外国子会社を清算する際の注意事項

国際取引・国際訴訟
外国子会社を清算する際に、親会社として注意する事項について
 

1 外国子会社の債務について、親会社は法的責任を負いますか

外国の子会社を清算する場合に、残された子会社の債務について親会社が責任を負うかどうかを確認する必要があります。有限責任か無限責任かの問題です。Corporationの場合、株主(Shareholder)は有限責任です。Limited Liability Companyの場合、Memberは有限責任になります。Limited Partnershipの場合、General Partnerは無限責任ですが、Limited Partnerは有限責任となります。Branch Officeの場合、本社は無限責任となります。但し、親会社が子会社の取引先や金融機関に対して保証書を差し入れている場合は、保証責任を負います。経営指導念書(Comfort Letter、Keep-Well Letter)については、責任を負う場合と負わない場合があります。

*親会社等による不適切な会社運営についての不法行為責任が認められた例
旧長銀が、経営の行き詰ったイ・アイ・イーインターナショナル社(イ社)を管理下におき、ホテルなどの資産を不当に安く処分したとして、イ社の管財人が、新生銀行を相手として、サイパンの裁判所に損害賠償請求訴訟を提起した。新生銀行は裁判上の和解によりイ社の管財人に218億円の和解金を支払う。本件では、イ社の資産が処分された時点では、イ社の取締役の大部分は旧長銀から派遣された役員で占められていた。 

上記の他、製品・サービスについての品質保証責任(Representation and Warranty)、不法行為責任についても検討を要します。製造物責任(Products Liability)、法人格否認の法理(Piercing the Corporate Veil)についても検討を行います。


2 子会社資産の処分に関する留意事項

 子会社の資産の処分を行う際に、親会社について様々な責任が生じることがあります。次の法理について注意が必要です。

(1)詐害的譲渡(Fraudulent Conveyances/Fraudulent Transfer)
(a)一定の期間内(連邦破産法では資産の処分後2年以内)に破産手続きがなされ、(b)裁判所が適正な対価(reasonably equivalent value)の受領なしに資産の処分がなされたと判断し、かつ(c)売り手が資産の処分時に支払不能であったか、資産の処分により支払不能となった場合、資産の処分により不合理に過小資本となった場合、売り手が支払能力を超えて債務を負担することを意図していると考えられる場合、当該資産の処分は詐害的譲渡として取り消される可能性がある。

(2)偏頗弁済(Unfair Preference)
債務者が債務超過の状態に陥った後、特定の債権者に対して、本来破産手続きで受けられる以上の債務の弁済(偏頗な弁済)を行った場合、破産法(US Bankruptcy Code)の適用により、将来破産管財人により弁済行為が否認され、破産財団に取り戻される。

(3)バルク・セール法(Uniform Commercial Code Article 6)
会社が所有在庫を一括売却する場合で、バルク・セール法の適用がある場合には、その法律に定めた手続に従う必要がある。売主は、債権者のリストを買主に提出し、買主は契約の内容をSecretary of Stateにファイルし、売主の債権者に通知し、売却代金を予め定めた方法により売主の債権者に分配する。この手続に従わなかった場合、買主は、売主の債権者に対して損害賠償責任を負う。

(4)衡平法上の劣後(Equitable Subordination)
衡平法の原則に基づき、(a)債権者が他の債権者に対し信認義務(株主持分を所有していることまたは債務者の経営判断をコントロールしていることにより債務者に支配を及ぼすことにより生じえるもの)を負っている場合に、不公正な行為により他の債権者に対して損害を与えた場合、または(b)債権者が他の債権者を害するため、悪意でまたは詐害的な行為を行った場合、裁判所は、その債権者の債権を他の債権者に対して劣後させることができる

(5)資産の譲受人が責任を負う場合
製造物ライン理論(Product Line Theory)、事実上の合併理論(De Facto Merger Theory)、スーパーファンド法などにより、資産の譲受人が譲渡人の債権者に対して責任を負うことがある。


3 経営破綻に瀕した子会社に対する融資の継続と、親会社取締役の善管注意義務違反

親会社の役員の責任を判断するについては、経営判断の原則が適用になります。経営判断が適切であったかどうかは、次の基準に基づき判断されます。
① 経営判断の事項について取締役が利害関係をもっていないこと
② 経営判断の事項について、当該状況の下で、適切であると合理的に取締役が信じる範囲で十分に情報を得ていること
③ 当該経営判断は会社の利益になると取締役が理性的に信じたこと
④ 法令違反の経営判断ではないこと

①福岡高裁昭和55年10月8日判決
「企業は本来自己の責任と危険においてその経営を維持しなければならないものであるから、親会社の取締役が新たな融資を与えることなくそのまま推移すれば倒産必至の経営不振に陥つた子会社に、危険ではあるが事業の好転を期待できるとして新たな融資を継続した場合において、たとえ会社再建が失敗に終りその結果融資を与えた大部分の債権を回収できなかつたとしても、右取締役の行為が親会社の利益を計るために出たものであり、かつ、融資の継続か打切りかを決断するに当り企業人としての合理的な選択の範囲を外れたものでない限り、これをもつて直ちに忠実義務に違反するものとはいえない」として、取締役の善管注意義務違反を否定。

*裁判所による考慮事項
・ 破綻に瀕した子会社に対して倒産を招くことを承知の上で直ちに融資を打ち切るか、多少の危険しても漁期までのつなぎ資金を融資することによって経営の好転を期す機会を待つかどうかの選択を迫られた
・ 会社内部の意見を徴して積極策を選択した
・ 子会社に対する管理を強化するとともに、担保権を確保するための努力を講じた

②東京地裁平成7年10月26日判決
「ケイアンドモリタニは、昭和54年度以降、毎期、損失を計上する等その経営状態が悪化し、昭和56年ころからは、融通手形による資金調達も図らざるを得ない状況であったこと、昭和57年4月以降は、銀座バースの占用許可の更新が行われなかったため、営業の基盤の危うい状態に至っていたと認められる。このように倒産に至ることも十分予見可能な状況にあったケイアンドモリタニに対し、従来の貸付金も殆ど返済されていないのに、新たに多額の金銭の貸付や保証を行うことは、観光汽船の取締役として差し控えるべきであり、仮に、貸付等をするとしても、ケイアンドモリタニが倒産する事態に備えて確実な担保を取得するなどの十分な債権保全措置を講ずるべきであった。」として、取締役の善管注意義務違反を肯定。

* 裁判所による考慮事項
・ 役員及び株主の人的構成の面において密接な関係があり、事業運営の面でも密接な関係があり、体外的にグループ企業と見られる状態にあった。ケイアンドモリタニに対して、観光汽船が自らの経営上、特段の負担とならない限度において金銭的な支援をすることは、相互に資本関係がなく、また、担保を徴しない貸付であったとしても、それが回収不能となる危険が具体的に予見できる状況でない限り、ケイアンドモリタニの倒産等によって観光汽船の対外的信用が損なわれる事態を避けるための一応の合理性のある行為であったというべきである。
・ しかし、本件においては、ケイアンドモリタニが経営の悪化により、倒産の可能性が高い状態にあったこと、従前の貸付につき殆ど返済がないこと、新たな貸付に際して何らの債権保全措置が講じられていないこと、貸付金額が高額であることを重視して取締役の責任を認定した。

4 親会社による債権放棄、債務負担行為についての寄付金課税の可能性

再建支援等により損失負担した場合において、損金算入が認められる場合
その経済的利益を供与することについて、経済合理性が存する場合には、その供与した経済的利益の額は寄付金には該当しないものとして扱う。再建支援等事案における損失負担等の額の損金算入が認められる経済合理性とは、経済的利益を供与する側からみて、再建支援等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることが明らかな場合や子会社等の倒産を回避するためにやむを得ず行うもので合理的な再建計画に基づく場合などその再建支援等を行うことに相当な理由があると認められる場合をいう。

子会社等を整理又は再建する場合の損失負担等が経済合理性を有しているかどうかの判断基準(国税庁HP「子会社を整理・再建する場合の損失負担等に係る質疑応答事例等」Q2参照)
1   損失負担等を受ける者は、「子会社等」に該当するか。
2   子会社等は経営危機に陥っているか(倒産の危機にあるか)。
3   損失負担等を行うことは相当か(支援者にとって相当な理由はあるか)。
4   損失負担等の額(支援額)は合理的であるか(過剰支援になっていないか)。
5   整理・再建管理はなされているか(その後の子会社等の立ち直り状況に応じて支援額を見直すこととされているか)。
6   損失負担等をする支援者の範囲は相当であるか(特定の債権者等が意図的に加わっていないなどの恣意性がないか)。
7   損失負担等の額の割合は合理的であるか(特定の債権者だけが不当に負担を重くし又は免れていないか)。

法人税基本通達
(子会社等を整理する場合の損失負担等)
9-4-1 法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引受けその他の損失負担又は債権放棄等(以下9-4-1において「損失負担等」という。)をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当な理由があると認められるときは、その損失負担等により供与する経済的利益の額は、寄付金の額に該当しないものとする。

           (注)子会社等には、当該法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資本関係等において事業関連性を有するものが含まれる(以下9-4-2において同じ。)

(子会社等を再建する場合の無利息貸付等)
9-4-2 法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(以下9-4-2において「無利息貸付け等」という。)をした場合において、その無利息貸付け等が例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄付金の額に該当しないものとする。

          (注)合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による再建管理の有無、支援者の範囲の相当性及び支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ、総合的に判断するのであるが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として合理的なものと取り扱う。

5 子会社に対する貸付金の処理

(1)個別評価金銭債権に係る貸倒引当金として損金算入が認められる場合
  ①当該内国法人が当該事業年度終了の時において有する個別評価金銭債権に係る債務者につき、債務超過の状態が相当期間(法人税法基本通達11-2-6により、おおむね1年以上)継続し、かつその営む事業に好転の見通しがないこと、災害、経済事由の急変等により多大な損害が生じたことその他の事由が生じていることにより、当該個別評価金銭債権の一部の金額につきその取立て等の見込みがないと認められる場合  当該一部の金額に相当する金額(法法52条1項、法令96条1項2号)

  ②当該内国法人が当該事業年度終了の時において有する個別評価金銭債権に係る債務者につき次に掲げる事由が生じている場合  当該個別評価金銭債権の額の100分の50に相当する金額(当該個別評価金銭債権の額のうち、当該債務者から受け入れた金額があるため実質的に債権と見られない部分の金額及び担保権の実行、金融機関又は保証機関による保証債務の履行その他により取立て等の見込みがあると認められる部分の金額を除く)(法法52条1項、法令96条1項3号)
    イ 会社更生法・・・の規定による更生手続開始の申立て
    ロ 民事再生法の規定による再生手続開始の申立て
    ハ 破産法の規定による破産手続開始の申立て
    二 会社法の規定による特別清算開始の申立て
    ホ イから二までに掲げる事由に準ずるものとして財務省令で定める事由
   
(2) 貸倒れ損失として損金算入できる場合
(金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)
法人税法基本通達9-6-1
法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうち次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。
(1)会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例に関する法律の規定による更生認可決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(2)会社法の規定による特別清算に係る協定の認可の決定のあった場合において、この決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(3)法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額
  イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
  ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの
(4)債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額
  *債務者に弁済能力があるにもかかわらず債務免除をした場合には、相手方に贈与したものとして寄付金認定される。「債務超過の状態が相当期間継続し」とは、通常3年ないし5年間

(回収不能の金銭債権の貸倒れ)
法人税法基本通達9-6-2
法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできないものとする。
(注)保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にすることはできないことに留意する。

(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ)
法人税法基本通達9-6-3
債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない)について法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理したときは、これを認める。
(1) 債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)
(2) 法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき

(注)(1)の取引停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払い能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。

6 子会社株式の取扱い

(1)子会社株式の評価損の計上
 上場有価証券等以外の有価証券については、「その有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化したため、その価値が著しく低下した」場合に、評価損を計上できる(法人税法33条、法人税法施行令68条1項2号ロ)

(2)上場有価証券等以外の有価証券の発行法人の資産状態の判定基準
9-1-9 令第68条第1項第2号ロ《上場有価証券等以外の有価証券の評価損の計上ができる場合》に規定する「有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化したこと」には、次に掲げる事実がこれに該当する。
(1) 当該有価証券を取得して相当の期間を経過した後に当該発行法人について次に掲げる事実が生じたこと。
イ 会社法の規定による特別清算開始の命令があったこと。
ロ 破産法の規定による破産手続開始の決定があったこと。
ハ 民事再生法の規定による再生手続開始の決定があったこと。
ニ 会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続開始の決定があったこと。
(2) 当該事業年度終了の日における当該有価証券の発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額が当該有価証券を取得した時の当該発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額に比しておおむね50%以上下回ることとなったこと。
(注) (2)の場合においては、次のことに留意する。
1 当該有価証券の取得が2回以上にわたって行われている場合又は当該発行法人が募集株式の発行等若しくは株式の併合等を行っている場合には、その取得又は募集株式の発行等若しくは株式の併合等があった都度、その増加又は減少した当該有価証券の数及びその取得又は募集株式の発行等若しくは株式の併合等の直前における1株又は1口当たりの純資産価額を加味して当該有価証券を取得した時の1株又は1口当たりの純資産価額を修正し、これに基づいてその比較を行う。
2 当該発行法人が債務超過の状態にあるため1株又は1口当たりの純資産価額が負(マイナス)であるときは、当該負の金額を基礎としてその比較を行う。

(3)外国有価証券の発行法人の資産状態の判定
9-1-10 外国法人の発行する有価証券につき9-1-9の(2)により当該有価証券の発行法人の資産状態が著しく悪化したかどうかを判定する場合には、原則として、当該有価証券を取得した日における当該発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額(当該発行法人がその会計帳簿の作成に当たり使用する外国通貨表示の金額により計算した金額とする。以下9-1-10において同じ。)と当該事業年度終了の日における当該発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額(以下9-1-10においてこれらを「比較純資産額」という。)の金額に基づいてその比較を行う。
 ただし、当該発行法人が物価の変動が著しいと認められる国に本店又は主たる事務所を有するものであるときは、当該有価証券を取得した時と当該事業年度終了の日との間における当該国及び我が国の物価変動率を合理的に勘案したところによりその比較を行うことができるものとする。この場合において、当該物価変動率を勘案した比較が困難であるときは、課税上弊害がない限り、比較純資産額を当該有価証券を取得した日及び当該事業年度終了の日における13の2-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》に定める電信売買相場の仲値により円換算した金額に基づいてその比較を行って差し支えない。
(注) 本文の「純資産価額」は、当該発行法人が資産再評価を行っている場合であっても、その再評価価額が通常の市場価額を表わしていると認められない限り、当該再評価価額にはよらないことに留意する。

(4)上場有価証券等以外の有価証券の著しい価額の低下の判定
9-1-11 9-1-7《上場有価証券等の著しい価額の低下の判定》は、令第68条第1項第2号ロ《上場有価証券等以外の有価証券の評価損の計上ができる場合》に掲げる有価証券の価額が著しく低下したことの判定について準用する。
(注) 法人の有する有価証券が当該法人との間に連結完全支配関係がある連結法人の株式(出資を含む。)である場合には、令第9条第2項第2号《連結子法人株式の帳簿価額の修正事由》に掲げる事由が生じたものとして同条第3項の規定により当該有価証券の帳簿価額の修正額の計算を行ったものとしたときに算出される金額をもって9-1-7に定める「その時の帳簿価額」とする。

9-1-7 令第68条第1項第2号イ《上場有価証券等の評価損の計上ができる場合》に規定する「有価証券の価額が著しく低下したこと」とは、当該有価証券の当該事業年度終了の時における価額がその時の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれないことをいうものとする。
(注)1 同号イに規定する「第119条の13第1号から第3号までに掲げる有価証券」は、法第61条の3第1項第1号《売買目的有価証券の期末評価額》に規定する売買目的有価証券か否かは問わないことに留意する。
2 本文の回復可能性の判断は、過去の市場価格の推移、発行法人の業況等も踏まえ、当該事業年度終了の時に行うのであるから留意する。

(5)増資払込後における株式の評価損
9-1-12 株式(出資を含む。以下9-1-12において同じ。)を有している法人が当該株式の発行法人の増資に係る新株を引き受けて払込みをした場合には、仮に当該発行法人が増資の直前において債務超過の状態にあり、かつ、その増資後においてなお債務超過の状態が解消していないとしても、その増資後における当該発行法人の株式については令第68条第1項第2号ロ《上場有価証券等以外の有価証券の評価損の計上ができる場合》に掲げる事実はないものとする。ただし、その増資から相当の期間を経過した後において改めて当該事実が生じたと認められる場合には、この限りでない。

7 残余財産の分配(日本の親会社における税務上の処理)

外国子会社の配当益金不算入制度の導入
日本親会社が受取る海外子会社からの配当等のうち95%を益金不算入とするもので、対象となるのは、日本親会社の出資比率が25%以上の海外子会社(株式保有期間6ヶ月以上)で、2009年4月1日以後開始の事業年度に受ける配当金から適用(法法23条の2)。剰余金の配当等の額には、みなし配当も含まれる。
租税条約の二重課税排除条項において、25%未満の保有割合が定められている場合には、その割合以上で適用要件の判定が行われる。例えば、日米租税条約においては、その割合は、議決権のある株式の10%以上であるので、米国子会社に対する議決権株式保有割合が10%以上の場合には、外国子会社に該当する。

なお、この配当金について課税された外国源泉所得税は、日本サイドで損金に算入されず、外国税額控除の対象にもならないので留意が必要。

旧制度 新制度
海外子会社からの配当 いったん所得課税を受けて外国税額控除制度により二重課税を排除 要件を満たせば所得計算上益金不算入(5%は課税)
外国税額控除制度 直接 要件を満たせば適用あり 益金不算入の取り扱いを受ける配当に係る外国源泉税には適用なし
間接  廃止(経過措置あり)
タックスヘイブン対策税制 留保所得を配当すれば、原則として合算課税なし 留保所得を配当しても、原則として合算課税あり
新税制下においては、過去に比較的高い時価で買収した海外子会社を清算する場合、税務上は株式譲渡損のみが認識されるケースが多くなると思われる。

8 子会社の解散が、重要事実(金融商品取引法166条2項5号へ)に該当するか

(1) 子会社とは(「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」8条3項、4項)
① 他の会社の議決権の過半数を自己の計算において所有している場合
② 他の会社の議決権の100分の40以上、100分の50以下を、自己の計算において所有している場合、かつ
(a) 自己の計算において所有している議決権と自己と緊密な関係がある者の所有している議決権の合計が過半数を占めていること、
(b) 他の会社の取締役会等の構成員の過半数を自己の会社の役員、従業員等が占めていること、
(c) 他の会社の重要な財務、営業、事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること、
(d) 他の会社の資金調達額の総額の過半について融資を行っていること
(e) その他、他の会社の意思決定機関を支配していることが推認される事実があること
③ 親会社及び子会社、又は子会社が他の会社の意思決定機関を支配している場合も含む

(2) 子会社の解散に関する軽微基準
「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令」が改正され(平成20年12月12日施行)、子会社の解散についても、新たに軽微基準が設けられた(「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令」52条1項5の2号が新たに追加された)。

9 子会社の解散に関する東京証券取引所の適時開示基準

2009年度版東京証券取引所会社情報適時開示ガイドブック522頁以下
*適時開示基準においても軽微基準が定められているが、「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令」の軽微基準と異なることに注意

10 子会社の解散について、インサイダー取引が問題とされた事例

   平成19年3月9日、証券取引等監視委員会は、株式会社小松製作所の執行役員が、同社の子会社であるオランダコマツファイナンス有限会社が解散を行うことについての決定した事実を、その職務に関して知り、当該事実が公表される平成17年7月13日以前の同月4日から同月13日の間に、株式会社小松製作所の計算において、株券131万6000株を11億7746万1000円で買い付けたとして、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して課徴金4378万円を課するよう勧告を行った。

 


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