貸金・売掛金回収訴訟

貸付金又は売掛金の回収は、当事務所の顧問先、その他の依頼者から頻繁に相談を受ける事項の1つです。当事務所では、貸金や売掛金などの金銭債権を、最も実効的な手段を選択して回収するよう努力しています。

業務

貸金返還請求訴訟、売掛金支払請求訴訟

取引先に貸し付けた金銭の返済がなされない場合や、販売先からの売掛金の支払がない場合には、取引先・販売先に対して貸金返還請求訴訟、売掛金支払請求訴訟を提起して回収を行います。取引先や販売先に連帯保証人がいる場合には、連帯保証人に対しても訴訟を提起します。債務者や連帯保証人の所在が不明な場合には、独自の調査方法により、所在場所の調査を行います。どうしても相手方の所在場所が知れない場合には、公示送達による送達手続をとり欠席判決によって債務名義を取得します。

詐害行為取消訴訟、否認訴訟

取引先が、支払不能状態にあるにもかかわらず、資産を第三者に譲渡したり、会社分割の方法によって事業その他の重要な財産を親族その他の関係会社などに譲渡することがあります。当事務所では、債務者が支払不能状態にあるにもかかわらず、債権者への支払を免れる目的で不当な資産の処分を行ったと認められる場合には、資産の譲受人を被告として詐害行為取消訴訟や、(破産事件では)否認訴訟を提起し、不当な資産の処分を取り消すよう求めます。

下請代金の支払請求訴訟

下請代金の支払がなされない場合、当事務所では、下請業者を代理して、下請代金支払請求訴訟を提起することがあります。元請業者が事実上倒産している場合に、債権者代位権を用いて発注者に代金の支払を求めたり、建築工事JV(ジョイントベンチャー)の一方当事者が民事再生その他の倒産手続を取った場合に、JV構成員の連帯責任を根拠として、他のJVの当事者に対して請負代金支払請求訴訟を提起することもあります。

債務者・連帯保証人の財産への仮差押え

財産調査の過程で、債務者や連帯保証人が資産を有していることが判明した場合には、財産の処分を禁じる目的で、債務者や連帯保証人が所有する不動産その他の資産に対して仮差押えを行うこともあります。仮差押えを行う場合には、保証金を供託する必要がありますが、自宅などに対する仮差押えは債務者に対する心理的インパクトが大きく、仮差押えの後、債務者から任意の支払を受けることができることも多くあります。

強制執行

公正証書、確定判決を有する場合には、強制執行により債権の回収を行います。強制執行は、債務者の財産の差押え申立て手続からスタートします。債務者が不動産を有する場合には不動産に対する差押えを行い、不動産を有しない場合には、銀行預金口座や証券会社の証券口座を差押えることになります。差押えの後、競売手続の申立てによって債務者の資産を売却処分したり、譲渡命令の申立てによって銀行預金の譲渡を受けて債権の取り立てを行います。

動産売買先取特権に基づく差押え

取引先が倒産した場合であっても、取引先の倉庫に自社の納品した商品が存在したり、自社の商品が第三者に売却され、取引先が当該第三者に対して売掛債権を有している場合には、民法の動産売買先取特権に基づき、倉庫の商品や売掛債権の差押さえを行います。その後、執行手続による譲渡命令などを取得することで、商品を回収したり、売掛金を回収することができます。

担保権実行による競売申立て

貸付金の担保として、不動産に対する抵当権や根抵当権を有している場合において、債務者から貸付金の任意の支払が受けられない場合には、担保権の実行として、当該不動産の競売申立て手続を行います。競売により不動産は強制的に売却され、売却代金が債権者に配当されることになります。

債権譲渡特例法による担保権の設定

取引先の資金繰りに不安がある場合において、取引先に売掛金以外のめぼしい財産が見られない場合に、取引先が有する現在または将来の売掛債権を譲渡担保として譲り受け、債権譲渡特例法の規定に基づき譲渡登記を行うことがあります。将来債権の範囲を限定する必要がありますが、万一取引先が破産や民事再生の手続を取った場合であっても、譲渡担保権の効力は有効ですので、取引先の有する売掛債権から回収を図ることができます。当事務所では、債権譲渡契約書の作成だけでなく、債権者を代理して、債権譲渡登記手続も行います。

内容証明郵便による支払請求

債務者が借入金や買掛金を支払わない場合に、弁護士の名前で内容証明郵便を発送し、支払の催告を行うことは債務者にとってもかなりのプレッシャーとなります。また、内容証明郵便により催告があったことが公に証明されますので、時効中断のためにも有効です。商事債権については5年の時効期間に服することになりますし、場合によってはより短期の消滅時効にかかることもあります。したがって、債権回収においては、常に時効期間について注意を払うことが必要になります。なお、正式に時効中断の効力を生じさせるためには、その後6ヶ月以内に訴訟提起などを行う必要があります。

相殺

取引先が買掛代金を支払わない場合、相殺は極めて重要な債権回収手段といえます。ところが、債務者が倒産状態に陥ったような場合に、経理部門などとの意思疎通が十分でないことから、売掛債権があるにもかかわらず支払のみを先にしてしまうことも多くみられます。債務者が倒産状態に陥ったような場合には、会社全体で情報を共有管理し、適切な債権管理がなされるよう注意する必要があります。

公正証書の作成、支払督促

取引の相手方が売掛代金や貸付金を支払わない場合、判決を取得して強制執行する必要がありますが、裁判手続には長い時間を必要としますし、費用もかかる可能性があります。より簡略な方法として、公正証書の作成や支払督促手続について検討する必要があります。当事務所は、多くの事例において債務者と交渉の上、公正証書の作成を行ったり、支払督促の申立てにより、債権の回収を図っています。

当事務所が扱った事例

  • 当事務所は、貸金、売掛金の支払を求める訴訟を多数扱っています。債権の金額が60万円以下の少額の債権の場合、少額訴訟という簡易・迅速な手続を取ります。また、債務者に争いがないときは支払督促の申立てを行うことも多くあります。
  • 債務者が主要な部分において同一名称の別会社を設立し、新会社に旧来の会社の資産と営業を全部移転した事例で、債権者を代理して詐害行為取消訴訟を提起し、新会社において債権全額を支払う内容の和解を成立させました。
  • 建設工事のJVの一方が民事再生手続の申立てをした事件で、下請業者を代理し、JVの他方当事者に対して、JVの構成員が連帯保証責任を負うことを根拠に、請負工事代金の支払請求訴訟を提起しました。裁判所で当方の主張が認められ、全額勝訴判決を取得しました。
  • 建物の建築の瑕疵について争いが生じた事例で、建築業者から建築代金の支払を求め建築工事紛争審査会への申立てがあった事件において、発注者を代理し、建築工事に瑕疵があったことを主張しました。建築工事紛争審査会では、当方の主張を全部認める判断がなされ、代金の支払を免れることができました。
  • 取引先の倒産に際して、動産売買先取特権により取引先が有する債権の差押さえを行い、差押え決定を得たうえで、売掛先から債権全額の回収を行いました。
  • 取引先の信用不安が生じたことから、取引の継続に際して、売掛債権の担保として取引先の有する債権の譲渡を受け、債権譲渡特例法に基づく登記を行いました。
  • 貸金の支払をしない債務者の自宅に対して仮差押えを行ったところ、債務者から任意に借入金の支払をしたい旨の申出を受け、債権全額の回収を図ることができました。

用語

(アルファベット・五十音順)

建築紛争審査会
建築紛争を、弁護士・建築士・その他の専門家で構成する審査会の判断により裁判外で解決する手続です。裁判と異なる紛争解決手続であることから、ADR(Alternative Dispute Resolution)とも言われます。建築工事請負契約約款には、施主と請負業者との間に紛争が生じた場合には、建築紛争審査会に申し立てて解決することが定められています。
公示送達
訴訟の提起等に際し被告の住所がわからない場合、訴状等の送達ができず、訴訟手続が進行しません。原告が必要な調査を行っても被告の現住所が判明しない場合には、裁判所に対して公示送達の申立てを行い、裁判所は裁判所の掲示板に送達を行うことを掲載します。一定期間経過後は訴状の送達がなされたものとして、被告が欠席したままでも判決の言渡しを受けることができます。
公正証書
公証役場において公証人が作成する書面です。たとえば、金銭消費貸借契約を公正証書により作成する場合、当事者、貸付の金額、日時、返済方法などが証書に記載され、公証人が当事者の意思を確認したうえで認証を行います。強制執行許諾文言が付された公正証書の場合は、確定判決と同一の効力を有しますので、債務の支払がないときは、この公正証書を根拠に強制執行の申立てを行うことができます。
債務名義
強制執行許諾文言付公正証書、和解調書、裁判所の確定判決などで、強制執行を行うために必要な文書です。たとえば、裁判が確定した場合、当該確定判決の正本を債務名義として、強制執行の申立てを行うことになります。
支払督促
債務の存在自体を債務者が争っていないような場合、正式な裁判手続ではなく、簡易迅速な手続で強制執行をできるようにする支払督促の申立てを利用する行うことが考えられます。支払督促が債務者に送達された後2週間経過すると、債権者の申立てに 基づき仮執行宣言が発布され、債権者は仮執行宣言に基づき仮に執行することができます。また、仮執行宣言の付された支払督促が債務者に送達された後2週間以内に債務者が異議を唱えなければ、支払督促は確定した判決と同様に扱われることになります。ただし、債務者が債務の存在を争った場合には、手続は正式裁判に移行します。
少額訴訟
60万円以下の金額の支払を求める場合には、簡易裁判所に対して少額訴訟の申立てを行うことができます。原則として1回の期日を経て判決の言渡しを受けることができますので、極めて簡易に判決を取得することができる手続です。
動産売買先取特権
商品を販売した者は、民法321条に基づき当然に(当事者間の合意なしに)当該商品上に担保権(当該商品から優先的に弁済を受ける権利)を取得することになります。取引先が既に第三者に販売している場合であっても、第三者に対する債権を差し押さえることで、優先的に支払を受けることができます。動産売買先取特権は、取引先の破産の場合でも有効に存続しますので、債権回収において非常に便利ですが、商品の特定を行い、差押えを行うことが必要になってきます。

費用

訴訟、その他の紛争解決については、訴訟の対象となっている請求の額(訴訟物の額)に応じて着手金、成功報酬をいただきます。下記は、一般的なケースにおける報酬基準ですので、案件の内容や複雑さ、予想される業務提供の期間などによって異なることがあります。いずれの場合であっても、原則として委任契約書を作成し、事前に報酬金額についての説明を行います。

訴訟の対象となる請求の額 着手金(消費税別途) 成功報酬(消費税別途)
300万円以下の場合 30万円 16%
300万円を超え、3000万円以下の場合 5%+9万円
*但し最低30万円
10%+18万円
3000万円を超え、3億円以下の場合 3%+69万円 6%+138万円
3億円を超える場合 2%+369万円 4%+738万円
  • 控訴審の手続や、強制執行手続を行う場合は、弁護士報酬が別途発生します。
  • 地方出張を伴う場合は、出張旅費及び出張日当を別途いただくことがあります。
  • 調停手続については、かねがね上記金額の3分の2に減額されます。
  • 事案の内容によっては上記と異なる計算式が適用になる場合があります。
(事例 1)

3000万円の支払を請求する訴訟を提起し、2000万円の支払を命じる判決を得た場合

  • 着手金:3000万円×5%+9万円=159万円(消費税別途)
  • 成功報酬:2000万円×10%+18万円=218万円(消費税別途)
(事例 2)

500万円の支払を請求する訴訟で被告を代理し、全部勝訴判決を得た場合

  • 着手金:500万円×5%+9万円=34万円(消費税別途)
  • 成功報酬:500万円×10%+18万円=68万円(消費税別途)

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