外国人労働者の雇用(技能実習)について

外国人労働者の雇用(技能実習)について

1 外国人労働者の推移

日本の労働者の著しい減少により、働き手不足は極めて深刻な状況となっています。また、現時点で労働者の確保がなされている企業であっても、労働者の高齢化により、今後退職者の補充をどうするか、若手社員不足による技術の承継をどうするかなど、人手不足に伴う労務問題は深刻さを増していると言えます。

政府は、高齢者の雇用、女性の雇用、IT化の促進による技術革新等で人手不足に対処することを考えています。しかしながら、各産業分野における人手不足の状況はこれらの対策だけで乗り越えられるものではなく、どうしても足りない人員については、外国人労働者の雇用を認めることで補填することを考えています。

日本で働く外国人労働者の推移については、厚生労働省から統計が出されています。厚生労働省の資料では2017年の時点で外国人労働者は127万8670人となっており、2019年度には150万人になっていると思われています。外国人労働者の数は毎年10万人以上増えており、増加傾向も一層拍車がかかっているように思われます。



















2019年4月1日に施行された出入国管理及び難民認定法(「入管法」)により、新しい在留資格である特定技能の制度が認められることになりました。現在の所、特定技能により入国が認められる外国人の数は34万5000人と言われていますので、現在の150万人にそのまま35万人の労働者が追加されることになりますので、それだけでも185万人の労働者になることになります。またこれまで通りの人数の増加も考えた場合、外国人労働者200万人時代もすぐ目の前にあると言えます。

厚生労働省の資料では、外国人労働者の分類がなされています。大きくは、①資格外活動、②技能実習、③専門的・技術的分野の在留資格、④身分に基づく在留資格に分けられます。これに今回の入管法改正により35万人の特定技能の在留資格が追加されることになったものです。

2 在留資格の分類

外国人が日本で働いたり、日本に住んだりするためには、在留資格を有している必要があります。在留資格は、入管法別表に記載がありますが、大枠は次の通りです。
(1) 入管法別表第一の一
 外交、公用、教授、芸術、宗教、報道の在留資格で、業務限定就労可能在留資格と言われています。在留資格において認められた業務についてのみ、収入を伴う活動を行うことができるとされています。

(2) 入管法別表第一の二
 入管法別表第一の二に規定される在留資格には、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能、技能実習があります。これらは、業務限定就労可能資格と言われ、指定された業務についてのみ就労することが可能となります。これらのうち最も多いのが、技術・人文知識・国際業務の在留資格(約25万人)、技能実習の在留資格(約26万人)特定技能の在留資格(今後約35万人を想定)等になります。

(3) 入管法別表第一の三
 文化活動、短期滞在の在留資格です。文化活動とは、日本文化の研究者などに与えられる在留資格であり、短期滞在は、観光客や会議参加者等短期間日本に滞在することを目的とする在留資格です。就労不能在留資格になりますので、これらのビザで入国した人は日本で収入を得る職務について働くことはできません。

(4) 入管法別表第一の四
 留学、研修、家族滞在の在留資格です。留学は、日本の大学や専門学校、日本語の語学学校の生徒などが対象となります。研修は研修目的で来日している外国人です。家族滞在は、家族の1人が家族を伴うことができる在留資格を有する場合に、その在留資格を有する人の家族として入国する外国人になります。留学、研修、家族滞在の在留資格は、本来就労不能在留資格であり、これらのビザを有する外国人は日本で報酬をもらえる仕事をすることは禁じられていますが、資格外活動許可を得た場合には、その許可の範囲内において報酬を得る活動に従事することができます。留学生をアルバイトとして使用する場合は、この資格外活動許可に基づき、就労することになります。

(5) 入管法別表第一の五
 特定活動の在留資格は、外交官等の家事使用人、ワーキングホリデー、報酬をもらえるインターン、クールジャパンによるすし職人、漫画家等が該当します。業務限定就労可能資格であり、指定された活動についてのみ就労が可能となります。日本の大学や専門学校を卒業して就職活動を行っている留学生も特定活動の在留資格を得ることで、合法的に就職活動を行えることになります。

(6) 入管法別表第二
 身分・地位に基づく在留資格で、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の4つがあります。地位・身分に基づく在留資格は、無制限就労可能資格であり、この在留資格を有する人は職種の制限なしに自由に働いて収入を得ることができます。働ける職務の制限や労働時間の制限はありませんので、日本人の労働者と全く同様に働いていただくことが可能となります。ハローワークに掲載したり、リクナビなど採用マッチングサイトにより採用するなど、採用活動も日本人の採用と異なりません。

3 技能実習生の在留資格

3-1 技能実習制度の趣旨

 技能実習については、入管法の特別法として、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(「技能実習法」)が制定されています。従って、技能実習制度については、技能実習法と技能実習規則に従って解釈されることになります。

 技能実習は、東南アジアの発展途上国の若手に対して、技能実習を施すことで技術の習得、習熟を図り、本国に帰国後その技術を用いて母国の経済発展に貢献してもらうことを目的とする制度で、国際交流や国際支援を目的とするものです。従って、日本の労働力不足を埋め合わせるための手段として用いられることがないよう、「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない。」(技能実習法3条2項)とされています。

3-2 技能実習制度の種類
 
 技能実習制度には、企業単独型技能実習と団体管理型技能実習がありますが、95%以上が団体管理型技能実習です。

 技能実習には、1号から3号までの制度があり、技能実習1号の在留期間は1年以内、技能実習2号の在留期間は2年以内、技能実習3号の在留期間は2年以内とされています。従って、技能実習1号のみの実習生は1年経過後に母国に帰らなければなりませんが、2号に移行できた場合には、1号の1年に加えて2号の2年間在留することが出来ますので、合計3年間日本に在留することができることになります。技能実習生はここで1か月以上一旦母国に帰国しなければなりませんが、優良な管理団体・実習実施者(外国人を使用する会社)については、3号技能実習生としてさらに2年間実習を行うことができます。従って、3号技能実習生については、合計5年間日本にいることができることになります。

3-3 技能実習の職種・作業内容
 

 技能実習1号は、在留期間が1年と制限されており、しかも日本に入国した最初の1か月は講習を受けなければならないとされていますので、日本で働けるのは実質上11か月に限定されることになります。但し、技能実習1号については、職種や作業内容についての制限はありません。従って、倉庫におけるピッキング作業、レストランにおける調理など幅広い職種で活躍することができます。但し、いわゆる単純作業は対象外とされていますので、ピッキング作業についても商品の管理システムを学べる機会があるなど、技能の習得になるようなものでなければならないと考えられます。単純な労働のみに使用した場合は、実習生からの不満が噴出する可能性がありますし、技能実習計画の認定の取消がなされたり、虚偽の申請であるとされることもありますので、注意が必要です。

 技能実習制度移行対象職種・作業である80職種144作業については、技能実習1号から2号に移行することが可能となっています。技能実習1号から技能実習2号に移行するに際しては職種や作業内容を変更することは認められません。従って、技能実習2号に移行するためには、最初から80職種144作業のどれかに従事しておく必要があることになります。

 また、技能実習1号から技能実習2号に移行する際には、基礎2級の技能検定か、これに準ずる検定・試験に合格することが必要とされています。また、在留資格は、技能実習1号から技能実習2号に移ることになりますので、出入国在留管理局に対して在留資格の変更又は取得の申請を行う必要があります。

 技能実習生は、認定された技能実習計画に基づいて実習を行うものですので、原則として転籍や転職を行うことは認められていません。但し、実習実施者の倒産等やむを得ない場合や、2号から3号への移行時については転職が可能とされています。

3-4 技能実習の要件
 
 技能実習を行おうとする技能実習実施者は、技能実習生ごとに技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構(OTIT)の認定を得なければなりません。技能実習計画の作成については、管理団体の協力を得ることができますし、管理団体については、JITCO(公益財団法人国際研修協力機構)からの情報提供を受けることが可能となります。

 技能実習においては、悪質なブローカーを排除するために、実習希望者の送出機関は、日本政府との取り決めのある国の政府から認定された機関に限るとされています。従って、現地における研修や、送出しの条件などについても、送出し国政府の監督下にあることになります。技能実習については、実習生から高額の研修費などを支払わせ、借金漬けにして日本に送り込み、実習生が逃げられないようにしていた事件があったことから、現在では、送出機関、管理団体、実習実施機関等は実習生本人やその家族から保証金を徴収することはしてはいけないとされています。同様に、労働契約の不履行に係る違約金を定める契約を締結してはならないとされています。日本人の雇用の場合には、従業員の両親などに身元保証人になるよう要求することが慣行としてありますが、技能実習の外国人については保証人の徴求はできないことに注意が必要です。

 日本政府は、上記の方針のもとに、実習生送出し国として、アジア15か国を指定しています。技能実習生送出し国は次の通りです。

   ① インド、②インドネシア、③ウズベキスタン、④カンボジア、⑤スリランカ
   ⑥タイ、⑦中国、⑧ネパール、⑨バングラディッシュ、⑩フィリピン、⑪ベトナム
   ⑫ペルー、⑬ミャンマー、⑭モンゴル、⑮ラオス

上記のうち、中国以外の国とは、送出し国政府との間に二国間取決めが締結済みとなっています。技能実習生として送り出されてくる人数としては当初は中国人が一番多かったのですが、中国の経済発展に従い、日本に来るインセンティブが薄れ、中国人の技能実習生は徐々に少なくなっています。反対にベトナムの中で日本の技能実習が認知されてきたことから、ベトナム人の技能実習生が増えています。一方で、現在は、中国や韓国も含めた先進国による人材の奪い合いの時代ともいえ、ベトナム人についても将来的には中国や韓国に行く人も増え、日本に来る技能実習生の増加が見込まれるかどうかはっきりしないところがあります。そこで、最近では、カンボジアやラオス、ミャンマーなどが注目されているようです。

3-5 団体管理型技能実習の仕組み

 団体管理型技能実習においては、管理団体の役割が極めて重要となります。実習実施者が外国人を技能実習生として採用しようとする場合は、協同組合等非営利の組織で、日本国政府から許可を受けた管理団体を通じて人の採用活動を行うことになります。管理団体は現地の取次送出機関と調整し、実習実施者(求人者)の希望に沿った人を紹介することになります。実習実施者は現地に赴き、面接を行うことができます。面接を通じて採用を決定した場合は、当該実習希望者(求職者)と実習実施者(求人者)との間で、雇用契約を締結します。

その後、実習実施者は、技能実習計画を作成し、外国人技能実習機構(OTIT)に認定をするよう申請します。また、実習実施者は、出入国在留管理局に対して在留資格認定証明書の交付申請を行い、取得した在留資格認定証明書を現地の実習生に送付します。現地の実習生は、現地の日本大使館又は日本領事館に在留資格認定証明書を持参し、VISA(査証)を発行してもらうことになります。

 なお、職業安定法では、有償又は無償での職業紹介業を行うに際しては許可を要するとされていますが(職業安定法30条、33条)、管理団体については、実習実施者のみに実習希望者のみを紹介する場合には、職業安定法上の許可を要せずに雇用契約のあっせんを行うことができるとされています(技能実習法27条1項)。すなわち管理団体は、技能実習の管理団体として許可を得た場合には、技能実習に関する範囲で、職業紹介業を実施することができることになります。

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