会社関係訴訟

業務

会社関係訴訟とは、一般的には、会社法において規定された訴訟(および非訟)のことをいいます。会社関係訴訟の多くは、閉鎖会社における会社の経営支配権をめぐる紛争であり、特に同族会社で先代のオーナー社長が亡くなった後の親族間の争いの一部として現れます。

経営支配権をめぐる紛争では、議決権割合が非常に重要になります。これまで当然に株主だと思っていたのが、突如として株主の地位自体が争われるということも多くあります。特に、株主名簿に記載されている株主が名義株主であった場合、そもそも株主名簿自体が存在しない場合、株券発行会社において株券が発行されないまま株式譲渡が行われていた場合などには、誰が株主であるかが株主権確認訴訟で激しく争われます。また、ケースによっては、過去に行われた新株発行の効力が新株発行無効・不存在確認訴訟で争われることや、これから行われる新株・新株予約権の発行について仮処分による差止めの申立てがなされたりすることもあります。

また、オーナー社長が経営する同族会社の場合には、役員の登記はされているが、実際には株主総会や取締役会が適法に開催されていないというケースも多く見られます。紛争を機に役員の選解任の決議の効力が争われることが少なくありません。

さらに、これらの訴訟にあわせて、従前は誰も特に問題としていなかった経営判断や金銭支出、取締役への金銭貸付等について株主代表訴訟が提起されることも珍しくありません。また、これらの訴訟の前段階として、株主から、会計帳簿や取締役会議事録の閲覧・謄写の請求がなされたりします。紛争の最中に株式譲渡承認請求がなされ、株式価格をいかに評価するかが問題になってくることもあります。また、紛争中に会社が行おうとしている行為につき、差止めを求める仮処分が提起されることもあります。

このように、経営支配権をめぐる紛争では、1つの紛争から多数の会社関係訴訟が同時並行的に生じるため、これに迅速かつ適切に対応するには、会社法および関連判例についての幅広く深い理解が求められます。それと同時に、かかる法律論を土台とした上で、紛争の根本的な解決策を練り、尽力していくことが必要となり、高度な専門的知識と経験が要求されます。

また、特に経営支配権をめぐる紛争の場合は、初期の対応がその後の展開・訴訟の行方に大きく影響することがあります。紛争の初期段階から早めにご相談いただければと思います。

経営支配権をめぐる紛争

裁判外での活動

経営支配権をめぐる紛争の場合、当事者を代理して訴訟を遂行するだけでなく、根本的な解決策の検討をはじめとして、その他裁判外での様々な活動を行います。例えば、会社側の立場を代理する場合には、以下のような事項を行います。

  • 株主総会で多数を確保し、安定的な経営を行うために目指すべき方向のアドバイス
  • 紛争中に開催される株主総会の指導
  • 金融機関その他のステークホルダーへの働きかけ
  • 従業員向け説明会、少数株主向け説明会
  • 経営陣のビジョンを示すための事業計画書・資本計画書の作成等

また、会社法では法定の手続・期限を遵守するということが非常に重要になりますので、法定の手続についてのアドバイス・確認等も行います。

裁判における代理

裁判の場面においては、以下のような事項を行います。

  • これまでの会社実務の状況等についての関係者からのヒアリング
  • 株主名簿、株主総会・取締役会議事録、税務申告書その他の様々な関連資料等の検討
  • 適用される法令及び関連判例の調査(最新のものまでカバー)
  • 裁判の主張・立証方針の決定
  • 関係者からのヒアリングを陳述書にまとめた上で、裁判所への提出準備
  • 準備書面等の作成

株主代表訴訟

基本的に、「経営支配権をめぐる紛争」の「裁判における代理」の項で述べたことが当てはまりますが、裁判では、多くの場合、取締役の経営判断が争点となります。この場合、経営判断の前提となる事実認識の過程(情報収集とその分析・検討)に不注意な誤りがないか、事実認識に基づく意思決定の推論過程及び意思決定の内容に著しい不合理がないかという判断枠組で審理がなされます。この枠組に沿う形で事実関係を整理し、裁判所に主張していきます。

株式売買価格決定申立・株式買取価格決定申立

基本的に、「経営支配権をめぐる紛争」の「裁判における代理」の項で述べたことが当てはまりますが、裁判では、株式評価が問題となることから、公認会計士等の株式評価の専門家とも協力してすすめていきます。
当事務所は、いかなる評価方法をとるのが妥当か、株式を評価するにあたって重要な要素と位置づけられる事実関係はどうであったか等を、裁判所に対し理解しやすい形で主張していきます。

その他の会社関係訴訟

当事務所には、会社法・会社関係訴訟に長けた弁護士が所属しておりますので、上記以外の様々な種類の会社関係訴訟にも対応可能です。

当事務所が扱った事例

経営支配権をめぐる紛争

同族会社の創業オーナーが亡くなった後、創業オーナーの子息の間で経営支配権争いとなったケースで、以下の会社関係訴訟等において当事者を代理いたしました。

取締役の地位等に関して
  • 株主総会決議取消、無効確認請求訴訟
  • 取締役報酬支払請求訴訟
株主権等に関して
  • 株主権確認請求訴訟
  • 有限責任社員地位確認請求訴訟
  • 新株発行不存在確認請求訴訟
その他
  • 業務及び財産状況検査請求
  • 会計帳簿閲覧請求

株式売買価格決定申立て

株式譲渡制限のある会社において、株主から株式譲渡承認及び不承認の場合の株式買取を請求がなされたケースで、会社を代理して株式売買価格決定を申し立て、株式価格の評価方法及び評価の基礎となる事実の有無等について裁判所に説明することで、実質的に当方の株式評価の見解に基づいた和解に結びつけました。

株式譲渡禁止の仮処分申立て

会社の資金を関係会社に貸し付け、当該資金で会社の株式を購入する行為が商法(当時)に違反し、違法であるとして、譲渡しようとする会社に対して株式の譲渡禁止の仮処分を申し立て、裁判所から仮処分決定を得ました。

用語

(アルファベット・五十音順)

会計帳簿閲覧請求権
会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写を請求することができる権利のことをいいます(会社法433条1項)。原則として、総株主の議決権の100分の3以上又は発行済株式の100分の3以上を有する株主に認められます。会計帳簿閲覧請求権は、経営支配権に関する訴訟や株主代表訴訟を提起するために必要な調査をなす場合などによく利用されます。
株主権確認請求訴訟
株主としての地位について争いがある場合に、自己が株主としての地位を有することの確認を求める訴訟のことをいいます。
株主代表訴訟
株主が会社を代表して取締役等の役員等に対して法的責任を追及する訴訟のことをいいます(会社法847条5項)。会社が取締役の責任を追及する場合には、原則として監査役が会社を代表して訴訟を提起します(監査役設置会社の場合)が、監査役がこれを行わない場合、6ヶ月以上前より引き続いてその会社の株式を有する株主は、監査役に対して取締役を訴追するよう請求することができます(ただし、非公開会社の場合には株式保有期間による制限はありません。)。この請求の後、60日を経過しても監査役が訴追しない場合に、株主は株主代表訴訟を提起できます。
経営判断の原則
取締役は、会社との関係で受任者の立場にあり、善良なる管理者としての注意義務(善管注意義務)を負っています。他方、経営においては、不確実な状況で迅速な決断を迫られる場合が多いので、その判断を事後的・結果的に評価して注意義務違反の責任を問うのでは取締役の業務執行を萎縮させてしまいます。そこで、経営判断については、取締役の裁量の範囲が広く認められ、結果的に失敗したとしてもそれが合理的な裁量の範囲内であると認められる限り、当該取締役が責任を問われることはないとするのが妥当であり、かかる法理を経営判断の原則といいます。
新株発行不存在確認請求訴訟
新株発行の外観があるのにそのような実体がないなどといった場合に、新株発行が不存在であることの確認を求める訴訟のことをいいます(会社法829条)。この訴訟には、新株発行無効訴訟とは異なり、提訴期間制限はありません。
新株発行無効訴訟
新株発行手続に法令又は定款に違反する重大な違反がある場合などに、その発行を一体として無効にすることを求める訴訟のことをいいます。この訴訟には、6ヶ月(公開会社の場合)又は1年(非公開会社の場合)の提訴期間制限があります(会社法828条1項2号)。
同族会社
同族会社は、法律用語としては法人税法において定義されており、簡潔に言えば三人以下の株主により株式の50%超を実質的に所有されている会社のことをいいます。ただし、一般的に同族会社といった場合、会社の所有と経営の大部分が家族及び親族によって占められている会社、という程度の意味で使われる場合が多いです。
名義株主
株主名簿上に株主として記載されている者と、その株式の実質的な所有者とが一致していないことがあります。そのような株式を名義株といい、株主名簿上に株主として記載されている者を名義株主といいます。

費用

会社関係訴訟の事件(特に経営支配権をめぐる紛争等、裁判外の業務が生じるもの)においては、原則として、タイムチャージの方式により弁護士報酬の請求をさせていただきます。

ただし、裁判の代理については、通常の民事訴訟と同様に着手金、成功報酬の形でお支払いただく場合があります。着手金、成功報酬の場合、訴訟の対象となっている請求の額(訴訟物の額)に応じて着手金、成功報酬の額は定まります。

タイムチャージの場合

タイムチャージ方式とは、それぞれの弁護士が当該案件に使用した時間を毎日タイムシートに記入し、月ごとに、当該弁護士が当該案件に使用した時間を集計し、当該弁護士の一定のレート(報酬レート)を乗じた金額を計算して請求書を作成する方式です。

例えば、A弁護士の1時間当たりの報酬レートが2万1000円の場合で、当該月に当該案件の処理に10時間使用した場合の当該月の報酬金額は、2万1000円×10時間=21万円(消費税込)となります。

各弁護士の報酬レートは、概ね次のとおりです。
タイムチャージ制における各弁護士の報酬レートは、各弁護士の実務経験・専門性によって異なりますので事前にご相談下さい。

  報酬レート(消費税込)
パートナー弁護士(経営弁護士) 2万6250円から3万6750円
アソシエイト弁護士(勤務弁護士) 1万5750円から2万6250円

報酬は月末ごとに締めを行い、報酬金額の計算ができ次第請求書の発行を行います。クライアントから希望がある場合には、弁護士ごとに、いつ、どの業務に、いくらの時間を使用したかを明示する明細書(ディスクリプション)を日本語又は英語で発行いたします。

受任に際しては、当事務所作成の委任契約書を締結頂きます。委任契約書は、必要に応じて日本語又は英語で作成いたします。

着手金・成功報酬の場合

定型的な訴訟については、訴訟の対象となっている請求の額(訴訟物の額)に応じて着手金、成功報酬をいただきます。下記は、一般的なケースにおける報酬基準ですので、案件の内容や複雑さ、予想される業務提供の期間などによって異なることがあります。いずれの場合であっても、原則として委任契約書を作成し、事前に報酬金額についての説明を行います。

訴訟の対象となる請求の額 着手金(消費税別途) 成功報酬(消費税別途)
300万円以下の場合 30万円 16%
300万円を超え、3000万円以下の場合 5%+9万円
*但し最低30万円
10%+18万円
3000万円を超え、3億円以下の場合 3%+69万円 6%+138万円
3億円を超える場合 2%+369万円 4%+738万円
  • 控訴審の手続や、強制執行手続を行う場合は、弁護士報酬が別途発生します。
  • 地方出張を伴う場合は、出張旅費及び出張日当を別途いただくことがあります。
  • 調停手続については、かねがね上記金額の3分の2に減額されます。
  • 事案の内容によっては上記と異なる計算式が適用になる場合があります。
(事例 1)

3000万円の支払を請求する訴訟を提起し、2000万円の支払を命じる判決を得た場合

  • 着手金:3000万円×5%+9万円=159万円(消費税別途)
  • 成功報酬:2000万円×10%+18万円=218万円(消費税別途)
(事例 2)

500万円の支払を請求する訴訟で被告を代理し、全部勝訴判決を得た場合

  • 着手金:500万円×5%+9万円=34万円(消費税別途)
  • 成功報酬:500万円×10%+18万円=68万円(消費税別途)

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