終了の数年前から再三にわたり書面等により業績不振と契約終了の可能性について警告されていたし、口頭による正式の申入れからでも終了までには半年程度の期間があったこと、「⑤被告においては平成20年もサービス・部品取引の契約の継続を申し入れており、原告の意向にかかわらずすべての取引を直ちに打ち切るというものではなかったこと」「等の事実を合わせて総合考慮すれば、本件において被告が平成20年以降の新契約の締結に応じなかったことには合理的な理由があり、これが信義則上許されないものとはいえないというべきである。」
4 裁判例上考慮されている個別事情
 継続的契約の解消に関して上記のものを含めて裁判例上現れた事案においては、その判断の要素として様々な要素が考慮されている。
具体的には、①自動更新条項の存在や、現実に自動更新が繰り返されていたなど、実際には契約が長期間継続することが期待されていたこと、②被解消者が当該取引のための設備投資や販売体制の整備などに多額の投資をしていたことや被解消者の相手方への経済的依存度などに基づいた契約関係の解消が被解消者に与える影響の度合い、③被解消者が固定客を獲得していたことなどの被解消者の取引への貢献、④被解消者の契約違反行為や背信行為、又は信用不安や財政状態の悪化、組織体制の変更などの事情の変更、⑤解約告知期間や損失補償の存在などの事情である。

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office | 記事URL

2018年11月 8日 木曜日

販売代理店契約(Distributorship Agreement)

販売店契約(Distributorship Agreement)

1 販売店契約は、メーカー等の供給者(supplier)と販売店(distributor)との間で、目的とする商品についての継続的売買契約を締結するものである。メーカー等は、販売店に商品を販売することによって利益を上げ、販売店は、売買契約に基づき購入した商品をさらに販売店の顧客に転売することによって利益を上げることになる。
販売店契約は、国内メーカーが生産する商品を海外に輸出する場合の方法の一つとして利用される。例えば、現地の企業等を販売店として指定するなどし、その販売ネットワークを利用して商品を海外で販売するのである。また、逆に、海外から商品を輸入し、日本国内で販売する場合には、海外メーカーと国内企業が販売店契約を締結することになる。
2 販売店契約も継続的な売買基本契約の一つの形態であるから、売買基本契約の条項と共通する部分が多くあるのであるが、販売店契約に特有な主要条項としては次のようなものがある。

(1)独占的または非独占的販売店(Exclusive Distributor; Non-exclusive Distributor)の指定条項(Appointment of Distributor)
まず、独占的な販売店か、非独占的な販売店かの区別を明確にすることが重要になる。独占的な販売店であれば、供給者は、他の者を販売店として指定することができないため、販売店は、その供給者の商品の販売について独占的な利益を受けることが可能になる。通常、独占的販売権を付与する場合には、販売することができる地域を限定することが多く行われる。ただし、地域的制限が再販売価格の維持等の効果を有するような場合には独占禁止法に抵触する可能性があることには注意が必要である。

Article __ Appointment of an Exclusive Distributor
1 Subject to the terms of this Agreement, SUPPLIER grants Distributor the Exclusive Distribution Rights for the Products in the Territory (including any improvements to said Products now or hereafter developed by SUPPLIER), and Distributor hereby accepts such appointment (the "APPOINTMENT").

第_条 独占的販売店の指定
本契約の条件に従って、サプライヤーは、ディストリビューターに対し、地域内の製品の独占的販売権を付与し(現時点で、または今後、サプライヤーが開発した製品の改良を含む)、ディストリビューターはこの指定(以下「指定」という。)を受諾します。

(2)競合品の取り扱い制限条項(Exclusiveness)
独占的販売店契約の場合には、供給者は、当該地域内で他の販売店を指定することができないことから、供給者の利益を確保するために、指定する販売店に対して競合品の取り扱いを制限する場合が多く見られる。この点についても、例えば、販売店が従来から販売していた商品の取り扱いを制限するような場合には、独占禁止法に違反する可能性がある。

Article __ Exclusiveness
1 Distributor shall not, during the term of this Agreement, manufacture or distribute any products which directly or indirectly compete with the Products.
2 Distributor shall refrain, outside the Territory and in relation to the Products, from seeking customers and from establishing any branch or other sales organization.
3 Supplier shall not, during the term of this Agreement, appoint any other distributor for the Products in the Territory and shall not supply, export or sell the Products to any person other than Distributor within the Territory.
(「英文ビジネス契約書大辞典」山本孝夫)

第_条 競合品の取り扱い制限
      1 ディストリビューターは、本契約の期間中、本製品と直接的または間接的に競合する製品を製造または供給しないものとする。
2 ディストリビューターは、地域外で本製品に関して、顧客を探すこと、及び支店その他の販売組織を設置することを慎むものとする。
3 サプライヤーは、本契約の期間中、地域内で本製品のために他の販売店を指定せず、また、地域内でディストリビューター以外の者に製品を供給、輸出または販売しないものとする。(「英文ビジネス契約書大辞典」山本孝夫)

(3)最低購入数量条項(Minimum Purchase Quantity)
上記②の競合品の取り扱い制限を設けるほかに、最低購入数量条項の定めを置き、別の観点から、独占的販売店契約の供給者の利益の確保を図る規定もみられる。ただ、本条項は、経済状況の変化などがあったような場合には、販売店にとってはとても厳しい規定となる。この規定に違反した場合の効果については、当事者間の交渉によって、単なる努力目標ではなく具体的に契約違反として定められることもある。

Article __ Minimum Purchase Quantity
1 For each one (1) year period commencing on the date hereof during this Agreement, Distributor shall purchase from Supplier not less than a minimum quantity of the Products as set forth below:
1) The annual minimum quantity for the first year:
_________________________________________________
2) The annual minimum quantity for the subsequent year:
_________________________________________________
(「英文ビジネス契約書大辞典」山本孝夫)

  第_条 最低購入数量
1 本契約日に始まる本契約期間中の各1年間に、ディストリビューターは下記の最低数量以上の本製品を購入するものとする。
1) 初年度の年間最低数量:________________
2) 2年度以降の年間最低数量:________________
(「英文ビジネス契約書大辞典」山本孝夫)

(4)個別の売買契約書(Individual Sales Contract)
販売店契約は、継続的売買契約の性質を有するので、個別契約の内容や成立に関する定めが必要となる。

Article __ ORDERS AND PRICES
1 Distributor may from time to time place orders with SUPPLIER. Any individual purchase order placed by Distributor shall not be binding upon SUPPLIER until accepted by SUPPLIER. Such acceptance shall constitute SUPPLIER's commitment to sell the Products on the terms set forth in the purchase order.
2 Upon shipment of the Products, SUPPLIER shall submit its invoice to Distributor who shall pay in US Doller the invoiced amount accrued during each calendar month to a bank account specified by SUPPLIER. Such payments shall be made within three (3) months and fifteen (15) days after the last day of the month of the bill of landing date.

  第_条 注文と価格
1 ディストリビューターは、随時、サプライヤーとの注文を行うことがあります。ディストリビューターが発注した個々の発注書は、サプライヤーが受諾するまでサプライヤーに拘束されません。かかる受諾は、注文書に記載された条件に基づいて製品を販売するサプライヤーの義務を構成します。
2 製品の出荷時に、サプライヤーはディストリビューターに請求書を提出しなければなりません。ディストリビューターは、米国ドルで各月に発生した請求額をサプライヤーに指定された銀行口座に支払うものとします。かかる支払いは、請求書の到着した日の属する月の最終日から3ヶ月と15日以内に行うものとする。

(5)秘密保持条項(Confidentiality)
販売店契約は継続的契約であり、当事者の高度の信頼関係に基づくことから、通常、お互いに守秘義務を負うことが規定される。

Article __ CONFIDENTIALITY
1 The Distributor and the SUPPLIER acknowledge a duty of care and confidentiality to each other.
2  Business information  All business information provided by either party to the other, including but not limited to present or prospective customers, management information reports, contracts, operational methods, plans or strategies, and other business affairs of either party, are and shall be treated as confidential both during and after the Term of this Agreement.

第_条 秘密保持
1 ディストリビューターとサプライヤーは、お互いの善管注意義務と秘密保持の義務を認めます。
2 ビジネス情報  現在または将来の顧客、管理情報レポート、契約、運用方法、計画または戦略、およびいずれかの当事者の他のビジネス業務を含むが、これらに限定されない、いずれかの当事者によって提供されるすべてのビジネス情報は、本契約の期間中およびその契約期間終了後において、秘密情報として扱われます。

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2018年10月 2日 火曜日

アメリカの財産分与(Property division)について

離婚によって夫婦関係が終了した場合にはその夫婦の間で財産を分与する手続きを行うことになります。その財産分与における基本的な考え方は、公平に財産を分配するということにあります。
この分配の手続きとしては大まかに2つの段階を経ることになります。
最初に、夫婦間の財産について、個別の財産が、その夫婦のどちらかの個別財産(Separate property)か、それとも夫婦の婚姻財産(Marital property)かを区別する必要があります。

個別財産
(1)婚姻前から所有していた財産
(2)婚姻後に取得した財産であっても、その夫婦の一方の名前だけで贈与を受けた、または相続した財産
(3)上記(1)及び(2)に属する財産の価値の上昇分については個別財産
その他の財産は婚姻財産となります。
ただし、夫婦の一方の個別財産だった財産を別の財産に変えたにすぎない場合には、その夫婦の一方の個別財産のままになります。例えば、個別財産であった絵画を売って、別の絵画をその夫婦の一方が自分の名義で購入した場合です。この場合とは異なり、個別財産を何らかの夫婦の共通の目的のために使用した場合には、その財産は夫婦の個別財産ではなく、共有の財産となります。例えば、個別財産であった絵画を売って、夫婦が共有している家のローンの支払いを行ったような場合です。

婚姻財産
個別財産以外の財産で、婚姻中に得て、残存している財産はすべて婚姻財産となります。夫婦のうちのどちらが稼いだお金をその財産を取得するために使用したかということや、その財産がどちらの名義となっているかということは考慮されません。婚姻中に得たすべての財産ですから、一方の収入や、宝くじのようなものによって得た財産であってもすべて婚姻財産となります。


夫婦のどちらかの個別財産か、それとも婚姻財産かについて決定した後に、次に、それらの財産を夫婦間で分配することになります。
まず、それぞれの夫婦の個別財産については、それぞれの夫婦が取得します。
次に、婚姻財産について、これをそれぞれの夫婦に対して、公平の観点から裁判所が分配(Distribution)することになります。その際に考慮される要素としては、主として、離婚後の収入に影響を及ぼす要素が考慮されることになります。この要素としては以下のようなものが考えられます。
夫婦の年齢や健康状態。年齢や健康状態によって、離婚後に十分な収入を得られないことが予想される場合には、その者に対してより多くの財産が分配されることになります。
教育レベル、経験などの収入に影響を及ぼす要素。
どちらが未成年の子供の看護を行うか。
婚姻期間。婚姻期間が長いならば、より平等に財産は分配されることになります。
夫婦の一方が婚姻財産を浪費したかどうか。
ただし、離婚の原因となった事情について、それが夫婦のどちらにあったかということは、一般的には夫婦間の財産の分配に際して考慮されません。

夫婦共有財産の分配割合について決定した後は、裁判所は、婚姻財産のうちの財産を個別に夫婦間でそれぞれ分配することもできますし、個別の財産の分配に代えて、金銭の支払いを命じることもできます。例えば、夫婦の一方が車を取得する代わりに、他方が1万ドルを支払うというような場合です。

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2018年7月20日 金曜日

Peace Field Japan の活動について

当事務所では、国際親善活動にも積極的に参加しています。今回は、NPO法人「Peace Field Japan(ピース・フィールド・ジャパン)」について、皆様にご紹介いたします。
NPO法人「Peace Field Japan(ピース・フィールド・ジャパン)」(以下、PFJ)は、日本の「里山」に代表される地域社会で受け継がれてきた「調和と共生」の概念をもとに、平和で持続可能な社会作りを目指し、日本及びイスラエル、パレスチナなど世界の紛争地域の青少年を対象に、将来を担う若い世代を育成することを目的とする団体です。(Peace Field JapanのHPより引用。)
PFJでは、毎年イスラエルとパレスチナの子供たち数名を日本に招待し、日本の女子大学生と一緒に1週間山梨県の小菅村で生活を行うという取り組み("絆"KIZUNAプロジェクト)を行っています。里山の自然に身を置いて生活したり伝統文化を体験する活動をしたりすることを通して、異なる文化や暮らしに触れ、環境問題の解決や持続可能な社会を作るためにどのようなことができるかを考えます。また、イスラエルやパレスチナといった普段あまり交流のない人々との共同生活をすることは、互いを尊重しあいながら生活を進めていく方策を会得するうえでも、大きな意味があります。2004年から2017年の間に、双方の国の学生たちが約170名以上参加し、交流を深めています。
"絆"KIZUNAプロジェクトの運営は、日本の大学生のボランティアが主体となり行われています。学生のボランティアスタッフは各大学へのポスターやSNS等を通じて募っています。PFJのボランティアスタッフは、小菅村源流祭りの手伝いをしたり、イスラエルとパレスチナを訪ねるスタディツアーに参加する者もいます。
イスラエルとパレスチナを取り巻く国際情勢は厳しさを増しており、日本に住んでいると遠い国の出来事のように思われるところもありますが、両国そして日本の学生たちが交流する機会を提供するPFJの活動は、若い学生たちが多様な文化や社会を理解し、政治問題や環境問題を解決していくためのアプローチを自ら考えるきっかけにもなり、非常に大きな意味があると考えています。
当事務所の代表の栗林弁護士も、PFJの賛助会員として変わらず支援に関わっています。

Peace Field Japanのホームページは次の通りです。
http://www.peace-field.org

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office | 記事URL

2018年4月20日 金曜日

ユーロリーガル年次総会参加

EU統合と法律業務
ユーロリーガルは、ヨーロッパ各国所在の法律事務所で作る任意の団体です。イギリスの法律事務所を除き、全て中規模から小規模の法律事務所がメンバーですが、民間の法律事務所の抱える問題について率直な意見交換を行い、業務の上でも相互に協力しあうことを目的としています。とりわけヨーロッパについては、EUの統合後、人と財貨の移動が自由になされるようになったため、国境を超えた法律問題が多くなっています。特に会社の法律問題を取り扱う企業法務の分野においては、一つの国の法律だけで解決できる問題ではなく、複数の国の法律について統合的にアドバイスを行う必要があるケースが増えています。イギリスなどの大手法律事務所は、EU統合を機会にヨーロッパ全土に支店を展開し、事業規模を拡大させてきました。一方で中小規模の法律事務所の場合、自前でヨーロッパ全土に支店を展開することは極めて困難といえます。ユーロリーガルのような弁護士の団体は、相互に仕事を融通しあい、協力して業務に取り組んでいきますので、夫々が小規模ながらも、大規模の法律事務所に匹敵するサービスを提供することができることになります。依頼者の立場からしても、大規模の法律事務所は報酬も高いし、親身になって相談してくれないのではないかという懸念事項がありますが、反対に中小規模の法律事務所であれば、リーズナブルな報酬体系の中で、代表者と直接話をすることができ、依頼者の立場に立ったきめ細かなアドバイスが期待できるというメリットもあります。ユーロリーガルは、実際には20年以上の歴史がありますので、必ずしもEU統合のみが組織化の理由ではないかもしれませんが、限られた数のメンバー相互間で、極めて親密な親交を行っている団体です。

ユーロリーガルでは年に1回の年次総会が行なわれます。本年度はスイスのチューリッヒで行われました。これまでも、開催地としては、バルセロナやアムステルダムなど歴史のある中世の都市が選ばれ、ゆったりとした気分の中で会議が行なわれていました。来年度はポーランドでの開催が予定されています。スイスのチューリッヒは日本から直行便があり、10時間程度でチューリッヒの国際空港に着くことができます。空港は比較的チューリッヒの中心に近く、電車で30分程度でチューリッヒのセンター駅まで到着することができました。ユーロリーガルの会議には、全部で20名程度の弁護士が参加していましたが、スイス、イタリア、スペイン、イギリス、フランス、ドイツ、オランダ、ポーランド等、ヨーロッパの各地の弁護士が参加しており、自由闊達な議論はすごく参考になりました。特に中心として活躍している50歳前後の弁護士であるカイ・サドバッチ弁護士(ドイツ人弁護士)、オリビア・マンデル弁護士(フランス人弁護士)はこれまでも数年にわたり栗林とも個人的付き合いがありますので、懐かしい友達にあった感じで、とてもリラックスして話ができました。また、先方も日本からわざわざ来てくれたということで、会議の冒頭で全員に栗林の紹介をいただき、また栗林の方から簡単なスピーチを行う時間まで取ってくれました。栗林は、自分の自己紹介もありますが、東京弁護士会の国際委員会担当でもありますので、ヨーロッパの地方都市の弁護士会と東京弁護士会の友好協定の可能性について話をしました。

年次総会では、翌年度の議長を決めるとともに、会計報告や、翌年度の会議の開催地、担当役員等に決定などを行いました。また、総会終了後には、丸1日間かけて、メンバーによる簡単な講演や外部講師によるシンポジウムなどが行なわれました。最初のテーマは、タクシーの配車会社であるウーバー等の広がりにより、そこで働く人は労働者なのか、独立事業者なのかが問題となっている現状と、それに対する裁判所の判断についての報告がありました。日本でも、労務問題が極めて重要となっていますが、ヨーロッパでもほとんど同じ議論が行なわれているようです。但し、日本のよりも当事者の選択の自由に重きを置き、当事者が独立事業者として契約している以上、かかる法律関係を前提とし、これをどこまで修正していけるかと言う形の議論になっています。日本の場合、裁判所が労働者か請負契約かということで、いくつかの基準を用いて判断してしまいますが、当事者間の契約書の意味などはヨーロッパに比べてウェイトが低いように思われます。

次のテーマは、フランスやドイツにおいて裁判所に提出する証拠についてフランス語やドイツ語への翻訳文が必要なくなったという制度の改正についての報告です。私の友人であるサドバッチ弁護士とマンデル弁護士から報告がありました。日本でもそうですが、裁判所に提出する資料については、基本的に全て裁判所の所在する国の言語に翻訳し、翻訳証明書を提出させるのが通常です。しかし、ヨーロッパの人の移動が一層激しくなり、ヨーロッパの社会の中で英語の締めるウェイトの大きくなっている状況下では、英語文書についてわざわざフランス語やドイツ語に翻訳する必要はないとの認識が大きくなり、それを裁判所も認めたということだと思います。現地で実務を行う弁護士にとっては極めて大きな制度改正であると思われます。

最後にヨーロッパの法律事務所に勤務する弁護士の世代間のギャップについての講演がありました。50歳代なかば以上のオールドジェネレーション、40歳代のベビーブーマー、30歳代のXジェネレーション、20歳代のYジェネレーション、10歳代のZジェネレーションなどを挙げて、各年代の相違や考え方を紹介し、法律事務所の人の採用やオペレーションの中で、これらの世代との関係をどのように構築していくべきかについての話です。法律事務所が発展していくためには、それぞれの個性を尊重し、みんなが一つの方向についてやる気を以って取り組んでいける体制を築くことが重要であること、そのために社内イベントなどを頻繁に行い、親密な人間関係を構築しておくべきことなどの話がありました。日本で言えば社員旅行や、懇親会などに相当するのではないかと思いますが、職場内部での様々な取り組みも重要になるかと思います。

1日目は、懇親会を兼ねた食事会があり、2日目もセミナーの終了後、スイスの高級なレストランに招待いただき、20名程度のメンバーとその家族を含めた夕食会が開催されました。仮に栗林が個人で旅行したとしても、本当にディープなヨーロッパンの内部を知ることはできないと思いますが、今回のような機会を通じて、大勢の弁護士と知り合うことができ、メンバーの一人として受け入れてもらえたことは本当にありがたいと思います。

投稿者 Kuribayashi Sogo Law Office | 記事URL

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