M&A・事業承継 事例

金融・ファイナンス

M&A・事業承継の事例集 

M&A

6)会社破産と並行して行われるM&Aの事例



会社の清算とM&A
リストラクチャリングがどうしても難しい場合には、会社の閉鎖や破産申立も検討の対象とせざるを得ないことがあります。上記の状況に陥っているほとんどの中小企業では金融機関や公的機関からの融資を受けていると思いますので、会社の閉鎖についても、会社の解散決議をしてそれで終わりというわけにはいきません。金融機関からの返済を行わないまま放置するというわけにはいきませんので、破産申し立てを検討せざるを得ないことになります。

破産申し立て前のM&A
破産申し立て前の段階で事業の譲渡がなされるケースもよくあります。例えば上記の会社において3億円の売り上げがあることは事実ですので、このような売り上げがみすみす消えてなくなること(あるいはどこかの競合会社が承継することになるとは思いますが)はもったいないことではあります。また、会社の破産により従業員の今後の生活をどうするかという問題も生じてきます。そこで、事業を承継してくれる第三者がいればその人に承継してもらい、一部であっても事業を継続できる形をとることも考えられます。

但し、破産申し立て直前における事業譲渡については、一般の債権者の利益を害する詐害行為であるとか、倒産手続きの中で、破産管財人から否認権の行使がなされ、そのような取引が無効と判断されることもあります。従って、破産申し立て前における事業譲渡については、弁護士とよく相談し、管財人から否認権の行使がなされないかどうかを確認しておく必要があります。もちろん、否認権を行使されるかどうかは、管財人の判断によるもので、画一的にこの場合は必ず否認されるなどの基準があるわけではありませんが、ある程度の経験を経た弁護士であれば、当該状況を総合的に判断し、否認の行使の可能性について的確なアドバイスがもらえることになります。

破産手続きの中でのM&A
また、生きた会社について破産の申し立てを行う場合には、破産管財人が裁判所から事業継続の許可を得て、破産管財手続きの中で、事業を譲渡するということもよくあります。もちろん破産申立によって財産価値は著しく劣化し、従業員も雇用契約が終了することで散り散りになるなど、事業の承継が難しくなる状況も考えられます。従って、破産開始決定後速やかな事業の承継ができるよう申立代理人と十分に相談を行っておくことが必要となります。破産手続きの中での事業譲渡が成功するかどうかは、破産申し立て前の段階で、スポンサー企業の目星をあらかた決めておくなど、事前の準備がどれだけしっかりしているかによることになります。

会社分割の手法による再生の可能性の検討
仮に上記の状況下で、取引の一部を削減し、事業規模の著しい縮小が図れるとしても、これまで借りていた金融債務をどのようにして返済していくかということが問題となります。例えば3億円の売り上げのあった状況下で、2億円の借入債務があった場合、3億円の売り上げ規模の会社からすれば2億円の金融債務があることもあり得る話ではありますが、もし売り上げ規模が1億5000万円まで縮小するとすると、2億円の借入債務は極めて大きな負担となってきます。

グッドカンパニーとバッドカンパニー(会社分割の手法を用いて)
金融債務の大きな会社の再生手法としてグッドカンパニーとバッドカンパニーに分けてグッドカンパニーは会社を存続させ、バッドカンパニーについては清算を行うという方法が取られることがあります。この方法は、金融機関の了解を得ながら進めることで、実務的には上記の会社よりも規模の大きな会社に用いられることが通常ですが、上記の会社においても利用の可能性がないわけではありません。

グッドカンパニー・バッドカンパニー方式は金融機関との直接の取引の形では難しいと思われますので、例えば金融機関が有する債権を不良債権としてサービサーなどの外部の会社に売却し、サービサーとの協議を経ながら手続きを進めることになります。A会社は会社分割の方法によりA’会社を設立し(A’会社の社名は、A社と同一でもかまいません)、A会社の資産と、負債の内将来返済可能な債務(例えば2億円の借入債務の内5000万円)をA’会社(新設会社またはA社が有している休眠会社)に承継させます。その後A社は清算を行うことになりますので、サービサーはA社に残った債務1億5000万円について貸し倒れとなります。しかしながら、残りの5000万円についてはA’会社に承継されますので、A’会社が事業を継続することで、A’会社から回収を受けることが可能となります。

グッドカンパニー、バッドカンパニー方式の再生は金融機関などの了解を得ながら進める手続きですので、会社分割自体が否認され、取り消されるなどの問題は通常生じません。金融債務の負担を合法的に軽減させるわけですので、実質上は一種の和解契約の方法に近いと思われます。もちろん経営者のモラルハザードの問題はありますので、この手法を濫用し、経営者が不当な利益を得ることは許されません。しかしながら、現在の経営環境の下で、ダメな会社はつぶしてしまえばいいと割り切ることが本当正しいのかも検討する必要があります。従前と違い金融機関も個々の借入先の状況について真摯に対応してくれる環境下にありますので、十分に検討に値する方策ではないかと思われます。

休眠会社になり会社を存続させる
休眠会社は、会社法では、会社法の手続を行わずに長年が経過している会社のことを言いますが、上記の状況でどうしても事業の継続が難しいと判断した場合に、従業員は全て解雇し、会社の活動を止めてしまうということも考えなければならないかもしれません。この場合でも取引先からの注文がある場合には在庫の処分や注文分だけ仕入れをして納品するとか、これまで販売して商品の保守点検だけして、手数料をもらうということも考えられます。月間の売上は50万円とか100万円とか限られたものですが、代表者の最低限の生活維持に必要な現金が入ってくる可能性はあります。また、ある程度の仕事の見込みがある場合は解雇した従業員と売り上げ歩合の形で外注契約をするということもあるかもしれません。元社員は固定の給与はなくなりますが、50万円の売り上げがあると一定の作業を行い、50万円の利上げの中から25万円を報酬としてもらえるなどの取決めを行う形になります。

会社が債務超過の段階で会社の在庫を処分することは破産法の観点からすれば否認の対象となるかもしれませんが、代表者の生活維持にやむを得ない場合にもあるかもしれません。破産になると代表者の収入は一切なくなりますので、5万円でも10万円でも収入があることは代表者を救うことにもなるかもしれません。また、このような状態で会社を続ける場合であっても、将来何らかの理由で第三者の支援が受けられ、会社が活動再開できる日が来るかもしれません。最後まであきらめないことが重要です。

経営者の皆さんと一緒に考えます
私達はこれまで多くの中小企業の再生やM&Aに取り組んできました。経営者の皆さんが厳しい経済環境の中で逡巡し、七転八倒をくり返しながら日々経営に努力している姿を拝見しております。どんなに小さな会社であっても、経営者の皆さんや従業員の皆さんの生活がかかっているわけですので、何とか少しでもいい方向に向かうことが出来るよう一緒に考え行動していきたいと思います。
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