日本の裁判所に外国の当事者を訴えた事例

日本の裁判所に外国の当事者を訴えた事例

外国企業との紛争が生じ話し合いによる解決ができない場合には、訴訟、仲裁、ADRなどの紛争解決方法について検討する必要が生じてきます。当事者が外国にいることで通常の訴訟の場合と様々な違いが生じてきますので、当事務所で扱った事例をもとに解説します。

管轄

訴訟においては、被告の普通裁判籍は、被告の住所地(民事訴訟法3条の2)になりますので、外国の当事者の場合、その本国が管轄裁判所となることが原則です。この場合、日本の裁判所は管轄権を有しませんので、日本の裁判所に訴訟を提起しても却下されることになります。但し、応訴管轄の適用はありますので、外国の当事者が管轄の不存在を争わずに応訴してきたときは、日本の裁判所に管轄が生じることになります。従って、ダメもとでもとりあえず日本の裁判所に訴訟を提起してみようという判断はあり得ます。

応訴管轄(民事訴訟法3条の8)の他、当事者が合意した場合の合意管轄(民事訴訟法3条の7)、併合請求における管轄(民事訴訟法3条の6)、契約上の訴えによる義務履行地の管轄(民事訴訟法3条の3第1号)などにより管轄が認められることもあります。外国の当事者に対する管轄権については、民事訴訟法3条の2から3条の12までに定めがありますので、これらを確認する必要があります。

訴状及び証拠の翻訳

海外の被告に対する送達を行う場合には、訴状や証拠については、現地の言葉に翻訳しておくことが必要になります。また、証拠については、弁護士の翻訳証明書を付けます。訴状に関する基本的な用語としては次のようなものがあります。なお、当事者目録については、カタカナ表記を付す必要がありますので、当事者の名称、住所などをどのように表記するかを決める必要があります。

Complaint    訴状
Plaintiff     原告
Defendant    被告
Parties      当事者
Object of Claim  請求の趣旨
Cause of Claim  請求の原因
Evidence     証拠

送達

外国企業に対する送達は多くの場合領事館送達の方法が取られると思われます。訴訟の係属した裁判所から、現地の日本の領事館や大使館に対して送達を依頼(嘱託)します。嘱託は、「送達嘱託書」という書面を渡して依頼することになります。これを受けた大使館や領事館は、通訳人が翻訳した①第1回口頭弁論期日呼出状、②答弁書催告状、③送達場所の届出のお願い、とともに訴状及び証拠等が郵便などによって送付されることになります。送達の結果については、送達結果報告書により、外務省領事局を通じて最高裁判所事務総局に伝えられることになります。

送達がなされた場合は、外国企業の側で日本の管轄を争わない場合には、原告の請求の内容を認める欠席判決がなされることになります。一方、被告が送達された書面を受け取らなかったり、被告の所在場所が不明確で送達できなかった場合は、公示送達の方法により送達を行う必要があります。

執行

外国企業に対する判決を取得した場合、外国企業の財産が日本国内にあれば、その財産を差押えることになります。もし外国企業の財産が日本国内に存在しない場合には、外国企業の本国に、判決の承認決定の申立を行い、外国での承認決定を得た上で、現地にある財産の差押え、換価を行うことになります。

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